突然ですが・・・
「VRIO分析って、試験には出るけど、実務でどうやって使えばいいの?」
「そもそも、価値がある資源って何を基準に判断すればいいの?」
そんな疑問を抱えている中小企業診断士の受験生の方、多いのではないでしょうか。
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回の解説は、そんなお悩みについて、実際の経営支援現場に20年以上携わり、年間100件以上の事業者支援を実施している私の経験を基に、わかりやすく解説します。
この解説を学べば、VRIO分析を「実務で活用できる知識」として定着させ、試験の選択肢も迷わず選べるようになること間違いなし!
ウォームアップ:理解度チェック5問
Q1. VRIO分析で「組織(O)」の視点で問う内容はどれ?
- A. リソースの希少性
- B. 活用できる体制があるか
- C. 経済価値があるか
- D. 模倣困難性
正解:B
👉「O=Organization(組織)」は、企業が資源を活用できる体制を整えているかを問います。
Q2. 「模倣困難性」が高い例はどれ?
- A. 高性能な3Dプリンタ
- B. 特許取得済の技術
- C. 誰でも買えるソフトウェア
- D. 汎用の設備機器
正解:B
👉 模倣困難性は、他社が簡単に真似できない強み。特許などの法律的保護は代表例です。
Q3. VRIO分析はどのような目的で用いる?
- A. 外部環境を分析するため
- B. 新規顧客開拓のため
- C. 企業内部の強みを競争優位性の観点から評価するため
- D. マーケティング戦略の立案のため
正解:C
👉 VRIOは内部環境分析のフレームワーク。資源が競争優位につながるかを判定します。
Q4. 中小企業診断士一次試験の企業経営理論で問われた内容で誤っているものは?
- A. VRIOは内部資源を評価する
- B. VRIOの順番は重要ではない
- C. VRIOの「I」は模倣困難性
- D. VRIOは競争優位性の継続性を評価する
Q正解:B
👉 VRIOはV→R→I→Oの順番でチェックする必要があり、順序は重要です。
Q5. 事例企業の唐揚げの「秘伝の味」をVRIOの観点で評価する場合、該当するのは?
- A. V
- B. R
- C. I
- D. 全て該当する可能性がある
Q正解:D
👉 秘伝の味には価値・希少性・模倣困難性のすべてが該当しうるため、全体として強みです。 事例企業の唐揚げの「秘伝の味」をVRIOの観点で評価する場合、該当するのは?
試験で問われるポイントまとめ
- VRIOは「企業内部の経営資源」に対する競争優位性の有無を評価
- 各要素は順にチェックし、Yes/Noのフローで分析
- 最終的に「永続的競争優位性」に該当すれば最強の強み
VRIO分析とは?
VRIOとは、企業内部のリソースが持つ競争優位性を4つの視点から評価するフレームワークです。
観点 | 内容 | Yesなら… |
---|---|---|
Value(価値) | 経済的価値を生むか? | 競争劣位 → 競争均衡へ |
Rarity(希少性) | 他社が持っていないか? | 一時的競争優位へ |
Inimitability(模倣困難性) | 簡単に真似されないか? | 持続的競争優位へ |
Organization(組織) | 組織が活用できる体制を整えているか? | 永続的競争優位へ |
問題にも掲載しましたが、 VRIOはV→R→I→Oの順番でチェックする必要があり、順序は重要です。

「VRIO分析は、単なる理論ではなく、”自社の強みを言語化し、競争戦略を考えるための武器”です。」
有名な中小企業の事例紹介
① 株式会社山崎製パン(ランチパック)
山崎製パンは、「VRIO分析」をランチパックという加工食品ブランド事業の中で巧みに活用しています。
- V:価値 … 手軽・安全・低価格でニーズに応える
- R:希少性 … 特殊な包装製法により空気に触れない
- I:模倣困難性 … 独自の製造ライン・技術
- O:組織 … 工場と物流の全国展開が可能な体制
→ 持続的競争優位性を実現している典型
② 株式会社やまや(明太子専門店)
やまやは、「VRIO分析」を明太子ブランド事業の中で巧みに活用しています。
- V:価値 … 土産・贈答用に圧倒的ブランド
- R:希少性 … 地元での仕入れと味付けの独自性
- I:模倣困難性 … 長年の職人技術とブランド構築
- O:組織 … 全国展開しつつも各店舗に製造拠点
→ こちらも永続的競争優位性あり
実務事例:ある地域の老舗弁当店の支援から
支援の背景
私が支援した、ある地方都市で40年以上地域に愛されてきた老舗の弁当店(唐揚げ専門店)が、後継者への事業承継を進めながら、売上の減少という課題に直面していました。
そこで、地域の商工会とともに事業承継および販路拡大のための支援を行った事例を紹介します。
活用したフレームワーク:VRIO分析
- V(価値):唐揚げの味に地域ファン多数、顧客のリピート率が高い
- R(希少性):独自調味料と揚げ方のノウハウ
- I(模倣困難性):代表が全国を巡って得た「秘伝の味」
- O(組織):後継者がマニュアル化とSNS活用で強化中
実行した支援内容
- 店舗改装で名物商品を視認性の高い形で訴求
- 惣菜商品の開発で女性客・観光客へアプローチ
- SNSと口コミ活用でブランド認知を向上
- 技術承継のマニュアル化支援
特に、模倣困難性である、代表が全国を巡って得た「秘伝の味」をコアコンピタンスと考え、具体的な支援に全て投下していきました。
コアコンピタンスとは、企業が他社には真似できない、競争優位の源泉となる中核的な能力のことです。1990年に経営学者のプラハラードとハメルが提唱した概念で、企業が長期的に成長していくための「強みの核心」として重要視されています。
今回の事例では、たとえば唐揚げの味や独自の調理技術、地域に根差したブランド力といった要素が、まさにコアコンピタンスに該当します。これらは簡単には真似できず、かつ顧客にとっての明確な価値となっていることから、企業戦略の中核に据えるべき重要資源といえるでしょう。
したがって、VRIO分析の結果を踏まえてコアコンピタンスを正確に把握し、それをどのように活かしていくかを検討することが、実務における経営支援の重要なポイントとなります。
成果と今後の展望
- 売上10万円増加/月(回収期間1年未満見込)
- 後継者の自信形成・組織力強化
- 地域の名物として認知されるブランド確立へ前進

実務&養成課程実習で使えるワンポイント
「なんでか分からないけど、お客さんが離れないんだよね」
中小企業の社長さんから、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「良く分からないんだけど、うちの○○、なぜかお客さんがずっと来てくれるんだよね……」
中小企業診断士として現場に立つ私たちは、思わず「なぜ?」「なぜ?」と頭をフル回転させますよね。
たとえば、あるケーキ屋さんの実習でのことです。まわりには競合となる洋菓子店がひしめいているにも関わらず、そのお店は地域で何十年も「一番店」の座を守り続けていたのです。
ヒアリングや観察を重ねた末、私たちがたどり着いた答えはこうでした。
「このお店には、地域の人々の“思い出”や“なつかしさ”が詰まっている。だから他のおしゃれなケーキ屋さんに一度は浮気しても、最後にはまたここに戻ってくる。」
それは、まさに信頼の証。そして、お店の方自身がうまく言葉にできなかった「目に見えない強み」。
じつはこれこそが、VRIO分析で見えてくる“永続的競争優位”の真髄なんです。
まとめ
最後にまとめます。
- VRIO分析は「企業の強み」を戦略的に整理する超重要フレームワーク!
- フロー形式で競争優位性を判断でき、試験でも頻出
- 実務では、想いを持った事業者の資源を見逃さず、支援に活かす鍵になる!
もし、私と同様に、知識だけでなく現場で経験を積みたい方は、商工会への転職も考えてみてください。一緒に、仲間として働きませんか?
参考書
【独学におすすめの教材】
【最後の一押しテクニック】
【2次試験対策】
【実践で使うおすすめの本】