「中小企業診断士養成課程の試験に小論文ってあるけど、どう書けばいいの?」
「社会人になって小論文なんて書く機会ないから、基本がわからないよ!」
と思っている中小企業診断士を目指している受験生の皆さん。安心してください!
実際に養成課程に行った私が、「中小企業診断士の技術を応用した小論文の書き方」について解説します。
- 小論文と作文の違いは?
- 基本的な書き方のルールは?
- 小論文で落ちる人の特徴って?
- 他の人と差をつける方法はないの?
- 具体的な例文はないの?
中小企業診断士養成課程を目指す人は中小企業診断士になる人です。学生が書く小論文とは異なり、戦略性が求められます。
この記事を読んでいただければ、中小企業診断士養成課程の小論文の基礎に加えて、養成課程在学中に欠かせない「事業計画策定の基本」が身につくこと間違いなし。
倍率の上がっている養成課程の試験。他人と差をつける小論文作成が必ず必要です。
こんにちわ。中小企業診断士のグレート☆セバスチャンです。私のプロフィール詳細はこちら。
「時間がない。科学的な根拠はいいから、どんなふうに書いたの?」という方は「具体的な小論文を公開」の見出しに飛んでください。私が実際に書いた小論文があります。
養成課程の競争倍率が上昇!
「そもそもなぜ、養成課程で小論文対策が必要なの?」
以前は養成機関によっては倍率が1倍を切る募集期間もありました。しかし、今は1次試験の合格率が上昇しているため、相対試験である2次試験が難化する傾向にあります。
私もそうでしたが2次試験不合格者の中から養成課程を目指す受講生も増加しており、申し込めば合格するとは言えません。
受講者数 | 合格者数 | 倍率 |
125名 | 48名 | 2.6倍 |
上の表は実際に私が入校した時の、中小企業大学校養成課程の倍率です。約3人に1人が合格という結果であり、決して簡単とはいえません。
「でも文章に自信があるし、小論文は自分の考えた内容で十分ほかの人と差をつけられる!」
そう思っている方は、ぜひこの記事からの離脱をおすすめします。
おそらく中小企業診断士を目指す方には有名大学出身の方も多く、国語能力が高いため、簡単に書ける方も大勢います。優秀な方には必要がないのも事実です。
- あなたは、どのような人物ですか?
- あなたは、どのような環境にいます?
- あなたは、どのような分野に強みを持っていますか?
- あなたは、どのような中小企業診断士を目指すのですか?
- あなたは、何が今不足していると思いますか?
- あなたは、不足を克服するために、どのように行動しますか?
- あなたは、行動した結果、どのような効果がえられますか?
- あなたは、あなたが目指す中小企業診断士として、どのように社会貢献できますか?
上に書いている内容に完璧に答えることができる方は、記事を読まずに文章を作成して問題ありません。そうでない方は、記事を読み進めながら「自分の考えのメモ」を取っていただけると、自分だけの小論文の骨格ができています。
それでは一緒に戦略を立てていきましょう。
中小企業診断士って?
文章の構成を考える前に、もっとも重要な点についてご質問させていただきます。
「あなたは、なぜ中小企業診断士になりたいんですか?」
私もそうでしたがほとんどの診断士受験生の理由は、社会的な地位が上がり、人生を変える資格だと思っていたるためです。
しかし「診断士になったその先について」考えたことはあるでしょうか?
本記事を読み進める大前提として、まずは考えて欲しいポイントです。
1 国家資格の意味を考えること
2 あなたにとって最も大事なことを考えること
3 中小企業診断士としての「自分のあるべき未来像」を考えること
ここはあなたの信念や理想などの根本にあるものです。会社で言えば「経営理念」。自分自身で答えを見つける必要があります。「名ばかりの中小企業診断士」にならないためにも、時間をかけて考えることをおすすめします。
次から、小論文の具体的な内容について説明していきます。
作文と小論文の違い
「そもそも小論文って何?」
養成課程の小論文の書き方を説明する前に、基本的な考え方について説明します。
主な項目 | 小論文 | 作文 |
①文体 | 「だ・である」 | 「だ・である」か 「です・ます」 |
②構成 | 序論・本論・結論 | 制限はない |
③内容 | 意見や主張 | 体験や思い |
①文体
小論文は「だ・である」が基本です。恥ずかしい話、私は養成課程試験では「です・ます」で解答しました。結果は合格。全体に占める点数にはさほど影響はしないと思いますので、「だ・である」か「です・ます」が混在していないか?だけは注意が必要です。
②構成
序論はわかりやすくいうと「小論文の方向性を設定すること」です。お題に対し「私はこういう立場で、この観点から考えを述べていき、そして結論については端的に言うとこうである。」を記述することで、全体枠を決め、読む側に伝わりやすい文章になります。
本論は根拠を述べる、結論は最初に述べた結論を再度まとめる、という流れであり、構成では「序論」が最も大事です。
※なお、論文に求められるのは「結論にいきつくまでの展開の正しさ」にあるため、無理に結論を最初に書かなくても大丈夫です。序論では方向性を示すことが重要です。
③内容
小論文は「与えられたテーマに対して自分の意見と、その理由を論述するもの」です。「客観的な根拠」を基に記述することが重要です。
診断士になりたい!なりたい。なりたい!
どんな診断士になるんだ?根拠は?
1 文末表現は統一すること
2 構成を最初に考え、方向性を最初に書くこと
3 客観的な根拠を示すこと
小論文構成の3つのポイント
どんなに良い内容や経験を持っていても、相手に伝わらなければ宝の持ち腐れです。以下の3つの手法を活用し、読みやすい構成に仕上げます。
- ピラミッド構造
- MECE
- PREP法
①ピラミッド構造
「弊社は直近で売上が伸び悩んでいます。先生は何が原因だと思われますか?」
事業者支援の場では財務諸表とヒアリングのみで対応することが多く、その場で問題に対する「見立て」が求められます。
「見立て」とは「結論を予測する能力」です。中小企業診断士の重要なスキルの1つとなります。そして「見立て」に対して、「根拠」を組み立てます。この流れを階層構造(ピラミッド構造)で考えます。
「見立て」は自分自身の出した結論であり、成果となります。「見立て」の導き方には2つの方法があります。
- バックキャスト方式
- フォアキャスト方式
バックキャスト方式は、「結論→根拠」の上から下に向かう方法。フォアキャスト方式は「根拠→結論」の下から上に向かう方法です。中小企業診断士は実務上、「見立て」の力を求められるため、「バックキャスト方式」の能力が求められます。
中小企業診断士養成課程ではアンケート作成においても、「見立て」をすることから始めます。「見立て」をせずに、現地調査に臨んでも有益な結果を得ることができません。小論文作成においても、与えられた内容について「結論(成果)」を「見立てる」こと、が重要となります。
②MECE
「ミッシー」と呼びます。「もれなく、だぶりなく」という意味です。結論を見立てた後に「根拠」を記述していく際に意識します。わかりやすく言えば、「同じことの繰り返しを言っていないか?」に注意することです。
小論文は文字数が少ないことから、根拠は3つ程度に設定し、内容が同じことを繰り返し説明していないか、を注意する必要があります。
なお、養成課程ではピラミッド構造をバックキャスト、フォアキャストどちらも使用しながら、MECEを活用し発散と収束を繰り返していきます。
③PREP法
「ピラミッド構造」と「MECE」を意識できたなら、具体的な記述方法としておすすめなのが「PREP(プレップ)法」です。「PREP法」は以下の構造から成り立ちます。
- 結論・主張(point)
- 理由(reason)
- 具体例(example)
- 結論・主張(point)
①~④の順番を意識し文章を構成していきます。この方法は、普段の何気ない会話でも活用できる手法ですので、日ごろから繰り返し練習をすることをおすすめします。
ただし、構成の基本だけでは他者とは差をつけることができません。「ストーリー展開」を意識します。
- 状況
- 複雑化
- 疑問
- 答え
わかりやすく言えば、「ひきつける文章」の書き方です。ブログ読者と同様に、小論文の審査員も「忙しい」ため、「相手を引きるける文章」でなければ、そもそも読まれません。
①状況
まず「相手の知っている状況」、一般論を述べます。
例:新型コロナウィルス感染症の影響により、〇月までに○○者の倒産、廃業が確認
②複雑化
次に「その周知の事実に相手の知らない変化」を与えます。
例:私の支援先に2つの老舗飲食店がございます。1つは提案も虚しく、何もせず売上が激減し廃業。もう1つはITを取り入れ、広報に補助金を活用し商圏を広げ、付加価値商品を開発したことで売上が前年比120%の成果。
③疑問
複雑化の変化に相手に興味や疑問を抱かせます。
→「え!どうやって売上を上げたの?」と読み手に疑問を抱かせることが非常に重要です。
④答え
「ピラミッド構造」と「MECE」を意識しながら、PREP法の構成で根拠をたんたんと述べていきます。
例:特に着目していることは「業態転換や事業再構築」です。具体的に3月末に経営革新承認を得た「老舗そば屋」は新たに「そばに合う焼酎製造」を球磨焼酎の老舗酒蔵と共同開発を進めています。
読み手に疑問を持たせることって大事なんだね?
審査員は100以上読むはずだ。忙しい!
1 質問に対して、自分の「見立て」を立てること
2 根拠が「重複した文章」になっていないか注意すること
3 「読んでもらえる」文章の展開を意識すること
落ちる人の3つの特徴と差別化ポイント
小論文で落ちる人には以下の3つの特徴があります。
- 問題文の指示に答えていない
- 根拠が弱い
- 専門的な知識を入れていない
このなかで最も重要な点は「①問題文の指示に答えていない」です。
「中小企業診断士を目指す人はそんなミスないよ!」
と思うかもしれませんが、このミスが一番の不合格になる要因となります。
中小企業診断士に必要なスキルの1つ「傾聴力」。問題の指示に的確に答えられない専門家が、相談者の悩みに答えられるとは思えません。焦らずじっくり与えられている問題を読むことが最重要です。
落ちる原因への対応方法は以下を提案します。
- 問題文を分解
- 1次情報、2次情報の取得
- 自分の「強み」や「弱み」を理解
- ドメインの設定
①問題文を分解
主な要素の分解は以下に集約されます。
原因 | 外部環境要因 内部資源要因 |
課題 | 原因から生じている課題 |
解決策 | 課題に対する方向性 |
効果 | 具体的な行動 |
これは事業計画策定における「構造化」の基礎になります。1次試験のみで2次試験の勉強をしなかった方は、この「構造化」を理解することが重要です。
「自分だけで問題や相談に対し、構造化の流れを組み立てることができること」。養成課程期間前に構造化技術を理解しておくと、ライバルと差が間違いなくつきます。
どうやったら身に着くの?
普段から「構造化技術」を使うのがおすすめだ!
構造化技術の活用には慣れが必要ですが、普段の何気ないやりとりも構造化することができます。頭の中に定着させることが必要です。
問題例:子どもがゲームばかりして、勉強しない
- 外部環境要因:情報化社会の発達
- 内部資源要因:ゲームが勉強より楽しい
- 課題:学力の向上
- 解決策:子どもたちにタブレットを与えて、ゲーム感覚で勉強をする楽しみを教える
- 効果:情報化社会に対応したプログラミング能力取得による、学力の向上
例えばゲーム(外部環境)自体が悪いと判断すれば、時代に乗り遅れた勉強感覚の子どもになる可能性があります。もちろんそれが間違いとは言えませんが、診断士の視点でいけば外部環境は変えられないことがほとんどであるため、その環境に適する柔軟性を選択するという形です。
「問題」と「課題」の違いについても念のためおさらいします。
問題 | 現在発生している「悪い事実」 |
課題 | 未来に向かって「目標とする取組み」 |
課題の中には「悪い」事象だけではなく、「さらに良くしたい」事象も含みます。例えば、「学力の低下」が問題で、「学力の向上」が課題です。
②1次、2次情報の取得
1次情報と2次情報の違いについて説明します。
2次情報 | 世間一般の情報 マクロの視点 | インターネット、その他 |
1次情報 | 自分しか知らない情報 ミクロの視点 | 経験・独自調査 |
「2次情報」は主にインターネット等で取得できる「公開されている情報」です。普段から日経新聞などを読んでいる人はライバルと差がつきます。また情報を取得したくても、どんな情報を取得していいのかわからなければ調べようがありません。
新聞なんか読んでないよ!
情報を日々取得していないのは致命的だ!
なかなか日々の忙しさの中で景況情報などの外務環境情報を取得できていない方には、以下の商工会の景況調査(4半期に1回)、景気動向調査(毎月末)を公開していますので参考にしてください。
全国商工会へのアクセスはこちら
全国商工会連合会のホームページにアクセスします。「検索」を確認します。
検索欄に「景況調査」もしくは「景気動向調査」と入力します。
一覧が表示されますので最新の内容を選択してください。
全都道府県商工会の経営指導員が毎月アンケートに答えた内容を集計しています。景況のトレンドに加えて、「現場の生の声」も掲載していますので、ぜひ参考にしてください。1次情報は日本全体のマクロ経済の視点が重要です。
次に「1次情報」ですが、主に「自分の経験」や「会社の独自調査」などが当てはまります。
ポイントは「身近な範囲の情報(ミクロ経済)」を意識してください。具体的にはあなたのいる地方の景況情報や顧客、取引先、競合の状況です。
1次試験で学んだ「3C分析」についておさらいです。
小論文作成でおすすめするのは「顧客・市場」の「顧客の声」です。2次情報で得た内容を、自分が経験した顧客の声で補完することで、根拠として独自性や差別化ができます。
あなたが属している組織しか持っていない情報、例えば「顧客カルテ」などは信頼性の高い1次情報として活用ができます。
「私の所属では直接、顧客との接点がないなぁ。」
学生や全く顧客接点のない職種の方は「知人の○○から聞いた話」という切り口でも良いと考えます。また、先ほど紹介した全国商工会連合会の景気動向調査のなかには、「地方の経営指導員が事業者から得た生の声」もありますので参考にしてください。
③自分の「強み」や「弱み」を理解
「強み?私には強みなんてないなぁ。」
そう思っている方は1次試験で学んだ「SWOT分析」が有効です。
「強み」「弱み」は、「評価・報酬(行動)」「採用・配置(環境)」「能力開発(自己啓発)」の観点から自分の棚卸をします。
■「強み」例
評価・報酬 (行動) | 売上NO1になったことがある キャンペーンで表彰を受けた |
採用・配置 (環境) | 人事関係に強い 商品知識が深い |
能力開発 (自己啓発) | FP1級を取得している 販売士1級を取得している |
■「弱み」例
評価・報酬 (行動) | チームプレイが不得意 プレゼンが不得意 |
採用・配置 (環境) | マーケティングがわからない 財務がわからない |
能力開発 (自己啓発) | 中小企業診断士未取得 |
質問:「あなたはどんな専門分野の中小企業診断士になりたいのですか?」
「強み」が明確な人、「弱み」が明確な人で選ぶ戦略が異なります。
■積極的攻勢パターン
「強み」×「機会」を意識して、自分の領域で自分の強さを活かす戦略です。経営において最も重要な戦略です。例えば「IT関連に強い」×「DXの推進」=IT関連で地域活性化をできる中小企業診断士になる、などです。
■弱点強化パターン
「今の環境では強みがないよ!」
という方は「弱み」×「機会」で弱みを克服し、チャンスに変える戦略がおすすめです。「マーケティング知識がない」×「新型コロナウィルス感染症の拡大」=「中小企業診断士養成課程で習得した4P提案スキルで販路開拓支援」などです。
質問:「あなたはどんな専門分野の中小企業診断士になりたいのですか?」
現時点で難しく感じる方もいることも事実だと考えます。シンプルに「あなたがなりたい中小企業診断士」を思い浮かべることが重要です。そのために「強み」を活用するのか?「弱み」を強化するのか?というシンプルな観点です。
④ドメインの設定
「ドメインの設定」と聞くと難しく聞こえますが、分かりやすく言うと「誰のどんな悩みを解決するのか?」という内容の設定になります。
ドメインの設定は以下の内容に区分されます。
- 誰に?
- 何を?
- どのように?
- 成果は?
①誰に?
事業者であれば対象が「顧客」、中小企業診断士であれば「支援対象(事業者)」になります。小論文で与えられている問題に対して、的確な設定をしていきます。
②何を?
製造業や小売業では「モノ(物商品)」、サービス業では主に「コト(役務商品)」になります。中小企業診断士であれば「コト」の提供です。重要な点は、単なるモノやコトではありません。
「価値のある」モノやコトになります。
× 眼鏡にこだわりのある人に、「メガネクリーナーを」、眼鏡マイスターが提案。
○ 眼鏡にこだわりのある人に、「曇り止めの効果のあるメガネクリーナーを」、眼鏡マイスターが提案。
「曇り止めの効果」が「価値」です。ドメインを設定するときに単なるモノやサービスにならないように注意が必要です。なお養成課程期間中でも、よく理解できていない受講生がたくさんいました。
③どのように?
独自性のある技術や差別化された手法を指します。例えば1次試験にもでてきた「トヨタのかんばん方式」などです。中小企業診断士であれば「支援策」になります。
④成果は?
基本的にはドメインの設定は①~③を指しますが、加えて「成果」も設定することをおすすめします。「誰のどんな悩みを解決するのか?」=「成果は?」が求められます。
「成果」には「短期的な成果」と「長期的な成果」があります。小論文で与えられている問題を考察し、どちらを指しているのかを把握する必要があります。
短期的な成果 | 例:売上前年比○○%、経常利益○○円アップ、○○商品 月間100個達成 |
長期的な成果 | 例:経営基盤の確立、組織体制の確立、経営理念の達成 |
1 1次情報と2次情報から「機会」を考える
2 自分の「強み」と「弱み」を棚卸する
3 「どんな中小企業診断士になるか」を考える
4 「強み」or「弱み」×「機会」で戦略を立てる
5 誰のどんな悩みを解決するかを考える
あなたはこの瞬間、開花している
「1次試験の知識をどのくらい実践レベルまで昇華できていますか?」。この質問に対して、明確に回答できる方は、仕事上得た知識を実践でも意識して活用していた方だと思います。養成課程では演習・実習のそのほとんどが「グループワーク」で構成されます。「知識の前提」に差があると議論が停滞します。しかしながら、確実に個人個人で大きな格差があるのも事実。例えば今回のブログでお話した「ドメインの設定」について、1次試験の知識である「エーベルの3次元枠組みだよね!」と、即座に共感できる方もいれば、「なにそれ?」という方もいます。もちろん知ったかぶりが一番怖いので、分からないときはグループみんなでカバーしながら作業を進めていくことが重要です。養成課程では「1次試験の知識は完全にある」前提で話が進みます。養成課程に進む前に以下の3教科の復習が重要です。「企業経営理論」、「財務会計」、「運営管理」。また養成課程にこの3科目は参考書を持っていくことを強く勧めます。せっかくの実践の場です。知識と経験を一致させることでスキルまで昇華できるチャンス。さらにいえば、2次試験対策をしていた方は1次試験のみの勉強の方より「構造化」について身に付きやすい傾向があると思います。時間に余裕のある方は、ぜひ2次試験の勉強もすることをおすすめします。これからも養成課程のレベルがもっともっと上がっていくことを目的にブログで情報発信できればと思います。
具体的な小論分を公開
「なんか専門的でまだわからないなぁ」
と思っている方は「考える前に実践する」ことが重要です。養成課程に行った私が、実際に提出した内容を公開します。
- 第36期審査テーマ
- 具体的な小論文
- 小論文の説明
①第36期審査テーマ
昨年より全世界に広まった新型コロナウィルス感染症により、地域経済を支える中小企業には事業存続にかかわる大きな影響が生じています。また企業だけでなく私たちの生活の様式も大きく変わり、新たなサービスも生まれ、技術も転換、発展しています。このような中、地域の中小企業を支援する中小企業診断士として、どのような変化を捉え、どのような支援を提供し、具体的にどのような成果を目指しますか?また、そうした支援をより効果的にするために当校養成課程で何を学ぶ必要があると思いますか。
400字詰め原稿用紙を2枚使って記述してください。
※実際の試験の様式をアップしました。
②具体的な小論文の例文
短い文章で伝えるのが難しい。
最重要な点は、問題に的確に答えているかだ!
③小論文の説明
ここからはブログ冒頭からのテクニックを読んでから、読んでいただくことで高い効果が得られます。
私もそうでしたが、久々に小論文を書く人には結構重いと思います。順番に説明をしていきます。
(1)問題文の分解
- 事業存続にかかわる大きな影響が生じているとは?
- 新型コロナウィルス感染症の影響による「変化」とは?
- 新たなサービスも生まれ、技術も転換、発展?
- 診断士としてどのような提案をするのか?
- 養成課程で何を学ぶ必要があるか?
特に重要な点は②であり、以下に分解できます。
- 変化の分析
- 支援策
- 成果
(2)1次情報、2次情報の取得
「変化の分析」は「外部環境分析」と捉えます。問題文の重要なワードとして「新型コロナウィルス感染症の影響」を加味する必要があります。
1次情報については、新型コロナウィルス感染症による廃業の状況を述べ、2次情報については、私が実際に支援をした事業者支援の状況を述べます。「新型コロナウィルス感染症の影響による「変化」とは?」への解答部分になります。
(3)自分の「強み」や「弱み」を理解
「支援策」に、新たなサービスや技術の転換、発展につながる提案を入れることが重要です。具体的に今の職場での実体験である「経営革新」や「業態転換や事業再構築」による事業者支援の状況を述べます。この実体験は私の「強み」と言えます。
「養成課程で何を学ぶ必要があるか?」は、「自分の弱み」です。これを掘り下げれば、「自分の課題」が見つかる。「自分の課題」を「学んで、解決する」ことで「効果的な診断士としての提案」が可能になると言えます。
(4)ドメインの設定
①支援対象
中小企業診断士の支援対象は「中小企業」です。私の支援対象は「作業に追われ戦略を立てる時間のない、地域の中小・小規模事業者」と設定しました。
②価値のあるモノ・コト
「価値のあるモノ・コト」は、中小企業診断士の場合、提供するものは「付加価値のある物」というより、「付加価値のあるサービス」となります。
「付加価値のあるサービス」とは「支援策」を指します。具体的には「新たなサービス、技術、発展」に着目し、「経営革新」、「事業転換・事業再構築」と設定します。
具体的には「そばに合う焼酎」です。飲食店が新型コロナウィルス感染症で減少した売上を改善するために、小売りの領域の事業転換、事業再構築し、経営革新を行うという流れです。この部分は「新たなサービスも生まれ、技術も転換、発展?」の解答部分になります。
③技術・手法
「付加価値のあるサービス」を実現するために必要な技術や手法について考えます。「地域の戦略アドバイザーとしての伴走型支援」を職種の経験上実施していますので、現在実行可能な技術・手法について最初に述べます。「診断士としてどのような提案をするのか?」への解答部分です。
次に現在実行不可能な技術・手法について考えます。「養成課程で何を学ぶ必要があるか?」の解答部分です。中業企業診断士の技術・手法として「チーム解決力」について欠落していることを設定します。
④成果
「成果」には「短期的な成果」と「長期的な成果」があります。短期的な成果であれば、売上や生産性向上と捉えます。過去の実績を基に具体的な例があれば述べます。
しかし、この問題文は「事業存続にかかわる大きな影響が生じているとは?」が問題文の冒頭で述べられているため、「長期的な成果」が重要であると捉えます。
「新型コロナウィルス感染症の時代の企業のあるべき姿」を考察することで、「企業存続を意識した企業基盤の確立」を成果に設定します。
①~④をまとめると今回の方向性や結論、テーマは「地域の戦略アドバイザーとして伴走型支援を実施し、事業者の持続可能な企業基盤の確立」にします。
最も重要な点は「問題文の指示に答える」ということです。問題文を分解し、その1つ1つに解答できているかを確認します。
(5)文章構成
ここでは「PREP法」を活用します。
- 結論・主張(point)
- 理由(reason)
- 具体例(example)
- 結論・主張(point)
①結論・主張
「地域の戦略アドバイザーとして伴走型支援を実施し、事業者の持続可能な企業基盤の確立」が結論・主張になります。なお、小論文に求められるのは「結論にいきつくまでの展開の正しさ」にあるため、結論を最後に述べたい方はここで方向性を示すだけでも大丈夫です。
②理由
なぜなら、「新型コロナウィルス感染症による環境の変化に順応すること」が重要であるから。ここでは外部環境をとおして理由を述べています。
③具体例
「新型コロナウィルス感染症による環境の変化に順応する」には、具体的に3つの支援が必要である。
- 経営革新、事業転換・事業再構築
- 地域の戦略アドバイザーとしての伴走型支援
- チーム支援
④結論・主張
「地域の戦略アドバイザーとして伴走型支援を実施し、事業者の持続可能な企業基盤の確立」について、再度述べる。なお、差し迫った時代の問題は新型コロナウィルス感染症だけではないので、他の事業環境変化による課題にも対応できることをまとめで言及しました。
なんとなくだけど、少しわかった気がする!
とにかく考える前に「書く練習」だ!
まとめ
今回は【事業計画策定を応用した】中小企業診断士養成課程【小論文の書き方】について説明しました。
小論文の基本から中小企業診断士に必要なスキルを応用した書き方が身に着くと考えています。さらには、養成課程で使える「事業計画策定の基本」も身についているはずです!
あなたを中小企業診断士にしたい!
この厳しい時代、一生懸命事業を営んでいる事業者にために、あなたが必要です!
また面接について記事を書いていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
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これからも応援お願いします。最後まで記事を読んで頂きありがとうございます。
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