「時間だけが過ぎてしまう!」
「・・・活発な議論になりにくいんだよね」
「雑談ばかりで、結局何も決まらなかった!」
と会議やグループワークのやり方でお悩みの方ご安心ください!
実際に中小企業診断士養成課程に行った私が、会議やグループワークで用いたファシリテーションスキルや進め方について記事をまとめました。
- 最悪な会議の特徴って?
- ファシリテーションって?
- 養成課程メンバーの特徴は?
- 具体的なスキルは?
- 具体的な進め方を教えて!
中小企業診断士養成課程では常に「グループワーク」で検討をします。個人プレイでは絶対にうまくいきません。
この記事を読んでいただければ、おすすめのファシリテーション技術を活用できることに加え、卒業後も活用できる中小企業診断士のスキルが身につくこと間違いなし!
いつもありがとうございます!広報部長のグレート☆ユーキです。私のプロフィールは、こちら!
会議の「最悪な3つの特徴」
「診断士の卵の集まりだから、意識高くてグループワークも上手くいくはず!」
そんな期待を胸に中小企業診断士養成課程に集まった方たちへ残念なお知らせがあります。結論から言います。グループワークは思うように上手くいきません!
皆さんも会社の会議などで経験があるはず。日本人の会議には主に以下の最悪な3つの特徴が考えられます。
①10分で終わる会議を1時間
会議は1時間で予約をすることが多い。そもそも会議は1時間もいるのでしょうか?内容によってはすぐに決まることもあります。しかし会議室を1時間抑えていることもあり、きっちり1時間かけて会議を行う。残りの時間は雑談。私の時間返してもらっていいですか?
②結論が出ない
結論の出る会議は意外と少ないんです。 あとは担当者同士のやりとりをお願いします。上の偉い人たちの顔合わせのための儀式ですか?行動計画まで落とし込む事で成果が生まれるのではないでしょうか?
③会議のやり方知らない問題
会議の議題が決まっていたとしても具体的な検討課題が決まっている会議は意外と少ないんです。いつ、どこで、誰が、何を、どのように、いくらかかる?そもそも、進行役さえいない。ただ集まればいいという訳ではないんです。
あるあるあるある!どしよ!
「生産性ない会議」が染みついてる~!
「最悪な会議の特徴」が生み出される大きな原因は、「進行役がいない状態」で且つ「言葉だけで展開している」からです。その問題を解決するために本記事では、会議の進め方(ファシリテーション)に加え、会議の見える化(ファシリテーション・グラフィック)について解説をしていきます。
生涯会議時間は約3万時間、人生8年分です。この時間の無駄について想像してみたことはありますか?私は現在も金融機関に属しておりますが、金融機関の人間は言葉遊びがとても上手く生産性が無くても「会議をした!」という会議になりやすいです。例えば週始めに行われる進捗会議の一コマです。支店長「先週の○○君の見込案件の進捗は?」課長「はい!適宜○○には進捗を報告させてまして、今週水曜日に具体的なクロージングに向けてニーズを把握した提案を一緒に行う予定です!」支店長「そうか、ありがとう!」…さて、見込案件の何が明確になってどんな方向性や共有が出来たでしょうか?笑 他にも「誠心誠意」「足繁く通う事で」「顧客の心を掴んで」等、聞こえの良い言葉が朝から吹き荒れます。こうなる理由は明確で、意見が出ても店長の一言で吹き消され、挙句余計な意見を言う奴だと支店長からレッテルを貼られるからなんです。また加えて会議を行わないと数字が上がらない要因として本部から支店長がお叱りを受けるため、「事実作り」としての会議が必要という一面もあります。その結果「支店長の機嫌を煩わさない事実作りの会議」が誕生する訳です。なお、大学校では日々徹底的に生産性を求めた会議が繰り広げられます。「本物」を知ることで、きっとビジネスマンとしての糧に繋がることでしょう!
一日一生。無駄な時間など存在しない!
ファシリテーションって?
「会議やグループワークの最悪な特徴は分かったけど、どうすればいいのかな?」
「最悪な会議」を「有意義な会議」にするための重要なスキルの1つに「ファシリテーション」スキルを活用することがおすすめです。
「ファシリテーション」とは、一言でいうと「会議やグループワークなどの集団活動を円滑に進めるスキル」のことです。主に「2つのルール」と「3つのスキル」があります。
最初に以下の「2つのルール」が必要です。
- 前提:心理的安全性
- ゴール:合意形成
前提として「心理的安全性」が担保されていない限り、班員の力(アイディア)を発散させることはできません。また班員の意見の違いがあったとしても、グループとして「合意形成(決定)」のために、意見を整理し(収束)、共有しなければ、提案内容にバラつきが生まれます。
→心理的安全性については、今後記事にする予定です。
次に以下の「3つのスキル」が求められます。
- 段取り力
- 進行力
- 引き出す力
「段取り力」は事前に議題を設定する力(共有)であり、「進行力」はメンバーの発言を促し(思いつき・発散)、多様な意見を論理的に「収束」させる力です。
特にメンバーの意見を「発散・収束・共有・決定を繰り返す一連の流れを引き出す力」が重要となります。(以下、この「引き出す力」を「ファシリテーションサイクル」と呼ぶ)。
全集中!「発散・収束・共有・決定」の呼吸!
「呼吸の繰り返し」が悪を討つ~。笑
「ファシリテーション」の役割を担う人のことを「ファシリテーター」と呼びます。
班員に「ファシリテーターの役割」を担う人がいれば、「会議の生産性アップ」や「新たなアイディアが出やすく」なります。
話が脱線しそうになったり、論点がズレてきた時に適切に軌道修正してくれる「ファシリテーター」がいると、「時間をかけたけど、結局、何の結論も出ませんでした・・・」といった残念な会議やグループワークにならずにすみます。
以下に具体的な内容についてまとめましたので参考にしてください。
項目 | 内容 |
心理的安全性 | ■参加者全然が意見を言いやすい環境を作る ・アイスブレイク ・自己紹介 ・年齢・性別関係なし ・批判厳禁 ・意見の尊重 ・発言者の話を途中で遮らない ・意見がズレていても、前向きに受け取る ・飲み物・お菓子の差し入れ ・プライベート時間の共有 |
段取り力 | ・日時の確認・場所の予約 ・ルールを決める ∟説明は3分以内、発言は1回1分以内など ・会議の目的を押さえ、目標を確認し、共有する ・議題の決定・シナリオの準備 ・資料の準備、印刷 |
進行力 | ・終了条件の確認 ・意見や対話の内容を整理 ・全員に1回は発言をしてもらう ・論点を論理的に絞る ・時間配分 ・さりげなく本筋に戻す ∟「なるほど、その意見も一理ありますね!」 ∟「(ところで)○○については、どう思いますか?」 |
引き出す力 | ・中立な立場を守る →意見がズレたときも、反対をしない ・傾聴 ・意見を引き出す話し方 ・納得感を得る話し方 ・議論を可視化する |
合意形成 | ■共有と決定 ∟グループ分けしている時は特に定期的に共有する時間を取ること ・決定した内容の振り返り ・決定した内容を蒸し返さない ・行動計画へ落とし込む ∟役割分担の決定 |
イメージを「見える化」すると、以下のようになります。
系統別「13の特徴」
「ファシリテーションが重要なことはなんとなく分かったけど、いろんな性格の人がいるからなぁ・・・」
確かにそうです。悩みますよね。「発散→収束→共有→決定のサイクル」を徹底しているにも関わらず上手くいかない原因は、「人の特性による不和」が原因です。人の特徴をある程度把握しておくことで、対策を立てることが重要です。
ここでは実際に中小企業診断士養成課程に行った私が体験した、グループワークにおける各個人の系統などをまとめてみましたので参考にしてください。
重要度 | 系統 | 特性 |
要必須 | ファシリテーター | 全体の総指揮者。なお、リーダーと同義ではない。どの立場でもうまく皆の特性を生かす方法を検討する。チームの要となる人。 |
必須 | アイスブレーカー | 場の雰囲気作りができる人。ファシリテーターの次に重要な特性。 |
重要 | ブンセッキ― | 予見文や与えられた情報を素直に小分けして、発想へ結びつけることができるタイプ。一般的な提案以外の革新的な発想へ結びつけることができる重要な特性。 |
レア枠 | バランサー | この人の発言だけはなぜか皆納得してしまう特性を持つレアタイプ。班員構成にこの特性タイプがいると全体の調和が取れてストレスがない。リーダー向き。 |
普通 | まとめる君 | 文章や言葉にまとめる才能のあるタイプ。時間の効率化につながる。 |
普通 | 財務部長 | 数値管理のプロ。利益計画の時間削減につながるタイプ。のめりすぎ注意。 |
危険・小 | コンフリメーカー | 批判的な反面、重要な責任を持たせることで誰よりも頑張る向上心のある鬼。調整は必須だが、どんどん任せることで効率化につながる。 |
危険・中 | サイレンヘッド | 何も言わないが、頭の中ではサイレンが鳴りまくっている高い能力があると思い込んでいる魔人。教えを乞うことで、気持ちよくなってどんどん話す傾向あり。 |
危険・大 | ラビリンス | 印象が良く調子がいいが、いつのまにか皆を迷宮へいざなう悪魔。冷静に誰かが軌道修正をする必要がある。このタイプに班長を任せることはしないほうがいい。 |
危険・MAX | ゾンビ | やる気や目標がなく、いてもいなくても良い当事者意識が全くない死神。他の人に伝染する危険度MAXの人物。主催者へ相談か頭数に入れない。 |
良好 | エデン | ファシリテーターが「各人の特性を引き出」し、「発散→収束→共有→決定」サイクルが上手く回転している状況。 |
険悪 | カオス | グループ調和が全く取れていない状態。カオスの原因を突き詰めて、早め早めに対応する必要がある。グループ外の内容を見に行くことや、意見を求めることもいいかも。 |
絶望 | ヘル | 「班員の不和・インストラクターの不和・支援者の不和」による「3連コンボガチャ」。メンタルをやられる前に、主催者へ相談しよう! |
「人による不和」の原因はたった1つ。「心理的安全性の欠如」です。班員もしくはインストラクター、支援者が過剰なストレスを与えているため、「共有→発散→収束→決定のサイクルが停滞している状態」です。
心理的安全性の担保された健全な状態で議論や対話を行うためにも、グループ人員や関わる人の特性をある程度把握しておくことが重要となります。
ファシリテーターって班長がするの?
意識した人が、誰でもなれるんだ~
ファシリテーション・グラフィック
「ファシリテーションの意味と、タイプは分かったけど、皆の意見をもっと引き出せる技術ってないのかなぁ?」
「発散→収束→共有→決定を引き出す力」である「ファシリテーションサイクル」を意識できたら、次に「対話の見える化」が重要となります。
おすすめの技術に「ホワイトボードを活用した対話の見える化」があります。この「対話の見える化」を総称して「ファシリテーション・グラフィック」といいます。
「ホワイトボードを制する者は、会議を制す!」。意識しているか、無意識か、上手くいっている会議やグループワークは、ホワイトボードを書く人が綺麗にまとめている場合が多いんです。
だから学校の先生、黒板使うのかな?
言葉だけの授業は頭にはいらな~い
ここからは「ファシリテーション・グラフィック」のポイントについて解説していきます。
1.「3つ」のメリット
ファシリテーション・グラフィックには以下の3つのメリットがあります。
- 発言の活性化
- 発言の構造化
- メンバーの主体化
①発言の活性化
1つ目は「発言の活性化」です。「見える化」された内容は人の感性に直接的に働きかけます。心を動かし、共感を生み、議論や対話が進み、アイデアが湧いてくる(発散促進)といった効果があります。
②発言の構造化
2つ目は「発言の構造化」です。フレームワークなどを活用して整理することで、複雑な内容が構造化され、わかりやすくなります。物事がシンプルに、明確になって、話し合いをきちんと収束させる効果があります。
③メンバーの主体化
3つ目は「メンバーの主体化」です。「発散と収束」が活性化されることで、ファシリテーターだけではなく、参加者全員が主体的にファシリテーションサイクルを回転させる相乗効果が得られます。
2.場所の設定
場所の配置は非常に重要です。具体例を解説します。
図は場所の作り方の例ですが、簡単に言うと参加者の視線がホワイトボードに集中できる構成が重要です。
経験上、「ファシリテーター」と最も相性が良いのは、「ホワイトボードの記録役」です。理由は以下です。
- 進行と議題がぶれにくい
- 脱線したら軌道修正しやすい
- フレームワークを活用できる
ファシリテーターと記録役で2役こなせるので省エネにもなります。もちろん絶対ではありませんが、もしファシリテーターと分ける場合は記録役と事前に打ち合わせが必須です。班長はメンバーの合意を取ることが重要ですので、近くにいてもらいます。
慣れるまではホワイトボードに直接記載し、スマートフォンで撮影し共有します。慣れてきたら、模造紙を活用するかことがおすすめです。ホワイトボードに模造紙を貼り、模造紙に直接書きます。模造紙に書き写すことで、時系列ですぐに確認することができます。
ファシリテーションのおすすめの本はこちら。かならい実践的で養成課程で役に立つこと間違いなし!
3.道具の準備
道具を揃えておかないと、議論や対話が停滞しますので、最初に準備が必要です。
道具 | 内容 |
3色マーカー | ■青:議題・テーマなど ■黒:通常の記載 ■赤:重要事項の記載 |
模造紙 | 慣れてきたら、なるべく模造紙に書く |
付箋(ポストイット) | ■手のひらサイズのものを活用 ■「1枚・1要素」のルール ■活用例 桃:強み 青:弱み 黄:機会 緑:脅威 ∟4色程度があると便利 |
サインペン | 付箋に書くときに使用 ※ボールペンで書かない |
スマホ | ホワイトボードに記載した内容を撮影 |
テープ | 養生テープなどで壁面に貼る |
道具の運用ルールについては、最初に必ず確認をしましょう!特に、ポストイットの記載のルールは重要です。
※数字を含むものについては、誤りがあると信用を失う可能性があるので慎重に記載する必要があるので注意です。
4.書き方の基礎
書き方の基礎については、まずは「リスト型」の記載方法が基本です。
青を議題やテーマ、赤を重要ポンと、黒を通常の記載の色で統一。見にくくなるので、できるだけマーカーは3色にします。
重要な文字は「大きく」します。通常、漢字は「大きく」、ひらがな・カタカナは「小さく」書き、文字の下のラインを合わせることでバランスを整えます。なお文字が汚くても、バランスが整っていれば見やすいので気にする必要はないです。
「余白」を取っておくことが重要。あとから出てきた良い内容を追加できるようにしておく工夫が重要です。
ドンキのPOPとか見やすいぞ!
小売業のPOPの書き方参考になる~
次に「書くときの流れ」について解説します。
- 傾聴
- 復唱
- 記載
- 確認
- 質問
①傾聴
議題について、メンバーが話し出したら、最後まで聞きます。他のメンバーが遮ってきた場合は静止し、最後まで聞くように促します。
②復唱
メンバーの内容を「○○ということですね」と内容を復唱します。
③記載
内容を要約し、ホワイトボードに記載していきます。
④確認
「この内容でずれてないですか?」と書きながら、悩んだ場合や書き終わった後に相手の仕草も含めて確認をします。ずれていた場合は書き直します。
⑤質問
内容について、他のメンバーにわかりにくい部分や疑問を思ったことを質問します。質問の質が上がることで、引き出す力が向上してきます。
シンプルな流れですが、繰り返していくことで、特に質問力が身に付き、「引き出す力」が身についてきますので、上記の流れを教科書通りに実践していくことが重要です。
5.スキル
「書き方の基礎」までは、どのメンバーがしてもある程度差がなく形となってきます。加えて養成課程に集まる方たちは「中小企業診断士になる人」ですので、この機会に以下の技術を実践していくことが重要です。
- グループ化スキル
- 要約スキル
- フレームワーク構成スキル
①グループ化スキル
「グループ化スキル」で重要となるのは「ピラミッド構造3の法則」と「MECE」です。
例えば「強み」について付箋紙に多くの情報が出てきた時に、共通点の多い「3つの要素」に「第3階層」で絞ります。そして、「第3階層」で出た内容をより大きな「3つのグループ」にまとめます。少しわかりにくいかもしれませんが、階層が深くなるほど具体的な内容になるイメージです。
「共通点が少ないもの」については捨てずに、アイディアの材料として残しておきます。
なるべく「3に絞る」理由は、人は基本的に3つまでの内容が認識しやすいからです。特に忙しい経営者に対し、無数の提案をするよりも、3つまで重要なものを絞っていくことが記憶に残りやすいと考えます。
なお「第2階層のグループ」についての例は主に以下になる場合が多いので参考にしてください。
- 業界動向
- 消費動向
- 立地
- 商圏
- 競争
- 顧客
- 組織・人事
- 財務
- 商品
- 販促・サービス
- 店舗
次に「MECE」を意識します。「ミッシー」と呼びます。簡単に言うと「もれなく、だぶりなく」という意味です。
②要約スキル
次に要約スキルについて解説します。
付箋紙に書ている場合は要約が比較的容易ですが、発言者の内容を要約するには訓練が要ります。要約のポイントは、具体的な内容の本質的な部分を抽象的にする能力です。専門的には「コンセプチュアルスキル」といいます。
→コンセプチュアルスキルについては今後記事で書く予定です。
ポイントを要約する際に、どの要素とどの要素がつながることで、さらに創造的な要素になるかまで考えられると、議論や対話に深みが増します。
③フレームワーク力
最後に「フレームワーク力」です。議論や対話をホワイトボードに記載する基本は「リスト型」という解説をしました。しかし、中小企業診断士養成課程ではさらに上のレベルである「フレームワーク」を使いこなすことが重要です。
発言の活性化(発散)→発言の構造化(収束)の「構造化」において「フレームワーク」は絶大な効果を与えます。いくつかご紹介しますので、参考にしてください。
この形をまず覚えて欲しいです。おそらく最も活用する形だと考えます。ホワイトボード簡単に線で作成可能です。この図を書くだけで全く見映えが変わってきます。
次に定番中の定番の「SWOT分析」です。必ず使用します。なお、ホワイトボード1枚で足りない場合も多々発声するため、最大で4枚まで活用してもいいかもしれません。
収束させる手法の定番として、「ピラミッドストラクチャー」を活用します。また、真因分析など深堀りをしたいときや、逆に概念化したい場合など、上に行ったり、下に行ったりして検討するのに便利なフレームワークです。
ツリー型チャートも良く活用するものの1つです。「Whyツリー」や「Howツリー」など議論や対話の深堀りや、真因分析に使用することができます。レイヤー(階層)をどこまでも掘り下げるかや、議論しているレイヤー(階層)にズレがないかの確認が重要です。状況に応じてピラミッドストラクチャーと使い分けます。
以前の記事で説明した上の図のようなポジショニングマップも有効です。なお、事業者を中心にするときは右上になるように設定することが基本です。
→具体的な活用できるフレームワークについては今後記事を書く予定です。
「ファシリテーション・グラフィック」もっと勉強したい!
診断士取得後も必ず役立つよ~
「フレームワークなんてわからないよ!」といお声がありそうですが、「フレームワーク」についても多くを「中小企業診断士1次試験」で習得しています。ただし、仕事柄実践で活用できる機会のなかった方には知識がスキルとして昇華されていない状況です。だからこそ、中小企業診断士養成課程は非常に有効な実践場となりえます。事前に中小企業診断士1次試験のフレームワークを復習し、パワーポイントで作成しておくことで、必ず活躍の機会が出てきます。中小企業診断士養成課程で活躍しているメンバーはおそらく「事前準備を徹底」しています。「中小企業診断士養成課程で学べばいいだよ!」という気持ちの受講生と「中小企業診断士養成課程は今まで学んだことを実践レベルまで落とし込んでやる!」という受講生では、既にスタートラインが異なります。少し厳しい言い方をするのであれば、レベルが低い受講生が集まれば、どうしても議論や対話のレイヤーを落とさざるを得ないことが現実です。優秀なファシリテーターがいても、土台の知識量が少なければ、凡庸な内容か、優秀であるという自己満足で終わり、診断士になってから苦労をするかもしれません。
才能だけでは成就しない世界がある
養成課程のグループワークの進め方
これまで「ファシリテーション」の内容について解説してきました。ここでは、実際の演習や実習で私がファシリテーターとして活用していた内容を公開します。ぜひ参考にしてください。
1.はじめに
(1)ファシリテーターとは?
チームワークを引き出し、成果を最大化する役割
(2)鉄則
中立公正・雰囲気作り・失敗を恐れない・小さなプライドは捨てる・時間管理
①「どう進めますか?」が基本姿勢
②「独善的な強要」ではなく「協調的な合意」を促す
③「論点・プロセス」の軌道修正とまとめを繰り返す・ゴールに向かっているか?
④「諦めること」も重要(主要な論点に絞る)
⑤どの役割でファシリテーションするかは「自由」
⑥使わなくてもいいが「シナリオ」は描いておく。カオスにならないために。
(3)自分の目標設定
→自分で記載する
2.メンバー特性の検討
→養成課程・系統別「13の特徴」へ
3.グループ特性の把握
主に以下の3点の班員特性や時間制限によって検討をする。
□(1)トップダウン型
(時間制限:短時間向け・数時間)
最初に全社戦略を決めて、オプション評価、事業ドメイン、行動計画と上から下へ進むパターン。時間は比較的短時間で済み、明確なロードマップが組める反面、報告不足等で問題が生じた時に修正に時間がかかる。ある程度の高いレベル感がある場合や個でのコンサルティング向き。
☑(2)ボトムアップ型
(時間制限:長時間向け・数日間程度)
養成課程でおすすめの型。最初に要素を発散しまくって、まとめていくパターン。時間はかかるが漏れのない議論になっており達成感がある。その反面、軌道修正を走りながらしていかないと、社長の求めているものと全く違う方向を提案してしまう可能性がある。正直、こちらの進め方が今の研修スタイルでは則している。考える前に動く。
□(3)混合型
(時間制限:中時間向け・1日~1日半程度)
ある程度のざっくりとしたテーマを決めて、そこからボトムアップで集約していくパターン。ファシリテーターに知識・経験・柔軟性が一定以上ある場合に、班員の遅れている部分をカバーしながら、全体の底上げを図る。常にプレゼン資料(成果物)の構成について検討しておくことが、この混合型には重要。
4.基本情報の確認
- 日時
- 場所
- 参 加 者
- 研修内容
- アイスブレイク
5.役割の決定
(1)質問
「役割はどうしますか?班長と副班長、書記は必須と思いますが・・・」
■班長
(最終決定者)
‐「班長、この意見の決定でよろしいでしょうか?」
※ファシリテーターが決めるとどちらがリーダーかわからずストレスを与える。最終的な合意を班長にとってもらう。
■副班長
(司会進行・突っ込み・規制・雰囲気づくり)
■書記
(議事録係)
■発散係
(白板)
■時間管理
■テーマに合わせた役割(+α)
■余力人員(+α)
なお、ファシリテーターはどの役割がなってもいい。おすすめはホワイトボードに記載する役割と兼任。
6.進行予定案
■前提条件
班員が以下の方法に懸念を示す場合は、合意形成したやり方に従うこと。
(1)班長挨拶
‐「それでは班長ご挨拶をお願いします」
(2)チームコンセプトの決定
‐「皆が班の運営をするにあたり、大切にしたいこと、守りたいことはありますか?」
※皆の今までの演習を通じて感じたことから、提案をお願いします。
ア 具体例
- ☑全員参加
- ☑グループシナジーの最大化
- ☑失敗を恐れない
- ☑時間管理の徹底
イ 基本的な姿勢の提案
- ☑批判厳禁
- ☑発言の途中で口を挟まない
‐「書記の方はこのコンセプトを紙にマジックで記載をお願いします。」
※決定した内容はマジックで紙に書いて、張り付けておくこと。
(3)スケジュール予定
‐「演習の進め方はどうしますか?ポイントは何かありますか?」
‐「全体的な進め方の内容はこれでいいですか?」
‐「重要度に合わせた具体的な時間の割り振りはどうしますか?」
‐「タイムキーパーは時間管理をお願いします。」
(4)内 容
ア 主旨・位置づけの確認
‐「まずは、今回の演習で求められているものを再度確認してもいいですか?」
- ☑そもそもの求められているものが何かを確認する。カオスの根源。
例:「人事制度の見直し」を求められているのに、「売上向上策」を提案するなど。
‐「○○という共通認識でよろしいですか?」
イ 前提・制約条件の確認
(経営理念・経営方針の見える化)
‐「コンサルティングする会社の経営理念について、どう思いますか?」
‐「経営方針について現時点で分かることはありますか?」
‐「その他、この会社に提案するにあたり、制約はありませんか?」
- ☑社長のための提案になっているか?
- ☑クライアントの制約・依頼におけるアウトラインの確認
- ☑業界・業種上のタブーの確認
‐「ここの会社理念や経営方針は○○でいいですか?ここの想いを途中途中、立ち返りながら、検討することでよろしいですか?」
‐「書記の方は紙に記載をお願いします。」
※張り付けておく
★【ゴールの設定】★
※「トップダウン型」および「混合型」の場合
メインメッセージの設定(問題点の把握と方向性)
- ☑班員特性をつかんでいるか?※特性によってはここを飛ばす。
- ☑現状分析について、情報を得ているか?
- ☑会社の「あるべき姿」は想定されているか?社長の想いがあるか?
- ☑それを踏まえたビジョンを基にした全社戦略になっているか?
- ☑課題に対する仮説が設定できているか?
- ☑事業が複数にわたっている場合は事業ごとに検討が必要になる。※事業ドメインが明らかに異なる場合
- ☑事業ドメイン:「誰に・何を・どのように」が明確になるか?
- ☑現状の私たちで提案できることか?
ウ 診断フェーズ
■手法:SWOT分析
【付箋紙(ポストイット)へ記載】
(時間をかけていい場合)
記載後、ホワイトボードに添付する。ホワイトボードは広く使う。次にまとめる作業(グループ化)がいる。多くの情報があるので、もれは少ないが、だぶりがないかを確認する。
【ホワイトボードへ直接記載】
(時間がかけられない場合)
誰かが中心となって記載をし、足りない要素を各自補っていく。ホワイトボードは1枚か2枚に限定する。ある程度この時点でまとまっているのが、短時間でするので、もれの確認が必要。
仮説を踏まえた内容ではなく、「事実のみ」を必ず記載(バイアスの排除)。内容の勘違いがあれば、即座に指摘して共有する。
- ☑「横の広がり(幅)」を意識
- ☑一部の要素が少なくい場合は情報収集が必須
- ☑全員に発言機会を与える
- ☑共感の意見は遮らない
- ☑最後まで聞いてから発言
- ☑発言力の強い人は後回しにする
■手法:親和図法
特性ごとの情報の仕分けをしていく。極力3つの要素にまとめていく。
- ☑作業分担した場合は全体を把握
- ☑定期的に作業を辞めて、共有
- ☑必要に応じて軌道修正をする
- ☑負荷が高い人間がいないか?
- ☑負荷が少ない人間がいないか?いれば、促す
- ☑作業分担をしたほうが効率的ではないか?
- ☑ファシリテーターは全て把握し、場合によって教えることができるか?
- ☑社長が目から鱗となる情報を含んでいるか?
※ファシリテーターは投げっぱなしにしないこと
■手法:ピラミッドストラクチャー
各要素を3つのグループにまとめていく。
- ☑ホワイトボードに「ピラミッドストラクチャ」を基に視覚化
- ☑論点がずれてないか?
- ☑並列になっており、もれがないか?
- ☑ダブりはないか?
- ☑階層を遡って意味の通じる内容になっているか?
変更は柔軟に実施してもいいですが、「メインテーマを変えるとき」は慎重に検討が必要です。カオスの原因になります。
- ☑中間報告なのか、最終報告なのかなどの確認
※中間報告書なのに、提案までしていないか、などの階層の確認。
- ☑多数決やじゃんけんで絶対決めないこと
- ☑班長が必ずみんなの承諾を求めて、合意を得て進むこと
- ☑決まったことは蒸し返さないこと
- ☑「オ」からの内容確認
①~⑤を繰り返していく。
エ 戦略フェーズ
事業ドメイン(キーメッセージ)の設定。まずは数にこだわらないこと。
- ☑事業ドメインの設定
- ‐誰に(顧客)
- ‐何を(価値)
- ‐どのように(技術)
- ☑最終的に3つ程度に絞る
戦術(サブメッセージ)の設定。ここでは、広がり(幅)ではなく、「深さ」を意識する。
- ☑事業ドメインの確認
- ‐どのように(提案手法の深堀り)
- ☑機能別戦略となっているか?
- ☑根拠の検索ができるか?
- ☑正確に検索をしたか?
- ☑根拠に対する検証をしたか?
- ☑間違いがあれば修正をしたか?
オ 議事録やデータの配布(共有)
- ☑データは最新のものを、必ずバックアップを取っておく
- ☑数値の検証は必ず作成者以外が確認をする
カ 最終まとめ
- ☑中間報告書・最終報告書その他報告書作成
- ☑決定・共有・合意
キ プレゼン資料の作成
ケ プレゼンの練習
コ 報告前最終確認
- ☑漏れがないかの確認
- ☑最後は気合
以下に進行表を1枚にまとめたものをアップしておくので、参考にしてください。
(5)振り返り
フィードバック表の例を挙げましたので、参考にご活用してください。メンバー皆に記入してもらいます。次回の演習などで改善を図っていきます。
具体的な進行について研修ないの?
ないよ~!参考にしてね~
まとめ
【教えてくれない!】中小企業診断士養成課程【ファシリテーション】の記事いかがだったでしょうか?
中小企業診断士になれば、専門家派遣による講習会でのグループワーク依頼があります。
中小企業診断士養成課程に集まる人材は優秀な人間が多いです。ファシリテーターとして、最大限にメンバーの力を引き出せたとき、大きな成果が得られる経験ができます。
あなたを中小企業診断士にしたい!
この厳しい時代、一生懸命事業を営んでいる事業者にために、あなたが必要です!
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それでは、また次の記事でお会いしましょう!読んで頂き本当にありがとうございました。
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