新型コロナウィルスも落ち着いてきたし、コロナ関連補助金も縮小かなぁ?
でもコスト高だし、国も次の政策を考えてるんじゃないかな?
と、考察している専門家、事業者のみんさまたち必見!中小企業診断士の視点から、【令和5年度の補助金の予測】を記事にまとめました。
- そもそも国の予算の仕組みって?
- 2023年度のトレンド?
- 対策は?
- どんな補助金くるの?
- 具体的に予測
この記事を読んでいただければ、来年度の補助金活用を計画的に準備できること間違いなし!
おはようございます!【朝活ブロガー中小企業診断士】のグレート☆セバスチャンです。私のプロフィールは、こちらへ。
内容が長編になりすぎましたので、今回は【3部完結】で記事にまとめる予定です。よろしくお願いいたします。
それでは、さっそくいってみましょう!
国の予算の仕組み
というか、そもそも【国の予算】ってどのように決まってるの?
普段直接考える機会がないと思いますので、まずは、国の予算について簡単に解説します。なお、社会の勉強サイトではないので、あくまで中小企業者向けの内容に絞って解説します。
国の予算には主に以下の2つがあります。
- 当初予算
- 補正予算
以下に解説をしていきます。
当初予算
当初予算、本予算とも言います。期間が会計年度である【4月1日~翌年3月31日】の間に算出された年間予算です。毎年1月に召集される通常国会の前半で政府予算案が国会へ提出され、審議をえて、3月末日までに成立するよう定められています。
さらに詳細を知りたい方は、以下にアクセス!
今回の予測している【省人化・省力化補助金】は次の【補正予算】となります。
補正予算
補正予算は、当初より税収が増減したり、災害などで歳出が多かったときに、組み直した予算のことです。補正予算は11月から12月の間に予算編成が行われ、翌年の1月頃の国会審議をえて成立し、【4月以降に執行】されます。
このため、令和6年4月以降に公募が始まる補助金の名称は、令和5年度補正予算から執行されることから、【令和5年度補正○○補助金】となる点に注意です。
9月~12月にかけて、国の官僚や、各政党が関係団体へヒアリングされ、各団体が要望書を出します。これらを政府がまとめ、予算案を提出します。
商工会や商工会議所、中央会などの経済団体も要望を9月までに固めて、要望書として中小企業庁へ提出しています。
国会を得て決議されなければならないものの、毎年12月から1月には時期補正予算の情報が出ますので、事前にチェックをしておくことが重要です。具体的には与党の出す【○○年度予算大綱】が例年12月中旬頃に発表されます。
令和5年度予算編成大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党 (jimin.jp)
※令和5年度予算編成大綱より
昨年度の中小企業へ関係のある内容を上記でした。直接的な補助金名までは出ていませんが、この時期には具体的な方針は固まっています。もちろん1月以降の国会審議で決議されますので、決議を得てからになりますが、半数以上の与党案ですので、事実上大きくひっくり返ることはほとんどないと考えられます。
また専門家や事業者のみなさんは、ここの時期について中小企業庁のホームページをしっかりチェックしておくことをおすすめします。
令和4年度が12月末に情報公開されていますので、与党の大綱がでてから約1週間程度で【予算案のポイント】がでます。
ここには、このように具体的な補助金名と予算【案】の規模がまとめられてますので、チェックしておくことが重要です。
なお商工会、商工会議所の経営指導員さんたちも、この流れを知っておくことで、自分たちの来年度の仕事内容がどうなるか、おおまかに予測ができますので、心構えと準備ができます。
2023年度の事業環境変化
なんか最近どんどん物価上がってない?
でも、給料上がらないしなぁ・・・
皆さんも生活する中でひしひしと感じているはずです。また、10月よりインボイスも開始されました。インボイスでさらに物価が上がると予測される内容などは以前の記事にまとめていますので、参考にしてください。
本題ですが、令和5年度補正予算の補助金を予測するにあたって、現在の外部環境を把握しておくことが必要です。
景況トレンドの把握方法
専門家の方や、支援機関の支援担当者、また経営者の皆さんのトレンドをつかむ材料として以下を紹介します。
前提ですが、景況感は複数の内容を見る必要があります。理由としては、時期はいっしょの時期のものが多いですが、調査対象に違いがあるからです。小規模事業者だったり、中規模だったり、中堅・大企業だったりと、異なりますので総合的に判断する必要があります。
①日銀短観
日本の【銀行の銀行】である日本銀行が出している日銀短観は、他の調査機関の調査が日銀短観の結果と照らし合わせて、整合性があるかに用いる景況調査です。ただし、専門的な統計グラフの見方が必要ですので、読み込むのに時間がかかります。
※それぞれのリンクは上記の調査名からアクセスしてください。
②中小機構の景況調査
全国商工会連合会の景気動向調査の次におすすめしているのが、この中小機構の景況調査です。理由は以下です。
- 調査対象企業数:約19,000者
- 調査協力企業:商工会・商工会議所・中央会
- 長い歴史
まずは圧倒的な母数です。これだけの母数があればかなり精度の高い実績となります。また、その調査を実施しているのは全国の商工会、商工会議所、中央会の現場の経営指導員です。現場の最前線の声を拾えるスペシャリストたちが直接調査を実施しています。
そして、その歴史は40年を超えています。やがて50年。この前、マル経50周年式典がありましたが、それに近い期間、この中小機構の景況調査も実施されているものです。
それはわかったけど、どこをみればいいの?
おすすめは、【中小企業景況調査のポイント】というものです。
※中小機構ホームページより
他の調査機関のものは基本的にDIグラフとセットで解説があり、見慣れていない人にとってはつかみにくい構造です。この中小機構の出しているポイントは、現在のトレンドの際立つ内容をポイントに説明、且つ事業者の生声も反映しているので、非常にわかりやすい内容です。ぜひ参考にしてください!
※それぞれのリンクは上記の調査名からアクセスしてください。
③日本政策金融公庫 景況調査
公庫の景況調査は以下で分かれています。
- 小企業
- 中小企業
規模別に調査が実施されています。レポートについては、少し専門的な知識がいるイメージですが、日本の中小・小規模事業者を支えている公庫から借り入れをしている事業者のバックデータを考えれば、非常に信頼度の高い調査なので、参考になること間違いなしです。
※それぞれのリンクは上記の調査名からアクセスしてください。
④商工中金 景況調査
商工中金の景況調査の特徴は、中堅以上の企業トレンドです。中小・小規模事業者のトレンドを掴むためには、川上の元請け企業の状況を知っておくことも重要となります。
商工中金の【全文レポート】は読みやすい構成です。誰が見てもわかりやすいように作成されていありますし、最後には事業者の生声も入っていますので、一見の価値ありです。
※それぞれのリンクは上記の調査名からアクセスしてください。
⑤全国商工会連合会 景気動向調査
一番のおすすめは、この全国商工会連合会の景気動向調査レポートです。以下の特徴があります。
- 毎月更新
- 経営指導員による実地調査
各機関が実施している調査のほとんどは、四半期に1回です。毎月調査を実施しており、且つ全国47都道府県の現場にもっとも近い経営指導員が調査を実施している信頼度の高い調査は他に類を見ないといっても過言ではありません。
また、レポート内容も定量情報に加えて、経営指導員の支援による事業者の生声である定性情報も含まれているので、わかりやすい構成です。
具体的に、以下に全国商工会連合会が公表している調査の検索方法を紹介します。
検索し、アクセス。
検索欄に【景気動向調査】を入力。毎月月末くらいにアップされます。なお、四半期に1回【景況調査】のデータもアップされます。
ここに毎月の景気動向調査の結果が示されています。
添付ファイルをクリック。
念のために確認ですが、DIとは端的に言うと、景況感が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」の割合を差し引いて算出したものです。赤枠の内容をとれば、以下になります。
- 8月の売上額DIは、悪いと回答した割合より、良いと回答した割合が8.9%多かった。
- 8月の採算性DIは、良いと回答した割合より、悪いと回答した割合が32.9%多かった。
- 8月の資金繰りDIは、良いと回答した割合より、悪いと回答した割合が29.5%多かった。
- 8月の業況DIは、良いと回答した割合より、悪いと回答した割合が23.4%多かった。
というような状況です。少なくとも直近3カ月程度の流れを確認することで、足下の状況が把握できます。詳しい内容はぜひ毎月確認してみてください。
2023年度の事業環境
前段で述べました景況調査のデータから2023年度は以下の事業環境変化が生じていると考えられます。
- 新型コロナウィルスの終息
- 売上はコロナ前まで改善傾向
- 原油・原材料高・円安によるコスト高
- 深刻な人手不足
- ゼロゼロ融資の返済開始
- 景況感は停滞
①新型コロナウィルスの終息
私のいる東京もいまやマスクをしていない人は半数以上であり、周りの目も気にならなくなりました。ここで重要なことは、これからの国の補助金において、新型コロナウィルスを理由にすることはできないということです。
いやいや、まだコロナの影響を引きづっているよ!
と、お声がでそうですが、新型コロナを理由にすることはもう、きっぱりあきらめて、次の策を練ることがベスト。財務省も、もはやコロナを理由に補助金を設定することは難しくなるでしょう。
②売上はコロナ前まで改善傾向
景況感をみる限り、コロナ前まで【売上】は改善しています。この【売上】を把握しておくことが重要です。売上は全ての付加価値の原資です。少なくとも、売上が上がることで、経済活動は正常化していると国は全体観では判断します。マクロ的な観点でいくと、売上が改善することは全体に巡るキャッシュの量が増えていることは事実です。前段で述べた、コロナを言い訳にできない理由は、世の中に巡っているお金の量は正常化しつつあるからです。
いやいや、でも、うちの会社にはお金が残ってないよ!
そうですよね。それが2023年度最も問題になっている次の課題です。
③原油・原材料高・円安によるコスト高
景況調査では、採算性が継続的に低く推移しています。ロシアのウクライナ侵攻により始まった世界的な物価高は、原材料やコストを引き上げています。日本経済の全体では売上という全ての付加価値の原資は巡り始めましたが、その付加価値の引っ張り合いでは各個別の事業者で大きな格差が生じています。
取引上の力関係でいけば、いくら下請法の規制を強くしたところで、大企業側に中小・小規模事業者が逆らえないのは自明の理。川下にいくほど、利益は最小になっていく構造自体が問題です。
売上が上昇し、顧客や受注が増加しています。しかし、ここで問題となったのが深刻な人出不足です。経済が回りだして、売れるけど、追いついてない。なぜなら、コロナで人を削減してきたから。人の採用は急には整備できないものです。
じゃぁどうするか?そう、設備投資をし、省人化、省力化をするんですね。
景況調査の結果では、中堅・大企業の設備投資割合は増加傾向です。設備投資ができているのは中堅から大企業だけだった。その結果ますます格差が広がっている、というのが現在の問題点です。いわゆる【K時型】の景況状況ということです。
④深刻な人手不足
まずは以下のグラフを見てみます。
ん?労働力人口あがってるじゃん!
女性の社会進出など、労働力人口自体は増えていますが、それは都市部だけです。また、人材は給与の良い大企業が積極的に採用していることから、中小企業・小規模事業者においては慢性的な人手不足が続いています。
⑤ゼロゼロ融資の返済開始
ゼロゼロ融資とは、簡単にいうと、コロナ渦で売上が減少した企業に実質無利子・無担保で融資する仕組みです。その元金返済が2023年7月から本格化しています。それまでは元金返済を一定期間、据え置き(払わなくてよかった)状況です。
たまに勘違いしている経営者がいるので、少し説明すると、据え置きは基本的にはしないことがベストです。
例:運転資金750万円を5年返済で借りた場合
据え置きは、負担を先延ばしするだけであり、私もよほどのことがない限りは据え置きを事業者には進めません。コロナ期間中であれ、そのスタンスはあまり変えませんでした。せいぜい提案しても1年でしたね。
1年あれば、外部環境の変化に適応できる経営指導をしていたのと、1年で外部環境の変化に適応できなければ、厳しめにいうと、それは何も策を考えていないからです。
事業環境は安定してません。コロナが終われば、原油高、原油高がおわれば次は○○。その都度、外部環境へ適応しなければ、いずれか力つきるだけなんです。事実、倒産件数が増加しています。
借り換えすればいいじゃん!
確かに方法の1つですが、私が経営者であるなら、長いコロナで苦しめられ、売上は上がってきたけど、人出不足とコスト高でもうけはない。なのに元金返済が始まる。借り換えができます・・・でもそれは延命措置にしかならない。もう精神的に疲れたよ。とならないですか?そんなに単純な話ではないと思います。
なら、リスケをお願いしよう!
それを言っちゃおしめぇよ!笑。リスケしたら、銀行格付けで【要管理先】になりますよ!要管理先になれば、通常の借り入れができなくなります。まさしく会社の価値に傷がつくことです。それこそ事業者にとっては精神的にも大きなストレスになります。正常先を保ちつつ対策を打つことが、まずはベストだといえます。
とにかく逃げの対策はダメです!支援者側も、都度の課題である点だけをみるのではなく、少なくとも3年から5年先を見据えた経営支援プログラム(ロードマップ)を組むことが重要です。今回、予測する省人化・省力化補助金も、あくまで点です。
⑥景況感は停滞
話が脱線しましたので戻します。売上が改善していると申し上げましたが、直近の夏では停滞しています。歴史上類をみない酷暑だったことから、夏場はインバウンド需要が伸びたとはいえ、国内人口があまり外に出なかったという事態が生じており、決して良い状況ではありませんでした。
ここまでの話を聞いて、どう思いましたか?
マジでやばくない!?
そうなんです!本当に今手を打って行かないと、ヤバすぎるんです。これに災害が突発的にきたらと思うと・・・絶望です。
定量的な分析
売上が伸びていて、受注が増えているのに、なぜ中小・小規模事業者は設備投資ができないの?
ここについては、簡単に定量的な解説をします。
- 営業CF 微増
- 投資CF ?
- 財務CF マイナス
日頃から中小・小規模事業者の決算書を見ていて、今の【ヤバイ状況】で、損益計算書と貸借対照表のみで、そこの会社が続くか続かないかを判断するわけにはいきません。
簡単にいうなら、その事業者の事業用の通帳にいくらあるの?という話です。
①営業CF 微増
営業CF(営業キャッシュフロー)は、難しいことを除いて説明するなら、税引き後の営業利益額です(※減価償却などの細かい説明は省きます)。要は本業のもうけで、【現金】としていくら増えたの?ということです。コロナ前まで改善はしてきているのですが、コスト高によって【微増】という判断です。
③財務CF マイナス
返済が始まっている。ここには【元金返済】が入ります。これは大きなマイナスの状況であると判断できます。
ここで②の投資CFに科かかる質問です。投資できますか?
よし!この機会は今だからこと他者と差をつけられる!今こそが設備投資だ!
この判断をしていたい事業者や支援者側はめちゃくちゃ凄い!大きなリスクに対して、あえて投資をすることで、他者と差別化でき、売上を大きく伸ばした時期だったと思います。
でも現実は景況調査のとおりです。経営基盤の脆弱な中小企業にとって、②を現時点で積極的に実施できた企業はほとんどないことが現状です。中小企業はキャッシュがないんです。売上が上昇。現金微増。コスト高で現金減。しかも、ゼロゼロ融資の据え置き期間終了元金返済の重みがのしかかる。
しかも、インボイスが始まり、売上1,000万円未満の小規模事業者にとっては実質の増税であるので、①の営業CFはさらにマイナスとなる可能性が高い。
ここまで外部環境について解説してきましたが、この状況。まじで【ヤバイ】です。あまり、オブラートに包んで言うことは嫌いなので、まずは第1部では、現状を把握してもらうことで、どのような対策が必要か?また、だからこそ省人化・省力化が必要になることを知って欲しいとの願いです。
少し厳しい表現になっていることは、ご了承ください。私自身も今この状況を、本当に本当に【ヤバイ】と感じているからこそです。
・・・どしよ!
まずは現実を知ることが第1歩
ある経営指導員が「小規模事業者の決算書はみても実態とかけはなれているから、当てにならないから見てもしょうがないよ」ということを言っていました。確かに一理あるかもしれません。特に個人事業主は生活と一体化しているため、実態の利益が分かりづらいところもあります。ただし、中小企業診断士の勉強をとおして、経営分析を学んだ今では、【見てもしょうがない】とは決して思いません。理由は決算書の単なる数字はあまり当てにならないかもしれませんが、経営分析から得られる、その【事業者の癖】は支援の定量的な根拠になるためです。利益率が低い、回転率が低い、生産性が悪い、などの癖を発見し、仮説をもって、実際に現場にいくことで、課題を発見し、的確な課題解決支援につなげることができます。決算書から、分析し、仮説を立てることができる、それが正しいか間違っているかは現場にしか答えがない。しかしながら、何事も自分の自説を立てることができなければ、経営という答えのない世界で、支援をし続けることは厳しいのかもしれません。
世の中に意味のないことなど1つもない
まとめ
【次に来る補助金はこれだ!】令和5年度補正予算案【省人・省力化補助金】第1部・外部環境編、いかがだったでしょうか?
毎年、来年度の予測をしておくスキルを身に着けたい!という専門家や経営者の方のお役に立てれば幸いです。
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それでは、次の記事【第2部】でお会いしましょう!今回も読んで頂き本当にありがとうございました。