「・・・今年も不合格だった。」
「もう中小企業診断士試験やめようかな・・・」
と、お悩みの受講生のみなさん、その気持ちはあなただけではありません!
恥ずかしい話、私も3回挑戦し、何度もあきらめようと考えました。
でも、立ち上がらなきゃ!
今回は、私が3年間に渡って挑戦した体験談の3年目をお伝えします。
- 3年目の結果
- 3年目の戦略
- 3年目の検証
成功体験を聞くことも重要ですが、失敗の内容を知ることで、反面教師にして頂ければ幸いです!
こんにちわ!中小企業診断士のグレート☆セバスチャンと申します。私のプロフィールは、こちらへ。
3年目の失敗
お話をする前に、3年目の状況を説明します。
- 2020年度試験(3年目)
- 過去問マスター
- その他参考書
私が挑戦した3年目は「2020年度試験」。この年にやっと、全科目合格を達成しましたが、やはりたくさんの失敗をしていました。
教材はTACのDVD通信と過去問の強化のために「過去問マスター」、そして残り科目の徹底教科のために他の参考書にも手を出しました。
それでは、さっそく解説に移ります。
3年目の失敗
3年目の取組み
まずは、3年目の戦略について解説します。
1.勉強環境
当時の私の環境は以下です。
- 【異動】車通勤:片道30分へ
- 机上での勉強可能
過去2年は机に座る時間が限られていましたが、異動場所が近くの職場になったことで、4月からは朝夕2時間程度、机で勉強する時間が確保できました。
科目合格の強みは時間調整が可能であることは確かです。
2.前提知識
2020年度の中小企業診断士試験は以下の残り科目の合格を目標にしました。
- 財務会計
- 経営法務
2019年の試験終了後9月から2020年3月末までは、精神的に追い詰められたこともあり、目の前の仕事に集中したため、勉強はほとんどしませんでした。できなかったという方が正解かもしれません。
本来であれば、7科目受験が望ましいのですが、時間を調整できることが科目合格者の強み。環境の良くなった、4月から集中して、残り科目の勉強に特化することにしました。
3.戦略
自分の状況を検討し、以下を戦略としました。
- 過去問マスター
- 平均65点以上目標
- 科目徹底深堀り
①過去問マスター
残りの受験科目は以下の2つです。
- 財務会計
- 経営法務
昨年は、TACの教材のみで対応し前提知識は備わっていることから、過去問マスターで10年分をやりこむことにしました。具体的な内容は2年目と一緒です。
②平均65点以上目標
この内容は科目合格者に非常に重要な内容です。
科目合格者のメリット・デメリットについて、以下に示します。
メリット | 時間の調整ができる・短期間集中 |
デメリット | 残り科目が苦手科目であるため、60点平均になりにくい |
7科目合格が有利な点は、60点×7科目であるため、得意・不得意科目をカバーすることができるため、結果的に合格率が高くなる点です。
科目合格者は苦手科目が残る傾向があるため、合格率が低くなる傾向がある上に、中小企業診断士1次試験には【地雷科目】に当たれば運に左右されます。
中小企業診断士試験に限らず、合格率の調整が試験には必ず、運営側の意図に組み込まれます。中小企業診断士1次試験では、その年によって、科目合格率が「4%~10%」程度の合格率のものが、いわゆる【地雷科目】と言われます。7科目受験では、その【地雷科目】を他の科目で薄めることができるため、合格率が上がります。しかし科目合格狙いだと、運が悪く残りの科目がその年の【地雷科目】であった場合は、平均点が60点を超えない可能性があるため、合格率が低くなるというものです。
具体的には以下の場合などです。
例えば、平成30年度に【経営法務】だけを受験した場合は、悲惨な結果になっているはずです。加点調整でも40点いくくらいにしかならいと考えられます。
なお、過去の合格率推移は今後、別記事で執筆する予定です。
これらを踏まえて、残り科目に【保険科目】を設定しました。
財務会計 | 60点以上いける自信あり |
経営法務 | 最悪40点になる可能性あり |
中小企業経営政策 | 最大20点の幅を埋めるための保険 |
全体平均 | 65点以上目標 |
本当は、経済学も60点以上確実に行く自信があったので、経済学も選択することがベストだったのですが、経済学が仮に地雷化した場合は悲惨な結果になります。
地雷化したとしても、確実に60点は最低切らない科目。私にとって中小企業経営政策はどう転んでも60点を切ることは考えずらいので、【保険科目】に設定しました。
- 財務会計:72点目標
- 経営法務:48点以上
- 中小企業経営政策:75点目標
- 目標:65点以上
トータルの目標を設定。経営法務だけは、3年間本当に苦しめられているので弱気です。
- 財務会計:64点
- 経営法務:48点
- 中小企業経営政策:70点
- 最低ライン:60点
最悪のパターンを想定。今回はこの戦略で臨みました。
得意科目の基準ってあるの?
難化しても確実に60点を超える科目だ!
③科目徹底深堀り
目標点数高くない?
と思われた方もいるかもしれませんが、根拠を固めるために、今までと異なる科目の徹底深堀りを実施しました。
■財務会計
過去問マスター以外に以下の教材を活用しました。
TACの財務会計に特化した教材です。基本的な繰り返しはこれで補完できます。
正直ここまではいらないと思いますが、余裕のある方は2次試験対策にもつながるのでおすすめです。ただ、やりこんだ方はわかると思いますが、かなり根気強さがいるため、心が折れる可能性があるので、よく検討してから使用してください。
ここまでやれば、得意科目といわないまでも、自信がつきます。もう財務会計が苦手とはいわせません。笑。
■経営法務
私を苦しめ続けている経営法務は、さらに深堀りをした戦略で臨みました。
- その年に対応した制度対策
- 配点の高い論点の教科
①の「その年に対応した制度対策」については、法改正を把握していなかった昨年の失敗を踏まえ最新の教材を購入。以下を使用しました。
さらには、1つ1つの変更のありそうな論点を都度、インターネット検索で最新の情報にアップデートし、エクセルに記載しました。
※使用したフォーマット類は「1年目~2年目の失敗」にありますので、ご活用ください。
②の「配点の高い論点の教科」については、冷静に経営法務試験の全体を俯瞰したところ以下の配点が高いことに気づきました。
- 会社法分野
- 知的財産権分野
その他の「民法分野」については、過去2年間得点源とは程遠い結果でしたので、上記の論点を徹底的に深堀りすることにしました。
【会社法】の参考書は特におすすめです。知財は深堀りしましたが、有用だったかは五分五分といったところです。
あとは、もし知人に【TACの完成答練】を持っている方がいれば、必ず借りてください。なぜなら、その年の民法の改正論点が凝縮されているからです。私はたまたま知人がその年のTAC教材を持っていたので借りることができました。おかげで貴重な4点をゲット。
■中小企業経営政策
この科目も年度によって内容が様変わりしますので、以下のテキストを購入。
また確実に高得点を目指すために以下も購入。
「中小企業白書」の細かい論点までこれでカバーしました。
あとはマメ知識ですが、【在庫不足】が必ず、試験の直前(年明け)に発生します。私は今まで紹介した教科書を年明け過ぎに買ったことで、倍以上の価格で購入していますので、その年の最新版が出たら事前にネットで購入しておくことをおすすめします。本当に高騰しますので要注意!
これだけの科目の深堀りをしたので、「この年落ちたら来年からは7科目で受験しなおすこと」の縛りを自身に設けることにしました。
4.スケジュール
今まで立てた戦略を基に以下の日程を計画しました。
- 月間日程
- 週間日程
- 1日日程
- 当日
具体的に、どのように計画したかを以下で解説します。
①月間日程
4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
繁忙 | 繁忙 | 繁忙 | 閑散 |
経営法務 | 経営法務 | 経営法務 | 中小企業経営政策 経営法務 |
財務毎日 | 財務毎日 | 財務毎日 | 財務毎日 |
4月から非常に環境の良い職場へ異動しましたので、4月~7月の短期間ではありましたが、この3年間の中で最も集中できたと言えます。なんだかんだで環境は大事ですね。
②週間日程
3年目はしっかり机の上で勉強できる時間がありました。
【平日】
4時20分 | 起床 |
4時30分 | 勉強 |
6時45分 | 犬の散歩 |
7時00分 | 新聞購読・朝ごはんなど |
7時30分 | 通勤時DVD |
8時30分 | 仕事開始 |
12時00分 | 昼ごはん・財務会計特訓講座 |
13時00分 | 仕事開始 |
17時15分 | 帰宅DVD |
18時00分 | 筋トレ(月・水)・ジョギング(火・木)・犬の散歩 |
19時30分 | 風呂・ごはん |
20時30分 | 財務会計(月~木)(金・帰宅後自由時間) |
21時30分 | 就寝 |
【土曜日】
9時00分 | 過去問対策 |
12時00分 | 昼ごはん |
13時00分 | 過去問対策 |
16時00分 | 自由時間 |
【日曜日】
9時00分 | 1週間の復習 |
12時00分 | 自由時間 |
科目合格の強みは時間にゆとりができて、深堀りできることですね。
③当日の戦略
3年目は前日はリラックス優先で、ゆっくりと移動し、ホテルに宿泊しました。コロナウィルスの影響で、受験先が大学会場になったことで、近くのビジネスホテルの個室が予約できました。ゆっくり睡眠がとれ、モチベーションは最高潮!もう試験の「ベテラン」ですね。
【1日目】
1.経済学
科目免除
1日目はホテルで、早朝から、計算処理を含めた総復習の実施。手も温まってきました。準備万端!
2.財務会計
①「72点(18問/25問)」目標
※1問当たり:2分30秒
戦略 | 備考 |
①いきなり、1問目から解かない | 全体を俯瞰 |
②いきなり、計算問題を解かない | 理論問題から着手 |
③7問までは落とせると考える | 確実に解ける問題を優先 |
④難問・奇問は解かない | 「ウ」を選択 |
⑤時間の効率化 | 計算処理を別紙に綺麗に早く書く |
落ち着いて時間をたくさんかければ解ける問題が多数あることは、今までの経験からわかりました。しかし、簡単な問題でも、計算の工数が多かったり、処理に時間のかかるものは、後回しにし、時間に余力が出た時点で取り掛かるようにしました。
3.企業経営理論
4.運営管理
科目免除
すぐに帰宅し、明日の2科目の最終見直しをホテルの個室にて集中。リラックスした環境を維持。
【2日目】
5.経営法務
①「最低48点(12問/25問)」目標
弱気?これは最低目標です。
戦略 | 備考 |
①順番通りに解く | |
②会社法・知的財産権に時間を割く | 時間をかけ、慎重に解く |
③民法は深追いしない | 常識的な原則で解けないか判断 |
④難問・奇問は解かない | 迷わずアを選択 |
とにかく、会社法と知的財産権に力を入れたので、ここで高得点を狙う戦略です。今年こそは突破するために慎重に回答しました。
6.経営情報システム
科目免除
中小企業経営政策は試験の開始チャイムまで点数が上がり続ける科目です。最後の最後まで暗記し続けることが高得点への道なので、控室で最後の追い込みを油断せずしました。
7.中小企業経営政策
「70点」以上目標
この科目は素直に順番に解いていくだけです。現在の仕事上、実務での内容が多いのでここで落とす訳にはいかない!
2日日程終了。3年目はこれまでで一番冷静な戦いができました。自信あり!ここで決める。
結果
3年目の自己採点の試験結果は以下です。
経済学 | – | 免除 |
財務会計 | 68点 | 合格 |
企業経営理論 | – | 免除 |
運営管理 | – | 免除 |
経営法務 | 64点 | 合格 |
経営情報システム | – | 免除 |
中小企業経営政策 | 80点 | 合格 |
合計 | 212点 | 合格・平均71点 |
オールクリア【全科目合格】!
やっと3年目にして、1次試験を突破しました。
結果的には、保険科目を設定する必要はなかったですが、なければ平均点も低かったと思います。
検証
今回は合格はしていましたが、具体的に間違った点は検証してみました。
①経済学
経済学は最近では難化傾向にあるようです。令和4年度が直近では底で間違いないようです。
②財務・会計
具体的な間違いは以下でした。
設問 | 内容 | 考察 |
3 | 有価証券の期末評価 | 簿記2級知識の適用が甘かった |
5 | 減損損失 | 完全にケアレスミス 転記記号誤り |
13 | CF計算書 | ここは悔しい |
14 | 活動基準原価計算 | 意味不明・捨て問 |
16 | 金利について | 経済学忘却 |
18 | 超過収益率 | 少し悔しい |
22 | CAPM | 少し悔しい |
23 | CF計算 | 計算処理で唯一間違った |
結果論ですがケアレスミスがなければ、目標に近い70点超えでした。完全意味不明は
1問だけでした。今さら、転記ミスは自分の性格について反省しています。
財務会計は合格率そのものが直近では低い傾向ですが、特徴的なのは上下が隔年で必ず発生していることですね。
③企業経営理論
科目合格をした平成30年度を底に合格率が上がり続けていました。合格率が30%近くになると難化する傾向があります。
④運営管理
運営管理は2年ごとに山あり、谷ありといった特徴があるようです。
⑤経営法務
具体的な間違いは以下でした。
設問 | 内容 | 考察 |
2 | 株式会社の設立 | 会社法・悔しい |
7 | 自己株式 | 会社法・悔しい |
11 | 商標出願等 | 知的財産権・悔しい |
16-2 | 英文問題 | 捨て問 |
17 | 相隣関係 | 民法・苦手 |
18 | 時効 | 民法・苦手 |
19 | 詐害行為 | 民法・苦手 |
20 | 保証契約 | 民法・苦手 |
22 | 請負・委任 | 民法・苦手 |
民法が中小企業診断士試験の中で、最後まで煮え切らない結果でした。実態は、2択まで絞れていましたが、別のものを選択している。もし、まだ試験を続けるなら、最後は民法強化だったかもしれません。ここは少し心残り。
しかし、これで証明できました戦略的には成功です。会社法と知的財産権をどれだけやり抜くかが鍵でした。この3年間、本当に苦しめてくれてありがとう。
直近では合格率が急上昇して、簡単になっているようですが、平成26年~令和3年までは極悪科目に認定ですね。令和4年からは、なにかしらの意図があって見直しがされたと思います。
影響は必ず他の科目に出ているはずです。統計分析は今後、執筆予定ですので少々お待ちください。
⑥経営情報システム
どうやら、直近では難化傾向のようです。
⑦中小企業経営政策
具体的にみていきましょう。
設問 | 内容 | 考察 |
2 | センサス活動報告 | 間違ったのはショック |
4-1.2 | CRDデータ | 捨て問 |
5 | 付加価値の推移 | 間違ったらダメ |
8 | 通信利用動向調査 | 捨て問 |
9-1 | 二重請求徴求割合 | 細かすぎ |
19 | 小規模企業共済 | 意地悪問題 |
22-3 | 地域資源活用促進法 | 当時は意識してなかった |
前半のデータ問題が間違っていましたが、後半はほぼ正解の結果。やっぱりこれは高得点狙えます。公的支援機関や公務員系の受講生にとっては、ありがたい科目です。
令和元年と令和3年は何が起きたのかという合格率の低さですが、政策などに日頃から触れている人は、やはり暗記科目であり、詰め込めるだけ詰め込んだ人には得意科目になると考えられます。
⑧総括
この年の「7科目受験生」は、中小企業診断士試験始まって以来の「ラッキー」。運も実力のうち。しかし、本当に冷静に見て欲しいのは科目合格率。40%以上の合格率なんて、どこにも存在しません。
これは試験運営側は少し意識をして欲しいです。長く勉強している受験生に不利な資格試験って、おかしくないですか?ここは少し検討の余地がありますね。科目合格については期限を設けないなどの対策をお願いしたいです。
結果論ですが、3年間苦しんだことで、「知識の定着化」と「知識の実務実装能力」がついたのは事実ですが・・・何度も心が折れそうになったのも事実。
突然ですが皆さんはそもそもなんで勉強するんですか?目的は?夢はなんですか?私はブラック企業に就職して、5年くらいたった頃に、このままこの生活をしていて、60歳を迎えたときにレジ打ちをしているビジョンに恐怖を感じましたことがきっかけです。とはいえ時間もないし、全然経験していないことをしても非効率かな、って結論になりました。恥ずかしながら、なかなか手が付かず、やっと開始したのは30歳の10月でした。最初に思ったのは今の職業でしかとれない資格「第1種衛生管理者」と「調理師」でした。試験自体はそこまで難しくありませんでしたが、どちらも国家資格。それから「販売士2級」を取得。また資格自体は取得していませんが、パソコンスキル向上のために「MOS」でエクセル・ワード・パワポを勉強。33歳の時、試しに「商工会の経営指導員採用試験」を受けました。すると1次試験合格。2次試験の面接で不合格でしたが、手ごたえにはなりました。それから、簿記知識が商工会では必須と知り、「簿記2級」を勉強し合格。前職を辞めていたので、自分で商売やるか迷っていましたが、もう1度受験。結果は採用を頂きました。入社するまでに、「電卓の勉強」しました。私は不器用なので毎日毎日本当にイライラしていたことを覚えています。商工会に入ってからは、金融知識を学ぶために「FP2級」を取得。それから「中小企業診断士資格」に合格しました。勉強開始をして今年で11年。凡人が少しマシな形になるまで本当に10年以上かかりました。今は好きなことで稼ぐための、資格じゃなく別のスキルを作って、50代を迎えたい、そんな思いです。皆さんはなぜ勉強しますか?
凡人には非凡な才能がある
まとめ
今回は【3年目の失敗】中小企業診断士1次試験試験【実体験の検証】について解説しました。
ここまでは、私の中小企業診断士1次試験の記録です。この経験が、皆様の反面教師として少しでもお役に立てれば幸いです。本当に苦労しました。
あなたを中小企業診断士にしたい!
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次の執筆は、皆さんが気になっているであろう、中小企業診断士試験の統計分析について予定しています。少々お待ちください!