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【代理申請の闇】事業再構築補助金【申請依頼の前に】

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代理申請してた支援機関の審査が対象外になったみたい

事情があって、うちのパソコンから申請することあるんだけどなぁ

と、不安になっている支援機関の担当者や、今から申請を依頼しようと思っている事業者必見!

補助金報告の管理業に携ったことがある私が、今話題になっている代理申請による審査対象外について記事をまとめました。

  • 代理申請って?
  • 審査取消しの原因
  • 解決策・案
  • 採択後のポイント

この記事を読んで頂ければ、申請依頼の前に冷静な対応方法が備わること間違いなし!

Sebastian

正確に理解することが重要!

代理申請って?

2023年9月21日に、事業再構築補助金第10回公募もおいて、大阪府の【認定支援機関】の支援している事業者について、代理申請が疑われるため、審査対象外となったことが公表されています。

参考:事務局からのご案内 | 事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.go.jp)

代理申請のデメリット

代理申請とは、その名のとおり、申請の主体である事業者の代行をして、申請をするルール違反のことです。公募要領上以下の定めがあります。

申請者は事業計画の作成、実行及び成果目標の達成に責任をもって取り組む

※認定経営革新等支援機関を含む外部機関の【助言を受けること】は差支えない。必ず申請者自身で作成が必要。

いやいや、でも実態としては、あんな70頁超もある複雑な内容を、自分で書ける事業者はいないよ!

と実務的なお声が聞こえそうですが、それははっきり言って、間違っています。

  1. 伴走型支援の意味
  2. 策定と作成の意味
  3. 補助金漬けの恐怖

深夜まで、日々事業者のために無償で頑張っている支援機関もあることを十分承知の上で、代理申請のデメリットについて説明します。

①伴走型支援の意味

伴走型って、事業者といっしょに並走して、支援していくことだと思っていませんか?伴走型支援で重要なことは、最後に支援者の手を離れて、自走することを促すことです。支援者がその事業者の会社に就職して、同じ船に乗り、死ぬまで一緒にいるなら止めませんが、一緒の船に乗るのではなく、見送るまでを支援することが重要なんです。

事業者は優秀なあなたに依頼をし、地域でも頼れる存在になっていることは十分わかります。しかし、その支援は過保護な親といっしょ。あなたがいなくなった途端に、その事業者は極端な場合は路頭に迷うかもしれない。そこまで責任を取れるのでしょうか?

②策定と作成の意味

【策定】と【作成】の意味の違いは分かりますか?

策定方針や戦略、計画を考えて決めること。
作成書類や文章などを作ること。

支援機関の役割は【策定支援】です。【作成支援】ではありません。

私は補助金に関わる報告書の確認をする仕事もしますが、この意味の違いがわかっていない報告書が多数散見されます。支援者は、対話をとおし、課題をみつけ、課題解決のための方針や戦略、計画、そして実行プランを考えることが役割です。

1~10まで、支援者の構想を紙に落とし込んで作成したところで、それは事業者のためになりません。採択率に一喜一憂するだけの、自己満足の世界です。

3流自身で作成することさえできない
2流策定支援後、事業者の計画書を変わりに作成
1流策定支援を伴走型で支援し、自走を促す

そんなこと言っても、現場の実態を知らない奴が言うな!

とお声が聞こえそうですが、手前味噌ではありますが、私も恥ずかしながら、3流、2流の流れを深く経験し、私に頼めば通らない補助金も通ると隣町からでも事業者が相談に来るほど噂になっていました。ただ、それは自己満足だったんです。

1~10までやる支援は、事業者にとって毒です。あなたへの最初の感謝が当たり前になり、そのうち、感謝されることもなくなります。そこに残るのは空虚感のみ。そんな経験ありませんか?次のステップのために仕組みを提供することが重要だと考えています。

③補助金漬けの恐怖

補助金は事業者の今後数年先を見越した成長の起爆剤です。補助金を使うこと事態が目的になっていませんか?補助金は会社を理想の方向へ持って行くための【手段】であり、【目的】ではありません。

優秀な支援者が1~10まで支援し、常に補助金を取る。いづれか、それが当たり前になり、補助金が前提となる。補助金がなくても、自らが目的をもって投資し、成長していくことが重要です。

【商工業】の前提は自己責任の基に成長をしていく業種です。補助金漬けの〇〇分野とは違います。あなたの基に、既に補助金ありきで相談にきている事業者が多発しているなら、それは赤信号です。

補助金が通らなくても実行しますか?

この質問をして即答できない事業はそれでいいのでしょうか?お金が目的だけの事業者については、婉曲的に断る姿勢も重要です。

なぜ、発覚した?

本事業を管轄している中小機構が実施した手法は、【アクセス解析】です。いろいろとツールはありますが、有名なものでいえばグーグルアナリティクスなどでしょうか。

中小機構はセキュリティ対策において、日本でもトップクラスの慎重さで構築されていると、中小機構のシステム担当者とやり取りしてみて思います。

結論からいうと、申請において、どこの場所からアクセスがあって、その1つの場所から異常な申請アクセスがあるかなんてことは数分で把握できます。

ただし、重要なことはそこではありません。

なぜなら、1つの場所から複数の申請がある事実なんて、47都道府県でみれば、そもそもたくさんあるに決まっているからです。代理申請について、アクセス解析から調べられたら焦ると思っている支援機関の担当者は、物事の本質をもっと冷静に見るべきです。

また、申し訳ございませんが、今、SNSなどで単純にアクセス解析による代理申請発覚を、なんの見解も示さず】、不安をあおる投稿はすべきではありません。

代理申請が生じる実態

代理申請が生じる主な原因は以下です。

  1. 事業者にパソコンがない
  2. 支援機関内でいっしょに申請
  3. 複雑すぎて理解できない

①事業者にパソコンがない

あっても使えない場合も含みます。小規模事業者にはパソコンすらない事業者も存在します。例えば支援機関である商工会では、事業者が扱うためのパソコンを常時配置している場所がありますので、代理申請ではありませんが、商工会(支援機関)のある場所から申請をしている可能性は十分あります。

②支援機関内でいっしょに申請

支援機関内で事業者といっしょに策定し、申請するパターンもあります。事業者によっては夜遅くに相談に来る場合もありますし、申請締め切りに前に集中する可能性も十分あります。代理申請ではありませんが、送信がその日のある地点に集中することは可能性として考えられます。

③複雑すぎて理解できない

公募要領は70ページ超あります。内容が複雑であるため、策定支援だけでなく、作成支援もしなければ、申請できない事業者が多いことも事実です。私の経験上、完全に事業者に任せた場合はまちがいなく、【事業計画ではなく小説】になります。あくまで作成代行ではなく、作成の支援です。

特に大型の補助金については、事業計画のイロハも教えなければ間違いなく不採択になります。しかし、事業計画の様式が似通ったものが複数出てきた場合は要注意です。

事業者ごとに計画のポイントは必ず異なるため、グラフの位置やフレームワーク、実行プランが全く同じテンプレートになっているものは代理申請である可能性が高いと判断されます。

Sebastian

独自性のある計画か?

審査取消しの原因

審査取り消しになった支援機関について、その原因の本質をいっしょに考えていきましょう。

審査取消しの実態考察

そもそも、なぜ、その支援機関は審査取り消しに至ったのでしょうか?

アクセス解析をすれば、1つの支援機関からアクセスが大量にあることなんて、47都道府県で異常な数が発覚することは説明しました。

結論からいうと、その認定支援機関のやり方が悪質だった】から、代理申請を理由に取り消しにあったと考えるのが妥当でしょう。

  • ×【アクセス解析】→【支援機関の特定】
  • 〇【悪質な支援機関の発覚】→【アクセス解析で特定】

ランダムでアクセス解析が多かった支援機関を特定したのではなく、センターに悪質な支援機関のクレームの問い合わせがあり、調査したところ、アクセス解析で特定に至ったと考えるのが妥当でしょう。

日々、健全に支援をしている場所に、アクセスが多いから、取り消しです、は社会通念上、倫理的にも、天下の中小機構がそんな指示をする訳がないです。

認定支援機関について

では、どこの認定支援機関が悪質なことをしたの?

と考えますが、当然そこはわかりません。ただし少なくとも【今回の対象ではない認定支援機関】は予測が可能です。

今回の事件が発覚した大阪府について、実際の認定支援機関の種類は主に以下になります。

  • ・NPO法人
  • ・コンサルタント
  • ・一般社団法人
  • ・監査法人
  • ・銀行
  • ・公認会計士
  • ・行政書士・行政書士法人
  • ・司法書士
  • ・社会保険労務士
  • ・信用金庫
  • ・信用組合
  • ・税理士・税理士法人
  • ・地銀
  • ・中小企業診断士
  • ・弁護士・弁護士法人
  • ・民間コンサルティング会社
  • ・その他銀行
  • ・商工会
  • ・商工会議所
  • ・中小企業団体中央会

参考:中小企業庁:経営革新等支援機関認定一覧について (meti.go.jp)

こんなにあるんです。要領上は以下で区分されています。

認定支援機関名報酬の有無
・特殊法人(株式会社日本政策金融公庫等)無料
・特別法人及び特別法人に所属する組織(日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会及び各単会等)無料
・中小企業庁の設置する各種相談窓口(よろず支援拠点等)無料
・中小企業庁所轄法律に定められる中小企業支援者(認定経営革新等支援機関等)有料あり
・中小企業庁の所管する事業における中小企業支援者(中業企業119の専門家・地域プラットフォーム等)有料あり

ここで質問です。【悪質なやり方】が発生する可能性があるのは、どのタイプの認定支援機関でしょうか?

答えは【報酬をもらっているか】、【報酬をもらってないか】です。

つまり、上記の表の完全無料である支援機関については、安心してください。無料で支援しているのに、センターに事業者がクレームを入れることは考えづらいのと、トラブルについての悪質さでいうと、やはり【金銭面のトラブル】が多いと考えられます。

無料の認定支援機関は【事業者からキックバックをもらっているなどの悪質な職員】がいない限りは大丈夫です。

実際に大阪府の無料の認定支援機関の担当者に電話したところ、「商工会や商工会議所については、大阪府にも確認したが、そのような悪質な報告は受けていない」「・・・ただし、以前から、ものづくり補助金などを活用した悪質な事業者(支援機関)がある、とは噂レベルでは聞いている」とのことでした。

もちろん、その他民間の認定支援機関でも、【無償で支援】をしている認定支援機関は問題ないと考えられますので、ご安心ください。

ただし、デメリットとしては報酬を貰わない分、支援には限界がある点と採択率が低くなる点です。

報酬の実態

要領上の注意点として以下の注意喚起があります。

注意喚起の内容

事業計画の検討に際して外部の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容と乖離した高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください。不審に感じることがありましたら、以下のトラブル等通報窓口までご連絡ください。

破格の請求をする事業者が実態として存在します。今回の代理申請の発生原因は、概ねこの質の悪い事業者に対して、指導をするための手段だと考えられます。

具体的には以下の内容です。

・提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を申請者に請求する。

・金額や条件が不透明な契約を締結する。中小企業等に対して強引な働きかけを行う。

・費用の水増しなど申請書に虚偽の内容の記載を教唆する、又は、作成支援者名を記載しない ように求める。

・事業計画書の確認に際し、認定経営革新等支援機関が事業者への支援の一部又は全部を他者 に委託、外注する。

代理申請を禁止していることは前提ですが、そもそも支援の形として、社会通念上や倫理的に問題のある場合、審査取り消しになると考えられます。

なお、申請支援の実態に関する調査結果からは、 申請した事業者の支援者のうち、約2/3が【報酬なしでの支援】を行っています。

(出典:令和4年4月 事業再構築補助金事務局:事業再構築補助金(第1回~第4回公募)認定経営革新等支援機関の報酬より)

この結果を見ると、全体の7割近くが報酬無しであり、残りは15%以下の報酬割合がほとんどとなっています。また、採択率では10%以下、15%以下の採択率が高い実態もあるので、高額な報酬を払っている事業者が採択率が高いことも事実です。

しかしながら、15%超については採択率が下がっていることは恣意的に下げられている可能性が読み取れます。金額報酬でみても、1,000万円を超える場合は最も採択率の低い38.4%であるため恣意的に除外している可能性があります。

統計のみで判断するのであれば、6,600万円以上の案件で、報酬割合が15%超の場合はほとんど採択されない可能性があります。アッパーで1億5,000万円の案件まで申請ができますが、1,000万円の報酬を上限とするなら、6%~7%が妥当なラインといえるかもしれません。

全体的には1,000万円を額で超えず、最大で15%以下で報酬を設定することが望ましいということだと考えられます。社会的な相場は、着手金で5万円~20万円、成功報酬で10%~20%程度ですが、上記の数値を意識し、報酬をもらっている支援機関は適正な取引を意識してください。

Sebastian

納得して依頼することが大事!

解決策・案

それでも、なんか不安だなぁ。

と、思う認定支援機関の担当者は以下に気を付けてください。

  1. 事業者の事務所で申請
  2. 根拠書類の準備
  3. テンプレ禁止

①事業者の事務所で申請

パソコンを持っている事業者の場合の申請は、事業者事務所で実施し、申請のその瞬間は必ず、事業者の事務所から送信をしてください。ただし、時間的な余裕が必要になりますので、事前の計画性や、進捗管理能力が高くなければなりません。

②根拠書類の準備

代理申請ではなく、事業者自身が作成している根拠を準備しておくことが重要です。相談のたびの事業者カルテに、進捗状況を記載していおきます。あくまで【策定支援】、【助言】を行っている事実。【課題】を検討し、最後にいっしょに支援機関の窓口で申請した方法なども証拠としてカルテに保存しておきます。くれぐれも検査が入った時に、事業者が「?全部、支援機関がしてくれました。」なんてことにならないようにしましょう!

③テンプレ禁止

グラフの位置や、使用しているフレームワーク、実行プランまでいっしょなどは考えずらいので、その事業者の独自性が見て取れない物は要注意です。代理申請の疑いをかけられます

ただし、実務上、策定支援をする時に同じ型式で支援する場合もありますよね。

支援の型式が1つしかない人は2流です。業種や目的、状況によって、様々な型式があるから1流なんです。同じ型式を使いまわしているようでは、代理申請の疑いをかけられます。事業によって、最低でも提案できる【5種類以上の戦略パターン】を準備しておきましょう。

Sebastian

依頼する前に確認!

採択後のポイント

代理申請の問題とは別に、非常に多いトラブルが【採択したけど、補助金が下りなかった】トラブルです。実際に補助金採択後の審査をしている私の視点から、アドバイスをしていきます。

ここで質問です。

採択=補助金が出る】と、大喜びしていませんか?

違いますよ!

採択~実行までが重要であり、全てを滞りなくルールとおりにできて、やっと補助金が入るんです。採択自体に一喜一憂しているのは2流以下の話です。

特に新人コンサルや新人職員に多いトラップであり、クライアントや会社に与える影響は計り知れない被害になるので要注意です。

公募要領のポイント

まずは公募要領の内容について、以下に示します。

公募要領のポイント

補助交付候補者の採択結果は、事業計画に記載のある金額の全額に対して、補助金の交付決定を保証するものではありません。補助金交付候補者の採択結果は、事業計画に記載のある金額の全額に対して、補助金 の交付決定を保証するものではありません。補助金交付候補者の採択後に「補助金交 付申請」をしていただきます。その経費等の内容を事務局で補助対象経費として適切 なものであるかどうかの精査を行います。精査の結果次第では、交付決定額が、応募 申請時に計上している補助金申請額から減額または、全額対象外となる場合もありま す。

この内容が示すことは【採択後のトラブルが多い】ということです。もしかしたら、前段の代理申請トラブルも、この内容に抵触し続けた認定支援機関だったことも考えられます。

中小機構の担当者とお話をしたときに、「事業再構築補助金の担当課は・・・」と明らかに計り知れない大変さがあることをにじませていました。ルール通りにできない申請者がいることで、管理する側に多大な迷惑をかけている実態もあることを把握してください。

不正がトラブルが起きるたびに【申請や実績報告が難しくなる】んです。

不正が起こらない対抗手段は何でしょうか?審査を厳しくすることです。出す証憑類をよりハードにすればするほど、不正は起こりにくくなるのは考えればわかります。

事務局側は嫌がらせで証憑書類を細かくしたい訳ではありません。一部の悪質な申請者によって不正が起きないために、厳しくせざるを得ないんです。真面目にしている事業者にとってはひとたまりもありませんが、厳しく目を光らせなければ、そもそも国から補助事業自体をなくす動きがきますので、本末転倒です。

補助事業の流れ

1つ質問します。

採択された事業計画書って、本当に実行されてよい経費で成り立っているか確認していますか?

審査は概ね以下の2段階で実施されています。

フェーズ審査人審査内容
申請時専門家など事業計画・補助計画
申請後の書類再委託事業者適正な証憑管理
申請経費の可否判断補助金交付先適正な経費管理

採択までのフェーズは、専門家が【事業計画の良し悪しを、明確に点数で評価】します。ここで覚えておかないといけないことが、【事業計画の良し悪しで判断している点】です。本来では、そもそも導入されてはいけなかった経費も、たくみな文章能力で、専門家にさえ誤認させるパターンがあります。

このパターンの事業計画書は一見すると優秀に見えますが、そもそも補助金が最後に手元に入るまでが支援であることを考えていない、自分の計画書にみに溺れているパターンです。

例えば、【特殊印刷用の輪転機】と補助計画に記載していながら、実態は【汎用性の高い高性能のオンデマンド印刷機】を導入するなどです。

採択した責任は、採択した側にあるんじゃないの?

そんな理屈は正直騒ぎ立てたところで通りません。【事業計画書は認めた】という事実だけです。実施においては、上記の別のフェーズで審査し、専用の経費部分だけ認めるというだけです。

事業計画書が優秀だから通らないものも通せると思っているコンサルタントや支援者は火傷どころじゃ済みませんので、今すぐ勘違いをやめましょう!事業計画書作りに没頭し、公募要領をきちんと読まない支援者に関わった事業者は悲劇でしかありません。

経費について

NGになる経費例について、解説します。なお、これは公募要領の抜粋ですので、詳しくは必ず公募要領をしっかりよんでください。

大前提

専用のみ。汎用性の疑いのあるものは一切だめ!

この文言で、ほぼ全ての理解が完了といっても過言ではありません。これは全ての補助金ルールの大前提です。

公募要領に【専ら】という言葉がアンダーラインとなっているのは、事業専用のものでないとダメだという縛りです。つまり、汎用性があるものはだめです。また、既存事業用の単なる買い替えもだめですので注意しましょう!

専用とは、例えば繊維製品製造業であれば、IOT対応の自動裁断機であれば、その業種専用でしか使用しないことが分かります。自動裁断機を飲食業では使いませんよね。他の業種などでも、使用できるものは専用とはいえませんので注意が必要です。

特に、事業再構築補助金の特徴は建物費がありますので、機械と異なり、あいまいな部分もありますので慎重に実施していく必要があります。建築物の申請を出す場合は申請段階で必ず、想像ではなく、事務局に確認することが重要です。

金額も多額ですので、もし認められない場合の損害は甚大です。冷静にその事業者に与えるインパクトを考えましょう。場合によっては申請を止める提案をすることも勇気です。ここは本当に大事ですよ!

補助対象にならない経費一覧

事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費、 諸経費、会社経費、一般管理費、現場管理費、雑費等、詳細が確認できない経費、フランチャイズ加盟料、電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯 経費は除く)、 商品券等の金券、販売する商品の原材料費、予備品の購入費、文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌 購読料、新聞代、団体等の会費、飲食、奢侈、娯楽、接待等の費用、不動産の購入費、構築物の購入費、株式の購入費、税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のため の弁護士費用、日本国等が行う一定の事務に係る役務(登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、 試験、証明、公文書の交付等)に対する手数料、収入印紙、振込等手数料(代引手数料を含む)及び両替手数料、公租公課(消費税及び地方消費税額(以下「消費税等」という。)等)、各種保険料、借入金などの支払利息及び遅延損害金、事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用

※その他もありますので、公募要領をしっかり読み、わからない場合は事務局に判断を仰ぎましょう。

証憑のルール

証憑のルールについて簡単に説明します。ただし、非常に重要な点です。

(出典:補助事業事務処理マニュアルより(経済産業省大臣官房会計課))

この表の【〇】部分が全てです。この流れで各証憑が必ず必要で、且つ【日付が流れていく】ことがルールです。

特に【発注日は事業開始後】、【支払いは事業期間内】にできていないトラブルで多いので、まずはここの管理を絶対にミスしないようしなければなりません。

当たり前ですが、発注書や支払書、通帳の入金改ざんは、犯罪ですし、すぐばれますので、絶対にしないこと!また、このルールを守れなければ、どんなに素晴らしい事業だろうと一切認められません。気づいた後動いても無理です。数百万から数千万円の責任をあなたは取る覚悟がありますか?慎重に実施支援をすることが重要です。

事業のスキーム

最後に事業スキームについて、ちょっとした豆知識を解説します。

まず国の予算が決定します。予算には本予算と補正予算があります。


予算
本予算は、一会計年度( 4 月 1 日~翌年 3 月31日)の財政計画に基づいて算出された 年間予算のことで、当初予算ともいいます。 1 月に召集される通常国会の前半で政府予 算案が国会へ提出され、審議を経て、 3 月末日までに成立するよう定められています
補正予算なお、補正予算は11月から12月の間に予算編成が行われ、翌年の 1 月頃の国会審議を 経て成立し、 4 月以降に執行されます。このため、令和 4 年 4 月以降に公募が始まる補 助金の正式名称は、令和 3 年度補正予算から執行されることから、「令和 3 年度補正〇 〇補助金」となります。

事業再構築補助金は、【補正予算】です。時期的(執筆期9月末)には、まさしく今、各関係団体が要望書を作成し、12月の向けて準備をしています。私の現職の部署でも、詳細はいえませんが動いています。

決定した補助事業に基づき、補助金の交付先(今回は中小機構)が国に実施報告に基づいて都度、請求をしていく流れです。

なお、中小機構は公務員より公務員らしい組織であり、不正やルールに即さない内容は厳しく対応をしていくイメージがあります。管理をしているのは中小機構であり、特に適正なルールのもと、申請することが必須です。

大型の補助金では、補助交付団体のみでは業務を回すことはできない場合が多いので、事務を委託します。今回はパソナがその役割を担っています。

委託を受けた事務局は補助事業のスペシャリストではありません。あくまで事務センターですので、事務的な証憑が適正に実施されているかを確認します。補助事業に合致しているかのジャッジはあくまで、中小機構がすることを覚えておきましょう。

基金って?

基金とは、独立行政法人、公益法人等や地方公共団体が、国から交付された補助金等を原資として、特定の用途に充てるため、他の財産と区分して保有する金銭。【複数年度にわたる事業であって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であること】その他の特段の事情があり、あらかじめ当該複数年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的でかつ効果率的な実施に必要であると認められるもの。

Sebastian

最後まで責任を持つ事業者を選定!

最後に

事業再構築補助金は、中小企業や個人事業主が新たなビジネスモデルを構築し、競争力を高めるための強力な支援策です。これを活用することで、現在の経済環境に柔軟に対応し、持続的な成長を目指すことが可能です。

申請手続きや要件は詳細かつ厳格ですが、適切な準備と計画を立てることで、成功に繋げることができます。また、専門家の助言を受けることで、申請の成功率を高めることも重要です。

支援者側は補助金の本来の在り方を理解することが重要です。また、依頼する事業者側は当事者意識を持ち計画を策定することが重要です。

ぜひ、この補助金を活用して、自社の未来を切り拓いてください。新たな挑戦が皆様のビジネスにとって大きな成長のきっかけとなることを願っています。

ABOUT ME
Great Sebastian
Great Sbastian School 学長 Great Sebastian 専門分野(店舗管理/店内製造/衛生管理/管理会計/景況調査/補助金審査) 資格(中小企業診断士・第一種衛生管理者・調理師・2級(FP/簿記/販売士) 【あなたを中小企業診断士にしたい!】

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