筆記試験で合格したけど、中小企業診断士養成課程も実は気になる
これから行くけど、どんな研修なのかなぁ?
卒業してから、結構忘れてるから思い出したいなぁ
と、感じている中小企業診断士受験生や中小企業診断士の方、必見!
養成課程を得て、中小企業診断士として活動している私が、当時学んだ内容について、解説していきます。この記事を読んで頂ければ、中小企業診断士養成課程でどのようなことを学んでいるかを追体験できること間違いなし!
おはようございます!中小企業診断士のグレート☆セバスチャンと申します。私のプロフィールは、こちらへ。
重要
私の養成課程期間中の体験談を基にお伝えしていきますが、企業の特定に結び付く情報や、各研修の詳細をそのまま使用することはありません。あくまで学んだことを、私の視点から解釈し、再構成している点についてご了承ください。
財務分析の目的の考察②
財務分析と経営分析の違いについて、ロックとマリアは休憩中に考えてみたが、なかなか答えは出ない。
3日目の財務会計の目的の後半戦がスタート!
財務分析と経営分析
講師は、財務分析の目標について以下のように説明した。
形式的な目標 | 実務的な目標 |
①過去の財務諸表から、各種財務比率を計算し、解釈する。 | 財務比率には表れないが、金額の規模による大きな変化から、仮説を立てる。 |
②財務計画を作成する。 | 経営者自らが財務計画を作成できるような仕組みを提案する。 |
③考えられる改善策の提案を実施。 | 企業の問題より、現在の「あなたにできること」改善策の提案を実施する。 |
講師の話から、ロックは①が財務分析で、①~③の一連の流れが経営分析であることと考える。講師は講義の中で明言はしなかったが、マリアは【財務分析を基点とした仮説、実践、検証、改善のプロセス】を経営分析だと認識した。
決算書を基に仮説をたてることかな?
財務分析が点で、経営分析が線のイメージかな
決算書情報の限界
「財務分析は経営分析ではない。決算書を読めば会社がわかる、と思っている人は財務情報にしかできないことがある一方で、財務情報の過大評価を戒める必要がある。」
講師は、ベテランの公認会計士だ。講師自身も多くの成功や失敗の経験をしている。前半戦で言い放った「現場にしか答えはない」という言葉に重みを感じる。
「○○比率を改善してください、という提案は【経営者が何をすればいいか?】を示していない。【自分自身】を専門用語を使うことで大きく見せ、結局何も示さないのなら、時間のムダでしかない。」
ロックとマリアは、ハッとする。仕事上で依頼した専門家が、専門用語を並び立てて良く理解できないが、【なんだか、この人凄い】と思い込むバイアス。でも、後から考えて入れば【何の行動も示していない】。そんな経験を思い出す。
それでは、どのようなアドバイスがいいのだろうか?講師の話をまとめると以下となる。
STEP1:仮説 | 今のままだと、いつまでに、資金がいくら不足する |
STEP2:改善策 | 経営者が、いつまでに、何をすれば、いくら資金繰り(利益)が改善する |
ロックとマリアは、経営者にとって結果的に【会社に現金がいくらあるか】が一番重要であることを経験上思い出す。そして、仮説と改善策の提案が経営分析であることを理解する。
「じゃぁ、決算書からSTEP1は分かりますか?」
二人は経験不足とはいえ、中小企業診断士の卵だ。【決算書が結果だけ】でしかないことは、十分理解している。つまり、損益計算書や貸借対照表だけでは、STEP1を予測するには限界がある。
「そうか!キャッシュフロー計算書を作成する必要があるんだ!」
「もっと具体的に、資金繰り表を作成すればいいんじゃない?」
など、二人は中小企業診断士1次試験の知識を基に意見を出し合う一方で、経験上やったことがないため自信がない様子である。
結果だけでCF計算書を作る意味はあるのか?
予想貸借対照表の作成
「まずは予想貸借対照表を作成できるように!」
講師は、予想【貸借対照表】を作成することで、会社に資金がいくら残るのかの予測を立てるテクニック上の話をする。
「予想【損益計算書】だけでは、利益だけしか見えない。実際に黒字倒産もあるのは、現金がいくらあるかを把握していないからだ。」
ロックは知識が定着しておらず、既に付いてていけていない様子。マリアは中小企業診断士1次試験の知識を思い出す。
①営業CF-②投資CF-③財務CF=現金の増減額
①については、予想損益計算書を作成し、税率を把握しておくことで簡易的に以下の計算式で算出されることを思い出す。
①(営業利益-減価償却費)×税率+減価償却費
「でも、②は今後の投資計画、③は現在の借入状況や今後の借入計画について事業者に聞かないと詳細は分からないわね。」
マリアは結果的に現地で事業者ヒアリングができずに、机上だけの情報で判断することにストレスを感じている。
「今、欲求不満を感じている生徒は、それが大事!」
講師が語りだし、再度以下の内容を説明する。
形式的な目標 | 実務的な目標 |
①過去の財務諸表から、各種財務比率を計算し、解釈する。 | 財務比率には表れないが、金額の規模による大きな変化から、仮説を立てる。 |
②財務計画を作成する。 | 経営者自らが財務計画を作成できるような仕組みを提案する。 |
③考えられる改善策の提案を実施。 | 企業の問題より、現在の「あなたにできること」改善策の提案を実施する。 |
「机上の演習では限界がある。そこでストレスを感じることが重要。ただし、来週の演習では【形式的な目標】は最低限クリアする必要があります。」
ロックは正直途中から意味がわからなくなっており、くやしい様子。
(まずは形式的な目標をクリアしなければ・・・)
そして最後に講師が再度、結論を述べる。
「現場にしか答えはない」
中小企業診断士1次試験では、主に以下を経営分析として学習したと思います。成長性分析、収益性分析、効率性分析、安全性分析、生産性分析そしてCF計算書分析。今後の記事については、基本的に現地へ行く前の仮説を立てる調査で、経営分析を実施するという点では上記の観点で話を進めていきます。なお、本テーマでは、より本質的な内容の決算書情報だけでなく、現場で実態をつかみ提案するまでのフローを経営分析と定義しています。ここで伝えたかったことは、決算書はあくまで仮説を立てる1つの要素であり、決算書だけで経営を判断するものではないため、財務分析と経営分析を分けて説明したという流れです。
【実務的な目標】は実習で活用するぞ!
次回に向けて
「この決算書を来週までに予習しておくこと!」
最後に講師より、1つの会社の決算書と会社情報が渡された。
一緒に放課後、勉強しない?
いいよ!基本も忘れてるようだし。笑
二人は、来週の演習の疑問点についてまとめた。
※決算書情報が開示できませんので、当時どのような分析をしたかを掲載します。
事例について、2人は財務諸表の経営分析を実施する。
- 収益性分析
- 効率性分析
- 安全性分析
- 生産性分析
- 成長性分析
- CF計算書の作成
①~⑤の比率については、図書館にある業種別審査辞典の黒字企業との比較を行う。⑥については、持参した教科書を開きながら数値を組み替えていく。
「・・・かなり時間がかかったけど、1次試験の知識思い出してきた!」
「銀行から参加している受講生は、Excelフォーマットで簡単に計算できたみたいね。それも方法の1つかしら。」
「・・・無駄な時間だった。涙。」
「無駄じゃないと思うよ!先生も言ってたけど、簡単に比率で考えるのではなく、自分で考えたことで、金額の変化にも着目できて多くの仮説を思いついたはず!」
「あと、今回は演習だからしなかったけど、実習では、貸借対照表は【公式】から【実態】に修正しておくことも重要かもね。」
「どゆこと?」
「実際に出力されている貸借対照表の中には、実態を伴っていない科目が存在するの。代表的なものとしては、代表者勘定ね。」
「代表者勘定?」
「簡単にいうと、そこの会社の社長が会社から借りたり、逆に貸し付けたりしているお金ね。それらのお金はあまり実態があるとはいえない。回収できなかったり、債券放棄してもらったりする提案もすることがあるわ。」
「それらの実態を伴っていない科目を削除して、実態に近い貸借対照表にするってこと?」
「そう!左右のバランスを取るために、その調整した金額は純資産額で調整する必要があるわね。」
「・・・?笑」
「今度、銀行から来ている受講生に、実態BSの作り方や銀行格付けの考え方を聞いたら参考になるかもね。」
「了解!ありがとう!」
その後、二人は「株式会社○○」について以下の検討をした。
〈定量面の疑問〉
1.売上上昇しているのになぜ営業CFは横ばいなのか?
2.総利益がさほど伸びていない理由はなぜか?
■材料費の増加の謎
・製造原価の仕入れや人件費が明らかに上昇しているのはなぜか?
■労務費の増加の謎
退職金は誰のものなのか?給料構成が変化しているのはなぜか?
工具器具備品が増えている?車両。機械や建物の変化は見られない。
3.短期借入金と割引手形の短期資金は何に充てられているのか?
4.長期借入金を繰り上げ返済しているのはなぜ?原資の見合いは?
※土地がヒント?
〈定性面の疑問〉
ア.企業の歴史
■新工場移転時、特定資産の買い替えの特例を活用。
財務上の要素:貸借対照表上の土地の取得価格は、実際の価格より約2億円低く設定されている。実際の財務諸表の数値が約2億円であるため、土地の価値変化がないという前提を置くと、約4億の価値があるということになる。
ここがあとからどうかかわってくるかは今の時点では謎。
◆推測:土地の価値がもし下がっているとしたら?売却益が計上されていないのに現金が増加した謎につながるのではないか?土地を買った時期で場所が東京ならば、土地の価値はバブル崩壊とともに激減している可能性があるのでは?
ただし、そこの可能性よりも、なぜ土地の話があって、長期の繰り上げ返済があっているのか?それが何を意味しているのかが重要なのではないのだろうか?
イ.取引情報
■大手企業及び多数の販路先
中小企業は一部の取引先依存度が高いのに対し、ここは違う。製造業としてどんな特徴があるのだろうか?品質?コスト面?納期面?QCDの特徴がある?
■仕入れ先
海外法人を立てたということは、仕入先の取引先についてメリットがあるのではないか?コスト優位に立てたのか?今は環境変化していないか?
■決済方法
・現金40%:月末〆の翌月入金・売掛金の確認が必要と考えられる
※翌月のいつに入金されるかは謎。
・手形60%:月末〆の3カ月後入金・受取手形の確認が考えられる
課題は翌月未回収が多い点。ここをどう考えるか。相手は力の強い大手だったり、経営資源の脆弱な中小企業だったり、どちらが遅いのか?それを是正する方法については慎重に考える必要があるのか?良い方法はないのか?一方的に払ってくれは答えではない気がする。
◆推測:手形サイクルの出金サイクルが入金サイクルより長いため、キャッシュフロー的には対象事業者有利に働いている可能性。
しかしながら、取引先の不景気のあおりなどで取引条件を変更される可能性があるので、資金繰りの圧迫につながる可能性が検討できる。特に手形決済割合が大きいので、もし支払いサイクルを短期間にした場合は借入などの金融円滑化対策が必要であると検討できる。現在実行できる対策の1つとして未回収漏れを防ぐ方法がある。強引にいくべきか?いい方法を模索する必要ある。
どちらにしろ、「短期安全性」について何かしらの問題や課題がある状況かと推測できる。
ウ.従業員数(経営戦略上最も重要な気がする)
■従業員数:77名
役員の構成が変化していない。ただし、なぜ株主に会長がいないか謎。あとは義弟が株主である点。役員ではないことが大きなポイントなのではないだろうか?
また、女性の工員が多い。なぜだろうか?製造業で女性が多い理由は何か?力仕事ではないのか?ここは今後の投資効果に大きく関わってきそうな気がする。
◆推測:従業員構成が「事務」と「製造」で分けられているので、おそらく労働生産性等の検討が必要になると検討できる。
戦略は「利益率」なのか「回転率」なのか、両面はトレードオフと考えるならば、利益については取引先が多数あることから、製品が差別化されており、受注はたくさんある。しかし、それが追いつく余力がないのではないか?
ここを加味するならば、回転を上げること、回転をあげるためにどうするかが最大のポイントではないのか?
これをもってまずはROIの最大化を図る方向性を提案してみてはどうだろうか?
ここはおそらく班員構成の考えにおいて最も重要となるのではないだろうか?
その場合は利益率を一定規模あげつつ、回転率も上げる方法もあるし、利益率に特化していく方法もあるのではないか?ただし、制約はコストカットによるものではないことはルールとしてあることを忘れてはならない。
もし生産性に問題が起きるトラブルがあっているとするなら、どう対応する必要があるのか?機械投入かオペレーション改善か?そして、そこを担う責任者はもしかしてだが義弟なのではないのか?給料以上に気にするべきは、なぜマネジメント側ではないのか?組織体制はどうなっているのか?
エ.同族会社の判定に関する明細書
■株式構成
なぜ会長の株式が0なのか?ここでの株式構成を見ると、会長が0。息子の社長が3/9。専務である母が4/9。会長の義弟が2/9。
◆推測:まず義弟の存在。彼の役職が示されていない。会社経営に関わっているという前提を置きます。
※関わっていない場合は話がややこしくなるため。おそらく、長男の妻の弟であり、事業になにかしら関わっていない人間に株式を与えるとは考えらえない。
課題は現社長が株式の50%超を持っていない。もし母親と義弟が結託すれば、社長職を追われる不安がある。特に大事なことは意思決定の迅速化が中小企業のメリットと考えるなら、社長判断で議決が取りずらい状況だと課題が検討できます。
これらの方向性としては、会社余力があるなら自己株式で買い取る方法か、母親の株式を譲渡してもらうか?ただし、義弟の理解が得られるならそこまでする必要はないのではないか?理解と納得は役職を与えることではないのか?
※自己株式には議決権がない」と書いてあった。ということは単純に考えると、母親の株式が自己株式になるとするならば、社長6・義弟4で半数超える。
ただし、この方向性が財務上どうかと検討するならば、会社のお金が減少する難点がある。中小企業がそんなことするだろうか?そんな純資産に余力があるのか?余力があるようにするのか?方向性はいろいろあると検討できる。
オ.主な製品
これを見ると主力が2/3でその他が1/3。
◆推測:ここはおそらく財務上の課題を検討した後に経営戦略を立てる時に検討する要素ではないのか?2/3部分がかなり特殊な製品とすれば、やはりこちらの強化?はたまた、その他に機会があるのか?逆に海外法人のメリット・デメリット・時代背景は?
二人は今までの経験上から、上記の推測を立てた。意外に決算書情報だけでも、気になる点は把握できたようである。
どれだけの仮説が立てられるか?
まとめ
【あなたも追体験!】中小企業大学校養成課程【第13回:財務分析の目的の考察②】、いかがだったでしょうか?
このブログを読んで、少しでもためになったという方は、ブログの応援と投票お願いします。みなさんの協力が必要です。何卒宜しくお願い致します。
少しづつですが確実に応援してくれている読者が増加しており、本当に励みになっております。毎日感謝です!
また、Twitterにも登録して頂くと、記事を更新した時にお知らせしますので、今後も「志」ともに、一緒に学んでいけると幸いです。