突然ですが……
「せっかく省力化補助金が採択されそうなのに、自己資金が足りない……」
「金融機関から追加融資が受けにくくて、思いきった設備投資ができない……」
そんな悩み、抱えていませんか?
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回は、省力化補助金一般型と日本政策金融公庫の“資本性ローン”を組み合わせた最強の資金調達戦略について、わかりやすく解説します。
この仕組みを知れば、あなたの企業も「財務の壁」を突破し、攻めの投資に転じること間違いなし!
今日は、やや高度なテクニック!
中小企業省力化投資補助金一般型とは
まず省力化補助金の一般型について簡単に解説は、人手不足の解消・生産性向上のため、IoT・自動化・ロボット等の導入を支援する制度です。
区分 | 内容 |
---|---|
対象 | 中小企業、小規模事業者、NPO法人、社会福祉法人など |
補助対象経費 | 単価50万円以上の機械装置・システム構築費(必須)+関連経費 |
必須要件 | 労働生産性4%以上成長/給与支給額2%以上成長/最低賃金+30円 |
補助上限 | 最大1,500万円(大幅賃上げで上限拡大) |
審査では「資金調達の見込み」も重要項目です。
【最新スケジュール(2025年度)】
公募回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 2025年1月30日(木) | 2025年3月19日(月) | 2025年3月31日(月)17:00 | 2025年6月中旬(予定) |
第2回 | 2025年4月15日(火) | 2025年4月25日(金) | 2025年5月30日(金)17:00 | 2025年8月中旬(予定) |
第3回 | 2025年6月中旬(予定) | 2025年8月上旬(予定) | 2025年8月下旬(予定) | 2025年11月下旬(予定) |
※公募回は年3~4回を予定。
補助金の詳しい説明は、前回しておりますので、こちらでご確認ください。
https://great-sebastian.com/8700/日本政策金融公庫の資本性ローンとは
それでは本題です。中小企業省力化投資補助金に活用できる「資本性ローン」について解説します。
「挑戦支援資本強化特例制度」とも呼ばれ、特に成長志向の企業向けに提供される融資です。
主な特徴
- 元金は期限一括返済=資金繰りが楽!
- 業績連動金利=黒字なら高く、赤字なら低く
- 自己資本とみなされる=自己資本比率UP!
- 無担保・無保証=社長の個人保証も不要
これはただの融資ではなく、「信用力を高める手段」でもあるのです。
中小企業省力化投資補助金との制度連携の構成
中小企業省力化投資補助金との制度連携についての構成を解説します。
- 挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)の基本的な要件
- 日本公庫の資本性ローンを利用するには、特定の融資制度の対象であることが求められます。
- 企業活力強化資金が資本性ローンの対象制度であること
- 資本性ローンの対象制度の一つに「企業活力強化資金」が含まれており、この制度を通じて資本性ローンの利用資格が生まれます。
- 中小企業省力化投資補助金が企業活力強化資金の要件であること
- 企業活力強化資金の利用区分の一つに「省力化関連」があり、これは「中小企業省力化投資補助金の交付決定を受けている方」が対象です。
- 制度的な流れの整理
- 省力化補助金の交付決定 → 企業活力強化資金(省力化関連)の対象 → 資本性ローンの対象制度 → 資本性ローン利用可能に
- この連携による活用メリット
- 設備資金・運転資金に対応可能
- 無担保・無保証で、借入金でありながら自己資本とみなされる
- 月々の返済負担が軽減され、財務体質の強化にもつながります

資本性ローン活用における注意点
資本性ローンの注意点について解説します。
- 利用資格の限定と審査の厳しさ
- 対象となる融資制度を通じてのみ利用可能であり、必ず審査を経る必要があります。
- 特に国民生活事業の審査はハードルが高く、VC(ベンチャーキャピタル)出資やメディア掲載、大手企業との連携などの「客観的な評価」が重要です。
- 事業計画書と経営報告の義務
- 提出必須の事業計画には長期の数値計画が求められ、また四半期ごとの経営状況報告も必要です。
- 利率の変動性
- 黒字化により利率が上昇する可能性があり、最大で3%以上になる場合も。特例で3年間0.5%となる条件もあり、要確認です。
- 法的倒産手続きにおける劣後順位
- 他の債務よりも返済順位が低く、これにより自己資本とみなされるメリットがあります。
- みなし自己資本効果の逓減
- 残存期間が5年を切ると、自己資本評価割合が毎年20%ずつ減少します。
- 事業内容と企業ステージの適合性
- 研究開発型スタートアップや成長性のあるアーリーステージ企業向け。飲食業などは審査が厳しくなる傾向があります。
- 制度確認の重要性
- 制度詳細や個別の可否については、必ず日本公庫へ直接相談を。YouTube等の情報は参考程度に。
【通常の借入申込み】では厳しく審査に通りにくいというのが本音です。

しかし省力化補助金の交付決定は、資本性ローンの申請資格取得に直結する制度設計がなされており、連携活用が極めて実務的かつ有効な戦略となります。

中小企業診断士的ワンポイントアドバイス
ここでは、補助金活用の有効な手段について解説します。
補助金入金後に繰上げ返済をするメリット
資本性ローンは元金が最終期限まで返済不要である一方、業績連動型の利率が適用されるため、事業の黒字化に伴い金利負担が高まる可能性があります。そのため、補助金が入金された後に繰上げ返済をすることで、以下のようなメリットが得られます。
- 金利負担の軽減:補助金によって資金が確保できた段階で一括返済や一部繰上げ返済を行うことで、今後の利息支払いを大幅に削減できます。
- 資金繰りの安定:補助金の入金を活用し、長期間の借入を早期に終了することで、月々の資金繰りに余裕を持たせることが可能になります。
- 信用力の維持・向上:早期返済により財務体質が改善され、他の金融機関からの評価向上や次回の融資申請時に有利に働く可能性があります。

ただし、繰上げ返済をする場合は、公庫の融資条件や契約条項を確認し、必要であれば商工会・商工会議所または金融機関に相談することをおすすめします。
条件確認は必須だ!
商工会または商工会議所に相談!
資本性ローンは、財務体質の強化や資金繰りの安定化に大きなメリットがある一方で、利用にはハードルの高さも伴います。特に「審査の厳しさ」や「制度要件の複雑さ」がネックになる場合もあります。
そのようなときは、商工会や商工会議所に相談することを強くおすすめします。
専門の経営指導員が、資本性ローンの利用可否を含めて、あなたの事業に合った最適な資金調達方法や計画づくりを一緒に考えてくれます。
経験上、公庫と商工会の信頼関係はどこよりも強いところ。商工会や商工会議所の信頼されている経営指導員が公庫担当者に具体的に説明し、根拠を示してくれることが最も効果的だといえます。

その他
令和7年3月19日申請開始の第1回公募から、中小企業省力化投資補助金においては、日本政策金融公庫が「金融機関確認書」の発行機関に加わりました。この確認書は、補助金申請時に資金調達の裏付けとして提出が求められる重要書類です。
商工会(商工会連合会、商工会等)は、マル経融資の推薦団体として、事業者が公庫に金融機関確認書を依頼する際の支援を行います。具体的には、事業計画書の添付、確認書への署名、融資推薦書への特記事項記載などの手続きに関する説明と調整を担います。
なお、確認書の発行は、公庫の融資決定後であり、審査には時間を要する場合もあるため、早めの相談と準備が重要です。補助金と連動したマル経制度の活用についても、商工会の専門家が丁寧にサポートしてくれます。
マル経活用の検討もありだ!
両制度を組み合わせるメリット
ここからは、中小企業診断士の観点で、両制度を組み合わせるメリットについて解説します。
資金調達力を「競争優位」に
VRIO分析は、企業が持つ経営資源が「持続的な競争優位」を持っているかを評価するフレームワークです。資本性ローンは、単なる資金調達手段にとどまらず、このフレームワーク上でも企業の強みとして機能する可能性があります。
要素 | 資本性ローンの効果 |
---|---|
Value(経済価値) | 借入期間中の元本返済が不要なため、資金繰りを安定させつつ、省力化補助金などの事業遂行に集中できる。事業の実現可能性を高める。 |
Rarity(希少性) | 資本性ローンの採択実績は少なく、一定のハードルを越えた企業のみが活用できる制度であるため、他社との差別化につながる。 |
Imitability(模倣困難性) | 審査基準が厳格であり、VC出資や信用格付など外部からの評価が必要となるため、模倣が容易ではない。 |
Organization(組織) | 自己資本とみなされる資金により財務体質が強化され、他の金融機関からの融資や補助金採択においても組織の信用力が増す。 |
つまり、資本性ローンの活用に成功すれば、「信用力」と「資金調達力」を自社の強みに変えることができ、中長期的に競争優位を築くための重要な経営資源となり得るのです。
3C分析での資金戦略
3C分析は、企業(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つの視点から、事業の方向性や戦略を検討するフレームワークです。
補助金と資本性ローンを活用する資金戦略は、この3Cそれぞれに対して有効に機能します。
- Company(自社):補助金を活用して省力化や自動化を推進し、さらに資本性ローンで自己資本を補完することで、財務基盤の安定と成長投資の余力を高められます。これにより、持続的な事業成長が可能になります。
- Competitor(競合):資本性ローンの活用は、財務的な信用力や先行投資への積極性を示す要素となり、補助金だけでは届かない競合との差別化戦略につながります。また、VC出資や官民連携の実績があれば、他社よりも高い評価を得られることもあります。
- Customer(顧客):補助金とローンで得た資金により、商品・サービスの品質向上や納期短縮、アフターサービス体制の強化などを図ることができます。これは顧客の満足度を高め、長期的な関係構築に寄与します。
このように、3Cすべての観点において、補助金と資本性ローンの組み合わせは、経営戦略の中心に据えるべき強力な資金調達手段となり得ます。

まとめ
省力化補助金は「未来への投資」を支援する制度です。
一方で、資本性ローンはその未来投資を“実現させる資金”を支える制度。
- 省力化補助金の採択に向けて「資金調達の見込み」が鍵
- 資本性ローンは“疑似自己資本”として自己資本比率を高める
- 省力化補助金と同時に計画立案すると、整合性が生まれやすい
この両者の連携活用こそが、今の中小企業に求められる「攻めの経営」を支える道筋です。
最も重要なことは、経営を点で見るのではなく、資金面までも含めて設計することです。「まずは補助金の採択」ではなく、事業計画策定の1つの手段として、資金繰りも考えた計画が求められます。
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