「中小企業診断士養成課程では、PCスキルが必須!?」
「スキルって関数とか?やっていけるかな?」
「学生時代はパソコンは必須じゃなかったしなぁ・・・」
と不安を抱えている方ご安心ください!
実際に中小企業診断士養成課程に行った私が、具体的なPCスキルについて記事にまとめました。
- PCスキルが必須な本当の理由は?
- 早い人の特徴は?
- 最低限必要なPC操作のノウハウは?
- 具体的に、PC技術をどのように応用するの?
中小企業診断士養成課程のPC技術は、パソコンの操作技術を指している訳ではありません。卒業後に診断士として活用する「一生ものの診断士報告書ツールを作成すること」が目的です。
この記事を読んでいただければ、PCスキルに必要な基本操作から、実習で活用する応用技術に加え、「一生ものの診断士報告ツール」を作成する基本が身につくこと間違いなし!
いつもありがとうございます!学長のグレート☆セバスチャンです。私のプロフィールは、こちらへ。
PCスキルって?
「応募内容に、PCスキル必須って書いてあるし、さっそくパソコンの参考書買いにいかなきゃ!」
ちょっと待ってください!確かに中小企業診断士養成課程の必須項目に「PCスキル」があります。でも、それって「パソコンの操作技術」を言っているのでしょうか?
中小企業診断士養成課程のPC技術は「報告書を作る技術」を指します。
養成課程の応募要項を読み、やみくもにパソコンの参考書を見て勉強することは効果が高いとはいえません。「報告書作成のためのPCスキル」であることを認識することが重要です。
「報告書」は計5回の実習で作成必須のものです。1回の実習につき報告書一式を、10日以内に作成しなければなりません。
報告書名 | ページ数 |
中間報告書・最終報告書 | 150頁~200頁 |
資料編 | 100頁~150頁 |
その他集計資料など | 30~50個 |
プレゼンテーション資料 | 100頁~120頁 |
ムリムリムリムリムリムリ!
安心しろ!一人でするわけじゃぁ、ない。
1回の実習につき、養成機関の違いあるとは思いますが5名~8名程度の班員全員で作成を進めます。単純計算で1人あたり「20頁~30頁」というイメージです。
くれぐれもPCスキルと聞いて焦って、すぐに参考書に手を出さないようにしましょう。
PCスキルが必要な3つの理由
「養成課程に必要なPCスキルは報告書作成技術というのはわかったけど、そもそもなんで報告書作成のために必要なの?」
「報告書作成のためのPCスキル」が必要な理由は3つあります。
- グループワークへの悪影響
- 個人作業時間の効果を最大化
- 卒業後に使用できるフォーマット作成
グループワークへの悪影響
中小企業診断士養成課程での実習は主に以下の流れです。
日程 | 内容 | 場所 |
1日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
2日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
3日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
4日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
5日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
6日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
7日目 | 報告書作成 | 養成機関等 |
8日目 | リハーサル | 養成機関 |
9日目 | 報告会 | 養成機関 |
10日目 | 実習の振り返り | 養成機関 |
報告書作成に集中できるのは、「実質1日」です。決められた納期に一人でも資料作成が間に合わなかった場合、個人の評価はもちろんグループ全体として評価が低くなります。
グループワークでは以下の要素が必要です。
- 班の運営能力
- 能動的な発言や行動
- 集合作業であることの自覚と行動
- 担当業務の着実な遂行
「班の運営能力」は、班長に一任されている訳ではありません。どの役割でも、班員を導く「ファシリテーション能力」が求められます。
「能動的な発言や行動」、「集合作業であることの自覚と行動」は養成課程に臨む上での心構えです。遠慮と謙虚は異なることを常に意識する必要があります。
「担当業務の着実な遂行」が報告書作成のみに絞れば、最も重要な点です。グループワークで良い意見や行動をしていても、その内容を報告書に伝わるように落とし込めなければ、成果は0に等しいと言えるでしょう。
また、毎日2時間~4時間程度の睡眠時間で作成する場合が多いので、班員全員が平時の精神状態ではありません。一人が遅れることが、班員同士の間接的な不和を生み出す原因にもなります。
残念ながら、もし1度でも「報告書作成が遅い」と思われると、「あの人とはグループで組みたくない」という集団の先入観が生じます。
誰かが助けてくれるよ!
その考えが一番、危険だ!
個人作業時間の効果を最大化
実習を進めるにあたり、主に以下の「時間」があります。
- 現地調査
- 分析・検討
- 執筆
1日だけの「執筆時間」を効率的に進めるために、最も重要な時間は「個人作業」の時間です。
実習7日目の1日だけで執筆をするには、実習1日目~6日目をどのように有効活用するかが鍵になります。実習7日目だけで、執筆にかかる準備~資料作成をしていてはとても間に合いません。
早朝 | 日中 | 夜 |
個人作業 | グループワーク 現地調査 | グループワーク |
分析・検討 (個人) | 分析・検討 集計作業 | 分析・検討 (グループ) |
「分析・検討」の時間には「グループで検討する時間」と「自分で考える時間」があります。「グループで検討する時間」は共同作業であるため、早めることが難しいです。
早朝の時間が最も効率が良いので時間帯的におすすめです。これは実習に限らず、演習においても早朝の仕込みでその日のパフォーマンスが大きく変わります。
前提として「執筆の意味」について説明します。「実習7日目の執筆」は「単純に書く時間」を表しています。「個人作業の執筆の意味」は以下で構成されています。
「分析・検討」:自説の証明やグラフ化、図式化、構成を考える時間
「執筆」:単純に書く時間
「推敲」:誤字脱字修正など
「単純に書く時間」を「執筆」と捉えているのであれば、その時点で時間の使い方に齟齬が生まれ、間に合わない、もしくは質の低い報告書になります。
「分析・検討」でいかに、自説の証明やグラフ化、図式化、構成を考える時間に割けるかが重要です。
個人作業時間の効果を最大化するためにも、PCスキルを活用し、考えを絵や文章にする能力が必要となります。
執筆って、ただ書く時間じゃないの?
違う!構成から作成までだ!
卒業後に使用できるフォーマット作成
「なんか難しいなぁ。受講生のレベルだし、ある程度の報告書でいいんじゃないの?」
本当にそうでしょうか?もし、そんな考えの班員が多いグループに属していたら悲劇でしかありません。今手がけている資料が、「中小企業診断士人生としてのお金を生み出すツール」としての認識をすることが重要です。
高い受講料を払っている養成課程の全ての資料は、2次試験合格者では手に入れることのできない有料級の実践資料ばかり。常に本番であること、班員全員に強く意識して欲しい部分です。そこに妥協があってはなりません。
教材や診断報告書を振り返りながら、自力で経営診断を実施できるレベル
卒業後の様々な実務経験を通じて、自力で中小企業診断士としての診断能力を高めることができるレベル
あとで読み返してみて、「変な報告書」「卒業後に使えない報告書のひな型」であれば、実践経験の積める養成課程に来た意味はありません。
卒業後に、中小企業診断士として差がつくかは、実習の取り組み1つ1つに妥協なき信念で取り組んだかによります。そのためにPC技術を備えておくことは必須だといえます。
ゆる~くいこうよ?ね?
ハウス!本気の人を邪魔するな!
報告書には「いいでき・わるいでき」があるのでしょうか?もちろんあります。「集団浅慮」。現実はなぜか、グループで考えると停滞してしまう。結果、あれだけ考えたのに、なぜかいいできになっていない。こう感じることも養成課程の醍醐味です。解決方法は、「レイヤーを合わせること」と「自説部分だけは深く展開すること」です。「レイヤーを合わせる」ことは、各班員が考えている階層はおおいに、食い違いがある場合が大きいためです。今、その内容は概念化(抽象化)したほうがいいのか、いやいや具体化したほうがいいのか、行ったり来たりして考えると糸口が見つかるかもしれません。次に「自説部分だけは深く展開すること」は、結果的に自分の考えている課題解決が班員の総意になるとは限らないということです。しかし、中小企業診断士として自分の答えがここにあると思えば、自分の担当パートで深く展開することが重要です。総論はグループの総意、各論は個人の支援対象者へ自分が最もヒットする内容を提案すること、そうすることで、報告書のその部分が輝き始めるかもしれません。「報告書に濃淡がある」とインストラクターが言うことは、「いいでき・わるいできの部分がある」という意味です。もし報告書に濃淡がない評価を受けているのなら、全ての班員が本気で取り組んでいる証なのかもしれません。
時には「嫌われる勇気」も必要
報告書作成の早い人の3つの特徴
「報告書作成に必要な理由はわかったんだけど、作成が速い人ってどんな特徴があるのかなぁ?」
報告書作成が早い人と遅い人の特徴は以下が考えられます。
項目 | 早い人 | 遅い人 | 重要度 |
自説 | 明確 | 不明確または、ない | 高 |
考察方法 | 図や表、グラフ | 文章のみ | 中 |
タイピング速度 | 早い | 遅い | 低 |
報告書作成の速度は「自説」「考察方法」「タイピング速度」が重要です。また重要度でいけば、「自説」が最も重要で、次に「考察方法」、最後に「タイピング速度」となります。
順を追って報告書作成が速い人の特徴を解説していきます。
自説
「自説」とは、端的にいうと、中小企業診断士としての「見立て力」です。「見立て力」とは、「最も重要度の高い課題を解決に導く仮説力」です。以下のステップで「見立ての設定」をします。
- 「仮」見立ての設定
- 現地調査の実施
- 「本」見立ての設定
①「仮」見立ての設定
現地調査前に以下の資料を渡されます。
- 診断予備調査票
- 決算書
インストラクターの考え方によって、補足資料があるかもしれませんが、主に上記の2点です。
「診断予備調査票」からは主に以下の項目が事前に調査されています。
企業基本情報 | 企業名 代表者 創業年度 後継者の有無 住所 資本金 業種・業態 敷地面積 建物 |
実習情報 | 企業ホームページ 営業時間 入手資料 |
従業員 | 就業形態別人員体制 平均年齢 所定労働時間など |
給与 | 給与体系 |
販売 | 売上構成比 得意先一覧 広報 営業 |
株主構成 | 持ち株の状況 |
機械設備 | 設置機械・台数 |
生産状況 | 生産の種類一覧 |
生産形態 | 内製割合 外注割合 |
収益状況 | 2期分 |
経営基本情報 | 企業沿革 経営理念 企業の将来像・方向性 主要製造・取り扱い製品・商品 生産概要 販売体制 組織・人事等 現在抱える経営上の問題点・課題等 |
社長が明確に課題を認識している場合は、既に「現在抱える経営上の問題点・課題等」の「オーダー」があります。しかし、ほとんどの場合、社長自身が課題を認識していない場合が多いので、「診断予備調査票」の定性情報から「仮の見立て」を考える必要があります。
「決算書」は、2期分もしくは3期分を貰えます。損益計算書・貸借対照表です。ポイントは以下になります。
経営分析 | 収益性分析 効率性分析 安全性分析 生産性分析 |
キャッシュフロー計算書 | 作成 分析 |
「え?財務分析苦手だなぁ。」
と苦手意識のある方は「経営分析」と「キャッシュフロー計算書」について、2次試験の教材で事前勉強を推奨します。なお、到達レベルは「電卓で主要分析をはじけること」です。
定性情報から得た「仮の見立て」と、決算書から得た定量情報の「仮の見立て」の整合性があるかを検証します。
◆例:見立てその①
診断予備調査票 | 外注割合が高い |
決算書 | ①収益性分析 営業利益率が業界平均と比較して低い ②効率性分析 有形固定資産回転率が業界平均と比較して低い |
仮の見立て | 新たな機械設備を導入し、内製化を図ることで生産性が向上し、収益改善につながらないか? |
直観でも良いの?
いい!「自分の考え」が重要なんだ!
「現地に行かないと、結局わからなくない?」
そのとおりです。現地に行ってわかるのは、「真実」です。「仮」見立ては、あくまで「仮」の見立てです。
しかし、何も課題意識を持たずに行けば、気づくものも気づきません。1次試験で学んだ知識をフル活用し、事前準備を行うことが重要です。
②現地調査
現地調査で最も重要な日は「初日」です。「初日」は、まだ先入観がない状態で店舗や工場内を見ることができます。
事前に準備した「仮」の見立てを基に、気になる箇所を必ず記録してください。「ただ見る」のではなく、「診る」ことが重要です。
売場を診るときの例は以下です。
項目 | 内容 |
接客 | あいさつはできているか? 不快な行動はないか? |
品切れ | どの商品が品切れしているか? 時間帯ごとに違いがあるか? |
鮮度管理 | 賞味期限切れが放置されていないか? |
清掃 | 埃や汚れが目立っていないか? |
工場を診るときの例は以下です。
項目 | |
動線 | 人や機械の動きはどうか? |
配置 | 人や機械の配置はどうか? |
稼働 | 稼働と停止の頻度や時間はどうか? |
要素 | 作業内容はどうか? |
「でも、それって職種の経験で差がでるんじゃない?」
確かにそうです。普段から製造業を担当している人や、小売業を担当している人とは明らかに診断に差がでます。しかし、「素人ならではの気づき」のほうが、業界人からの視点とは異なり、社長に響くことが多いのも事実。自分の意識次第です。
現地視察の流れは以下です。
- 顧客の視点
- 違和感の察知
- 原因の考察
この流れは練習ができます。普段何気なく活用しているスーパーやコンビニを、上記の流れで考える練習をするだけで、違和感の察知能力が格段に向上します。
◆例:見立てその②
視点 | 機械を導入し、内製化を図ることは工場が手狭であり、現実的ではない |
違和感 | 売場の売筋商品が欠品していて、顧客が店員に質問している |
考察 | 売筋商品をすぐに出せる工場内の体制になってないのではないか? |
「仮」見立て、はずれてる?
「真実」は「現場」にある!
「結局、現地に行くことでわかるから、仮の見立ては必要なのかな?」
もし仮の見立てを設定していなければ、新しい提案に繋がるのでしょうか?さらに言うのであれば、「機械を導入すること」も「1つの答え」です。
診断するあなた自身が、現場を診て、どう感じ、何が、どのような効果を生み出すのか?あなた自身の考えとその証明が重要であり、答えは無限に存在することを認識する必要があります。
③「本」見立ての設定
「診断士は答えのない世界」です。税理士や弁護士のように、法の答えに縛られない分、提案は無限にあります。
だからこそ「自説」が重要なんです。
◆例:見立てその③
検証① | 売筋商品の粗利益率は他の商品より、10%以上高い。 |
検証② | 毎日廃棄が0。品切れが常時生じている。 |
「本」 見立て | 工場内の人の動線や機械配置を変え、作業を見える化する提案をすることで、作業効率があがり、売筋商品の回転率向上、収益性の改善につながる。 |
ん?「仮」見立ての結論と一緒?
そう!アプローチを変えたんだ!
自説のない報告書の最たる特徴は、「単なるインターネットでも調べられる情報の羅列」です。そんな報告書に価値はなく、そんな診断士にオファーがくることはありません。
「自説」は報告書を書く上で、最も大事な要素です。
なぜなら、報告書の柱がぶれない設定をするからです。ゴールを設定し、現場検証し、証明し、効果を上げること。自説の展開が不明確であれば、一貫性がないため、報告書作成も遅くなることは火を見るよりも明らかです。
考察方法
自説の次に報告書作成が速い人の特徴が、「図やグラフ、表」による考察方法です。以下の流れで考察していきます。
- 考察内容の決定
- 視覚化
- 文章の作成
具体的な例で解説していきます。
例:自説:社員のモラールを向上させるために、社長のワンマンではなく、全社員が成長する仕組みの提案が必要。
「自説」に対して、以下を証明する要素として考察。
①考察内容の決定 | ②証明手段(視覚化) |
管理業務の明確化 (採用・配置) | PDCAサイクル 組織の成長階層 組織体制 |
公平な評価 教育の仕組みの導入 (評価・報酬) | ヤーキーズ・ドットソンの法則 目標設定型と要求型 スキル測定票 |
社員成長の促進策 (能力開発) | 働くことへの不安割合 マイスター制度 国家資格取得制度 |
考察内容は中小企業診断士の1次試験の知識もしくは2次試験の知識を活用します。1次試験の参考書から使えそうな知識をピックアップすることが重要です。
実習生には、「1次試験の知識は実際の現場実習では役に立たない」と言っている場合が良くあります。残念ながら、それは1次試験の知識を実務レベルまで昇華できていないからです。
・・・1次試験の知識忘れた。
参考書を見て、思い出すんだ!
→「1次試験の準備で差がつく」の記事は今後書く予定です。
次に証明手段については、2つの方法があります。
- ネット検索や書籍による情報
- オリジナルツール
「ネット検索や書籍による情報」は、全ての実習生が活用する内容です。比較的簡単に視覚化することができます。
「オリジナルツール」は、代表的なものとしては「グラフ」です。調査した内容を円グラフ・棒グラフ等で視覚化します。「図」については、フレームワークが有効です。
おすすめの本はこちら。これは必ず一冊持っておきたい!
さらに、もう一段階上の階層があります。「経験値による証明ツール」です。
例:元・小売業・店内製造業のマネージャー経験者の場合
- オペレーションマニュアルの作成
- 製造計画書の作成
- 原価管理表の作成
ここまでのレベル感は必要ありませんが、もし班員に異色の経歴者がいた場合は相談してみてください。診断士として成長ができる幸運な機会となります。
視覚化までできたら、最後に文章説明を入れます。場合によりますが、「文章:視覚イメージ」=「1:1」というイメージです。
なお、ごく稀に報告書を文章のみで記載したほうが分かりやすいという考えの班員がいますが、多忙を極める中小企業の社長に対しては、極力視覚的に分かりやすい内容を推奨します。
執筆前までに、視覚化が完了している場合、半分の労力で報告書が書けるため、作成が速いことが理解できます。特に「プレゼンテーション資料」は瞬殺レベルで完成するため、発表の練習に時間を割くことが可能です。
タイピング速度
最後に「タイピング速度」です。重要度は最も低いです。最低限「ブラインドタッチ」で文字を打ち込めるレベルであれば問題ありません。
タイピング速度が不安な方には練習方法があります。「演習」の記録をはじめ、全ての記録を手書きではなく、ワードで記録することです。
研修が始まった時にパソコンを打ち込んでいる受講生は私を含めて2~3人程度でした。手書きはあとで見返すことが難しいです。こうやって、記事に皆さんにお伝えできるのも、日々パソコンので記録を徹底していたからです。
よし!これで睡眠時間確保!
作成が速い人は体調管理もしやすい!
養成課程の受講生の皆さんは、研修に行く前に、「参考書」を持参していますか?インストラクターでさえ、1次試験の知識が100%入っている方は稀だと思います。せっかく学んだ知識も使わなければ忘れるだけです。おすすめは「財務会計」「企業経営理論」「運営管理」の3冊。私はTACの参考書を持って行きましたし、今でも活用をしている優秀な参考書です。今はメルカリにも、これらの参考書が販売されていますので、購入するといいかもしれません。「試験に合格するためのだけ参考書」ではなく、「中小企業診断士として活用できる参考書」になっているものを持参することが重要です。TACの回し者ではありませんが、非常にわかりやすい。フレームワークや証明手段に困った時は、参考書に目を通し、「これが使えるのでは?」と検討してみてください。養成課程の期間は「1次試験の知識を実践レベルに落とし込む期間」でもあります。「現場では1次試験の知識とはかけ離れているよね」って、おっしゃる方がいます。それは「もったいない!」。せっかく学んだ1次試験の知識は研修を通して、なるべく使ってみる。事前準備がいかに重要か、検討が必要です。
「知識」×「経験」=「スキル」
PCスキルの基礎
中小企業診断士養成課程のPCスキルとは報告書作成能力であることを説明しましたが、具体的なPCスキルの操作については以下になります。
- ワード
- エクセル
- パワーポイント
「そんなのわかっているよ!」と聞こえそうですが、念のためにプログラムを組んだりの専門的な能力は必要ないことを前提に置かせて頂きます。
中小企業診断士養成課程で必要なPCスキルとは、「3つのアプリケーションを活用した処理能力の速さ」が重要です。
報告書名 | 活用するアプリケーション |
中間報告書・最終報告書 | ワード |
資料編 | ワード |
その他集計資料など | エクセル |
プレゼンテーション資料 | パワーポイント |
それでは具体的に3つのアプリケーションごとに解説をします。
ワード
全ての報告書の基礎となる「ワード」は最も重要な操作です。求められるスキルは以下となります。
- ブラインドタッチ
- 報告書のルールを作れる
普段の仕事などから触れる機会の多いワードについては、できない人いないとあまりいないと思います。ブラインドタッチで素早く文章化できるレベルであれば、特に問題ありません。
重要な点は「報告書のルールを作れる」ことです。報告書のルールを作ることができなければ、「多大な時間ロス」が待っています。現場実習や分析・検討を最優先とするあまり、各自に設定されているワード様式でバラバラに報告書を作り始めてからでは、編集に膨大な時間を要することになります。
①報告書のサイズは「A4版40字×40行」で統一
※ワードサイズ設定した白紙は下記からダウンロードできます。
②文章は「です・ます調」で統一
③実習先企業は「御社」で統一
④実数には必ず単位を表示
⑤比率は原則として小数点第2位を四捨五入して小数点第1位まで表示
⑥項目番号は以下の順番で統一
Ⅰ→1→(1)→①→ア→a
⑦図と表は「図表」と統一して遠し番号を付ける
その図表番号は図表の上に表記
なお、出典がある場合は、図表の下に表記
⑧専門用語には解説(脚注など)を表記
⑨図表、統計、文章などを他の著書、資料及びサイト等から引用した場合は出所やURLを明示
各自の報告書をがっちゃんこしたときに(合わせたとき)、段落がずれる、図がずれるなどの「カオス状態」に陥いらないためにも、まず上記の基本を2~3時間かけて検討することが重要です。
以下は私の班で決めていた具体的な作成ルールです。ぜひ参考にしてください。
報告書のルール作りって重要なんだね!
最初に2~3時間かける価値がある!
→「ワードの基礎講座」は、別記事で書く予定です。
事前準備を徹底したい方はいかがおすすめ!
エクセル
「ワード」や「パワーポイント」と異なり、エクセルは少し知識が入ります。養成課程で重要なスキルは「集計スキル」です。おすすめの集計方法は以下の2つがあります。
- Microsoft Forms(フォームズ)
- アンケート君
「フォームズ」と「アンケート君」のメリット・デメリットは以下になります。
集計ツール | メリット | デメリット |
フォームズ (Googleフォーム) | スマホを活用し、その場で入力ができる。人員1名で対応が可能。 | 集計後のデータを「ピボットテーブル」で作成する必要がある。クロス集計でどの要素を組み合わせるかを自分で選択する必要がある。 |
アンケート君 | 入力が終了した段階で、集計表が出力される。クロス集計は自動で組み合わせができるため、気づきにくい要素にも気づく可能性が高い。 | 一旦、紙で作成し、紙で調査後、入力する。人員が最低2名以上必要。ソフトが古いのでPCによって使用不可。 |
「フォームズ」は集計の元データ作成までがスムーズですが、「ピボットテーブル」の知識と「有効なデータ抽出のセンス」が入ります。「アンケート君」は、集計までの手間がいりますが、入力してしまえば、自動的にクロス集計まで作成するので、気づかない情報まで気づくことが可能です。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、グループでどちらを活用するのか、それとも独自のツールを活用するのかは検討が必要です。
Microsoft Forms(フォームズ)
Microsoft Forms は Microsoftアカウントを作成すれば誰でも無償で利用できます。ビジネスで利用する場合には Microsoft 365 を購入し、Teamsと連携させることでもっと便利に活用もできます。フォームズの簡単な説明を以下に掲載しますので参考にしてください。
なお私は中小企業大学校のチームスと相性の良い「フォームズ」を使用していましたが、「Googleフォーム」も同様な仕組みですので環境によって選択をしてください。
アンケート君
アンケート君は、汎用アンケート集計システムでフリーソフトウェアです。基本的な項目(アンケート調査名、質問項目、回答選択肢、限定質問)を設定するだけで、簡単に集計表(単純、クロス)やグラフ分析ができます。
主な特徴は下記のとおりです。
- 4種類の集計表(単純、クロス、3重クロス、記述)
- 限定質問に対応
- 複数回答に対応
- 自由記述回答に対応
- 2種類のグラフ(円、縦棒)作成
- クロス集計とグラフが作成
「アンケート君」のフリーソフト自体が古いものですので、パソコンの環境によっては活用できない場合がありますので、もし活用ができるパソコンの環境であれば事前に上記URLからファイルをダウンロードし勉強をおすすめします。必ず班で活躍できるはずです!
※今のパソコンが使用不可の環境になっていたため、仕様説明は割愛させて頂きます。
エクセルは下調べが必要だね!
そう!エクセルは差がつくから注意だ!
→「エクセル」の身に着けていおきたい具体的な基本操作は、別記事を参照にお願いします。
事前の知識強化はこちらがおすすめ!
パワーポイント
報告会資料となる「パワーポイント」に求められる重要な点は「相手の記憶に残す資料作り」です。詳細内容説明は「ワード報告書」にあるので、再度パワーポイントで詳細説明を入れる必要はありません。
養成課程でのパワーポイント作成の基本操作で必要な内容は以下です。
- 1スライド1テーマ
- アニメーション
報告書は「1スライド1テーマ」で「図やグラフなどの視覚部分」が8~9割、「文字部分は0~1割(最も重要なポイントのみ)」で構成し、解説は「自分の言葉で説明」します。なお、詳細についてはワード報告書を見ればわかるようにしておきます。
「自分の言葉で説明する」テクニックとして「アニメーション」を活用します。
- 各事業部門×IT=各事業の稼働率up
- 課題解決(アクションプラン)
- 定量面と定性面の両輪が回り出し、事業運営の速度up
- あるべき姿へ
①~④が順番に投影されますので、説明者側も説明に迷子になることがありません。この事業者は車屋であったため、車をイメージしたことで、聞く側の記憶にも残りやすい形にカスタマイズしています。
その他、基本的な操作について以下にポイントをまとめていますので参考にしてください。
この際、PC操作スキルを深めたい!
いいぞ!「MOS資格取得」がおすすめだ!
具体的なPCスキル活用方法
「よし!PCスキルもだいたいわかったし、これで実習に集中できるぞ!」
と思って頂いた養成課程受講生の方に、具体的なPCスキル活用法を解説していきます。
まず実習日程についておさらいです。
日程 | 内容 | 場所 |
1日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
2日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
3日目 | 現地調査・集計 | 企業 |
4日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
5日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
6日目 | 分析・検討 | 養成機関 |
7日目 | 報告書作成 | 養成機関等 |
8日目 | リハーサル | 養成機関 |
9日目 | 報告会 | 養成機関 |
10日目 | 実習の振り返り | 養成機関 |
日程別に解説をしていきます。
0日目:競合調査
「え?いきなり?0日目の話ですか?」
そうなんです。この「0日目」の「競合調査」が非常に重要です。「0日目」とは「実習前の祝日」を指します。この祝日をなにもせずに過ごすのか、ショッピングついでに競合調査するかで、その後の報告書の内容が変わりますので注意です。
具体的に活用するPCスキルは、ワードもしくはパワーポイントによる「アンケート作成」になります。
班員と事前打ち合わせを行い調査内容を決定します。内容については運営管理の店舗運営管理の知識を応用します。ここでも1次試験の知識を活かすことが重要です。なお、調査において漏れていたものがある場合は、次回の戦略実習の時にリカバリーします。
診断時に現金のみだったため、他競合の決済状況についての調査を追加しました。
なお「フォームズ」で作成することで、以下のメリットがあります。
- 売場を診ながら、スマホに直接入力できる
- 店員から怪しまれない
競合調査は2人ペアで動くことで、抜け漏れがや勘違いが少なくなりますのでおすすめです。写真も忘れずに撮影しましょう。
→競合店調査の詳細については、今後記事にする予定です。
事前に競合店調査を実施することは、どこの班でも意識はするはずです。しかし残念なことは、どんなポイントを見るかも準備せずに「ただ見に行くだけ」というものです。この時点で意識の高い班は科学的な観点から競合店舗を見に行き、提案する根拠資料として準備しています。なお競合店調査をどのようにするかについて、アンケート作成などの講習はありませんので、班員の誰かが提案しなければ、お粗末な報告書になります。実習生とはいえ、誰かに言われからするの訳ではなく、自主的に診断士として目的やゴールを設定できるかが重要です。PC能力の中でも、エクセルによる集計能力は事前にシミュレーションをしておくことで、班員として活躍できますので、ぜひ集中的に身に着けて欲しい能力の1つです。
世界は意識のもちかたで一変する
1日目~3日目:現地調査
現地調査でPCスキルを活用する場面は以下です。
- 来街者アンケート
- 稼働率等の調査
- 従業員意識調査
「来街者アンケート」では、駅前等で無作為にアンケートを実施します。ワードかパワーポイントによる「紙ベース」のアンケート作成か「フォームズ」によるスマホでの作成をします。
→来街者調査のコツについては今後記事に書く予定です。
「稼働率等の調査」では、工場内作業員の時間の計測を実施します。ワードかパワーポイントによる「紙ベース」のアンケート作成か「フォームズ」によるスマホでの作成をします。以下は「スキル測定票」を活用し、人事考課に役立てたものです。
調査内容は一例です。班員と何を調査するかを決定し、どんな課題を解決できるかを検討することが重要です。
「従業員意識調査(モラールサーベイ)」は中小企業大学校の養成課程では、準備されたフォーマットがあります。このフォーマットに基づいて調査をしますので、特に自分たちで作成することはありません。
ただし、非常に重要な調査ですので担当者は的確に調査ができるように繰り返し内容を確認しておくことが重要です。なお、従業員意識調査は中小機構のものですので掲載はできません。実際に研修に行かれた方は是非活用できるように習得することをおすすめします。
4日目~6日目:分析・検討
現地調査が終わったら、データを「フォームズ」または「アンケート君」で集計し、ビジュアル化します。以下は参考例です。
「競合店調査」で得られた情報を、エクセルのグラフ挿入で「価格価値曲線」の表にまとめました。他者と比較して、調査した事業者はアイテム数や陳列量の商品量が多く、中心価格帯や接客は平均的なことがわかります。
「稼働時間」「非稼働時間」について、「アンケート君」のデータを活用した例です。「アンケート君」は全てのデータの組み合わせが可能なので、報告書に掲載できなかった内容も、資料編にデータとして掲載が可能です。
もしくは、「フォームズ」を活用し、元データから必要なデータを抽出し、エクセルでグラフを作成していきます。
さらに応用編としては、支援事業者によっては「POSデータ」が抽出できる場合があります。あったら幸運ですので、必要な情報を取得し、「ピボットテーブル」で分析をすることでリッチな情報を取得することができます!
実践的なPC操作スキルだね!
「集計能力」は差がつくぞ!
7日目:報告書作成
これまで解説したとおり、報告書のパーツ作成が6日までに終了しておくことが、報告書を早く且つ良いものに仕上げるコツです。「骨子(スケルトン)」の例を以下に紹介しますので、参考にしてください。
繰り返しにはなりますが、7日目の時点で報告書を一から作成することがないように、計画的且つ戦略的に進めることが診断士として求められます。
8日目~9日目:リハ・報告会
7日目までに、自分のパート作成がスムーズに終わっていれば、報告会の発表準備に集中できます。余力があれば、「アニメーション」などを駆使し、エンターテインメントな発表も可能ですので、是非実践してみてください!
例は全てアニメーションで、ポイントごとに投影される仕様にしています。話す側、聞く側ともに記憶に残る説明ができることがポイントです。
→プレゼンのポイントについては別記事で書く予定です。
10日目:実習の振り返り
実習の振り返りで重要な点は以下です。
- 課題解決の提案をまとめておく
- 活用できる資料を保存
発表も終わりひと段落ですが、最終日には次の実習に向けての準備が必要です。
診断実習のあとにある戦略実習に向けて、課題解決の自説を最低3案程度検討をしておくことで次回スムーズなスタートが切れます。ワード等に残しておきましょう。
また、せっかく班で作成した資料を自分のパソコンに保存していない方がいます。「もったいない!」です。他の班員のみが持っている資料もありますので、必ず共有し、自分のパソコンに保存をしましょう。
PCスキル必須だね!
事前準備が本当に大事だ!
まとめ
【一生もの!】中小企業診断士養成課程【PCスキルで報告書作成】の記事いかがだったでしょうか?
中小企業診断士になれば、養成課程で学んだ内容を一人ですることになります。
養成課程期間中にいかに本気で班員とともに取り組んだかで、もしかしたらその後の診断士ライフが変わるかもしれません。
あなたを中小企業診断士にしたい!
この厳しい時代、一生懸命事業を営んでいる事業者にために、あなたが必要です!
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それでは、また次の記事でお会いしましょう!読んで頂き本当にありがとうございました。
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