衛生管理の資格は取得するだけで、強みになる!
衛生管理者は立派な【国家資格】であり、一定規模の事業場では、衛生管理に関する業務を担う「衛生管理者」の選任が必要です。
つまり、事業者には設置義務が生じるため、衛生管理者は転職に有利な資格の1つと言えます。
実際に第一種衛生管理者であり、調理師として厨房内の衛生管理を担当していた私が、衛生管理者の役割やその重要性、資格取得の方法について解説!ぜひ最後までお読みください!
私も第一種衛生管理者です!
衛生管理者とは?
健康で安全な職場環境は従業員の生産性向上や離職率の低下に寄与します。これにより、企業は優秀な人材を確保しやすくなり、長期的な競争力を維持できることから、衛生管理者の社会的なニーズはますます重要視されています。
定義と役割
衛生管理者とは、職場の衛生管理を担当する専門職のことです。従業員の健康と安全を守るための重要な役割を担っており、社会的なニーズも以下の理由から増加しているんです。
- パンデミックの影響
- メンタルヘルスの重要性の認識
- 法規制の強化
- 企業の社会的責任(CSR)
法的要件
法律で定められた要件により、一定規模以上の企業には衛生管理者の配置が義務付けられています。これにより、職場の安全性が確保されます。
衛生管理者を選任した場合、その旨を所轄の労働基準監督署に報告しなければならない。
労働者 | 衛生管理者の人数 |
50人以上~200人以下 | 1人以上 |
200人超~500人以下 | 2人以上 |
500人超から1,000人以下 | 3人以上 |
1,000人超~2,000人以下 | 4人以上 |
2,000人超~3,000人以下 | 5人以上 |
3,000人超 | 6人以上 |
つまり、50人以上の規模の企業には必ず設置する義務があるということです。
衛生管理者の実務
衛生管理者が行う業務内容を簡単に解説します。
日々の業務
職場の安全衛生環境の維持: 定期的に職場を巡回し、労働環境の衛生状態をチェックします。不備があれば改善策を講じるとともに、適切な衛生基準が保たれていることを確認します。
従業員の健康管理: 健康診断の実施とその結果のフォローアップ、従業員の健康状態の監視、必要な場合には医療機関との連携を行います。また、健康相談やカウンセリングを通じて従業員の健康維持をサポートします。
安全衛生教育の実施: 新入社員や定期的な研修を通じて、従業員に対して労働衛生の重要性や正しい衛生管理方法を教育します。また、緊急時の対応方法や安全衛生に関する法令・規則の遵守を徹底させるための指導を行います。
緊急時の対応
迅速な初期対応: 怪我や事故が発生した場合、直ちに応急処置を施し、必要に応じて救急車を呼ぶなどの初期対応を行います。応急手当の知識を持ち、適切な対応ができるようにしておくことが重要です。
関係者への連絡と報告: 事故や緊急事態が発生した際には、速やかに上司や関係部署に連絡し、状況を報告します。適切な指示を仰ぎ、組織全体での対応を協議します。
再発防止策の策定と実施: 緊急事態が収束した後、原因を分析し、再発防止策を策定します。必要な改善措置を講じ、従業員への周知徹底を図ることで、同様の事態が再び起こらないようにします。
衛生管理者のニーズは高い!
受験資格
衛生管理者の種類と、受験資格について解説します。
第一種衛生管理者の受験資格
第一種衛生管理者の受験資格は以下の通りです。
- 学歴要件:
- 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校のうち、保健衛生に関する学科を修了した者。
- その他、労働基準監督署長が同等の学歴と認めた者。
- 実務経験要件
- 学歴要件を満たさない場合、少なくとも3年以上の実務経験が必要です。実務経験とは、事業場における安全衛生に関する業務に従事した期間を指します。
私には関係ないかも・・・と思う前に1つ提案です。
私も第1種衛生管理者の資格を持っていますが、前職で店長やマネージャーの仕事をしていた時に労働者の健康管理や、職場環境の改善提案につながる業務は多々ありました。
極論、会社の総務課等に話し、上記にあたる要件について会社が認めてくれるのあれば受験資格になりますので、あきらめずに一度相談してみてはいかがでしょうか?
企業によってはすぐ書いてくれる!
第二種衛生管理者の受験資格
第二種衛生管理者の受験資格は以下の通りです。
- 学歴要件:
- 高等学校以上の学歴を持つ者。特に、保健衛生に関する学科を修了している必要はありません。
- 実務経験要件:
- 第二種衛生管理者の受験に特別な実務経験は必要ありません。
第1種と第2種の違い
第二種衛生管理者は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種においてのみ、衛生管理者となることができる資格です。
第一種衛生管理者の資格を持っていないと対応できない業種は下記の通りです。
- 製造業
- 建設業
- 鉱業
- 運輸業
- 電気業
- ガス業
- 水道業
- 鉄道業
- 港湾運送業
- 倉庫業
業種も問わず、キャリアのステップアップにもつながるため、第一種衛生管理者がおすすめです!
受験のための手続き
衛生管理者の資格を受験するためには、以下の手続きを行います。
- 受験申請書の提出
- 労働基準監督署にて受験申請書を入手し、必要事項を記入して提出します。
- 必要書類として、学歴や実務経験を証明する書類が求められます。
- 受験料の支払い
- 受験申請書と一緒に、所定の受験料を支払います。受験料は申請時に指定された方法で支払います。
- 受験票の受領
- 受験申請が受理されると、受験票が発行されます。受験票は試験当日に必ず持参します。
衛生管理者の資格取得のメリット
衛生管理者取得のメリットについて、説明します。
個人のキャリアアップ
衛生管理者の資格を取得することで、キャリアアップの大きなチャンスが得られます。専門知識を持つことで、職場での評価が高まり、昇進の機会も増えます。
企業のメリット
企業側にとっても、衛生管理者を雇用することは多くのメリットがあります。安全性の向上や法的リスクの軽減、従業員の健康管理が主な利点です。
転職で有利
衛生管理者が転職で有利な理由は主に以下があります。
衛生管理者は労働安全衛生法に基づいて企業に必要とされる資格です。50人以上の労働者を雇用する事業所では衛生管理者を置くことが法令で義務付けられています。このため、衛生管理者資格を持っていることで、多くの企業で重宝される人材となります。
衛生管理者は製造業、建設業、サービス業など、業種を問わず必要とされるため、転職先の選択肢が広がります。特に製造業や建設業などの労働安全衛生が重要視される業界では高い需要があります。
衛生管理者は職場の安全と健康を管理するための専門知識を持っているため、企業の労働環境改善に貢献できます。これにより、企業内での評価が高まりやすく、転職時にもその知識と経験が評価されやすいです。
衛生管理者資格を持っていることで、安全衛生管理の専門家としてのキャリアパスが開けます。大企業では安全衛生部門のリーダーやマネージャー、コンサルタントとしてのキャリアアップの可能性も広がります。
衛生管理者が適切に配置されていることは、企業にとって法的リスクの軽減につながります。そのため、衛生管理者資格を持つ人材は、企業にとって法令遵守とリスク管理の観点からも重要です。
衛生管理者は職場の労働環境を改善する役割を担っており、従業員の健康や安全を守ることで企業全体の生産性向上にも寄与します。このため、企業にとって非常に価値のある人材となり、転職市場でも高く評価されます。
御守になる資格でもある!
衛生管理者の試験概要
衛生管理者の試験概要について解説します。
試験内容
衛生管理者の試験内容(試験科目)は、第1種衛生管理者と第2種衛生管理者、特例第1種衛生管理者で分けられます。
特例第1種衛生管理者試験とは、第2種衛生管理者免許を受けた人が、第1種衛生管理者免許試験を受験する場合に該当する試験です。
種類ごとの試験科目や範囲は、以下のとおりに定められています。
- 関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)
- 労働衛生
- 労働生理
出題数・配点は少し異なります。
<第一種衛生管理者>
(1)関係法令 17問(配点150点)
(2)労働衛生 17問(配点150点)
(3)労働生理 10問(配点100点)
※合計44問:試験時間は3時間です。
<第二種衛生管理者>
(1)労働衛生 10問(配点100点)
(2)関係法令 10問(配点100点)
(3)労働生理 10問(配点100点)
※合計30問:試験時間は3時間です。
詳細は以下の公益財団法人安全衛生技術試験協会(JSHT)のホームページをご確認ください。
過去5年間の合格率の推移
過去5年間の合格率推移について、グラフにまとめました。
第1種衛生管理者の資格
第一種衛生管理者の合格率の平均は45%程度です。倍率は約2.2倍程度で、比較的取得しやすい資格だと言えます。
第二種衛生管理者
第2種衛生管理者は50%以上を常に維持しています。
ただし、2人に1人は不合格になっているのも事実!油断せずに勉強し、モチベーションの向上につなげることがポイントです。
勉強時間・方法・費用
勉強のポイントについては以下のとおりです。
勉強時間
合格するために必要な勉強時間は、第一種衛生管理者が約100時間、第二種衛生管理者が約60時間かかります。期間は、3~6ヶ月程度を見込んでおく必要があります。
ただし、職場によっては、労働安全衛生法などの知識がある方は、少ない時間で合格できる可能性があります。自分に合ったペースで確実に合格できる方法を検討する必要があります。
独学
独学でも十分に合格できる可能性がありますが、独学では試験のポイントがわからなかったり、モチベーションなどの自己管理が必須です。
資格取得講座
お金はかかるものの通信講座を受講する方法もあります。わからない箇所は質問できるコースも用意されているため、独学では学習に不安がある場合は、民間の講座を検討してもよいでしょう。
更新費用
国家資格である衛生管理者試験に合格後、都道府県労働局及び各労働基準監督署にある免許申請書に必要事項等を記入し、免許試験合格通知書と必要書類を添付のうえ、東京労働局長に免許申請をすることで、免許証が交付されます。
また、衛生管理者の資格に有効期限はないため、一度取得すると更新手続きは不要です。
わかりやすくいうと、合格後は一切経費の掛からない永久ライセンスだということです。
私の経験談
私は複数の資格を保有していますが、記念すべき第1号の取得資格が、この第1種衛生管理者でした。第1衛生管理者は立派な国家資格であり、私の名前が店舗に選任されて掲げられた時は資格取得の効果を実感しました。
残念ながら不合格となりモチベーションが低下し、その後の資格取得も諦める人が多いことも事実。特に第一種衛生管理者のように合格率が比較的高い試験で不合格になれば、その後の人生設計にダメージを与える可能性もあります。
私は絶対にモチベーションを向上させる目的で、資格講座の教材を購入し、期間も4カ月程度かけ、最高の状態で試験に臨みました。その資格取得から10年が経ち、今では難関資格である中小企業診断士試験にも合格するモチベーションアップにつなげることができました。
「とりあえず受験しよう」
はおすすめしません。不合格はあなたのモチベーションを下げるからです。今後のライフステージのステップアップを検討されている方は是非、合格を勝ち取り、その後のモチベーションアップにつなげてください!
資格取得はモチベアップが鍵!
衛生管理者取得後の上位資格について
資格取得後も、さらなる専門性を求める方は以下の内容も参考にしてください。
衛生工学衛生管理者
衛生工学衛生管理者は、職場環境の衛生管理を専門的に行う資格です。この資格は、特に化学物質の取り扱いや環境衛生に関する知識が求められる職場で重要な役割を果たします。
- 第一種衛生管理者免許
- 工学や理学に関する学歴または同等の実務経験
詳細は以下をご確認ください。
労働衛生コンサルタント
概要
労働衛生コンサルタントは、労働者の健康管理や作業環境の改善に関する専門知識を持ち、企業や事業所に対してコンサルティングを行います。衛生管理者としての経験を活かし、より専門的なアドバイスを提供します。
受験資格
- 衛生管理者としての実務経験が数年必要です。
- その他、指定された学歴や実務経験が求められる場合があります。
業務内容
- 労働環境の評価と改善提案
- 健康診断結果の分析と対応策の提案
- 労働者のメンタルヘルス対策の指導
詳細は以下をご確認ください。
私も欲しい資格です!
安全衛生技術士
概要
安全衛生技術士は、安全管理や労働衛生に関する高度な技術と知識を持ち、企業の安全衛生管理体制の構築と改善に貢献します。技術士の資格は、国家資格であり、信頼性の高い専門資格とされています。
受験資格
- 衛生管理者の資格を持ち、一定の実務経験が必要です。
- 専門分野に応じた学歴や実務経験が求められます。
業務内容
- 職場の安全衛生に関する技術的な支援
- 労働災害防止のための計画策定と実施
- 安全衛生教育の実施と指導
詳細は以下をご確認ください。
労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)審査員
概要
OHSMS審査員は、労働安全衛生マネジメントシステムの導入と運用の審査を行う専門職です。ISO45001などの国際規格に基づく審査を通じて、企業の安全衛生管理の適正を評価します。
受験資格
- 衛生管理者の資格に加え、OHSMS関連の実務経験が必要です。
- 審査員としての研修や認定プログラムの受講が求められます。
業務内容
- 労働安全衛生マネジメントシステムの審査と認証
- システムの改善提案とフォローアップ
- 企業の安全衛生管理体制の評価と指導
詳細は以下をご確認ください。
衛生管理者の上位資格を持てば、社内だけでなく、社外のコンサルもできること間違いない。あなたの可能性はさらに広がり続ける資格なんです!
相性の良い資格
衛生管理者と相性の良い資格について紹介します。
産業カウンセラー
概要
産業カウンセラーは、職場で働く人々のメンタルヘルスや職場環境の改善を支援する専門家です。従業員の心理的サポートを行い、職場のストレスや問題を軽減する役割を担います。産業カウンセラーは企業内のカウンセリングルームや外部の相談機関で活動します。
受験資格
認定機関(一般社団法人日本産業カウンセラー協会)の養成講座を修了する。
養成講座の入学資格は特に定められていません。
業務内容
- カウンセリング
- メンタルヘルス対策
- 職場環境の改善
- 危機介入
社会保険労務士
概要
労働法、社会保険法に関する知識を持ち、企業の労務管理や社会保険手続きを支援する専門家。
受験資格
学歴: 大学、短期大学、または高等専門学校を卒業した者、またはこれと同等の学力が認められる者。
実務経験: 学歴にかかわらず、一定の実務経験(3年以上)がある者。
業務内容
- 労務管理
- 社会保険手続き
- 労働トラブル対応
今後、私が紹介する予定です。
中小企業診断士
中小企業診断士についての詳細を知りたい方は以下をクリック!
あなたを診断士にしたい!
最後に
衛生管理者の資格は、あなたのキャリアを飛躍させるための大きなステップです。
管理の資格を取得するだけで、あなたの強みとなり、転職やキャリアアップに有利になります。衛生管理者は立派な【国家資格】であり、一定規模の事業場では設置が義務付けられているため、需要が高いことも魅力の一つです。
私自身、第一種衛生管理者として厨房内の衛生管理を担当していた経験から、この資格の重要性と実務での役割を深く理解しています。衛生管理者の資格取得は、企業における健康で安全な職場環境の維持に寄与し、従業員の生産性向上や離職率の低下に繋がります。これにより、企業は優秀な人材を確保しやすくなり、長期的な競争力を維持できます。
さらに、衛生管理者の資格を取得した後も、産業カウンセラーや社会保険労務士、中小企業診断士といった相性の良い資格を目指すことで、あなたの専門性はさらに高まり、幅広いフィールドで活躍できる可能性が広がります。
資格取得は確かに挑戦ですが、努力と継続が成功への鍵です。あなたの未来のために、一歩一歩前進しましょう。目標を持ち、モチベーションを維持しながら、確実に合格を勝ち取りましょう。そして、その資格を活かして、より充実したキャリアを築いてください。
あなたの強みの1つに必ずなる!
公式リンク
試験を管理している安全衛生技術試験協会のホームページは以下です。
おすすめの テキストブック
おすすめのテキストブックをご紹介します。
『衛生管理者試験 第1種・第2種 テキスト&問題集』
- 概要: 衛生管理者試験の全範囲を網羅したテキストと問題集です。基礎から応用まで、試験に必要な知識を効率よく学べます。
- 特徴: 図解や表が多く使われており、視覚的に理解しやすい構成になっています。過去問も多数収録されており、実践的な学習が可能です。
『わかりやすい衛生管理者試験合格テキスト』
- 概要: 初学者でも理解しやすいように解説が充実しているテキストです。試験の頻出ポイントを絞り込んで学習できます。
- 特徴: 試験に出やすいポイントを丁寧に解説しており、試験対策に特化した内容となっています。
2. おすすめ問題集
『衛生管理者 過去問題集 第1種・第2種』
- 概要: 過去に出題された問題を多数収録しており、実際の試験形式に慣れることができます。
- 特徴: 解答解説が詳しく記載されており、間違えた問題の復習に役立ちます。試験の傾向を把握するのに最適です。
3. おすすめオンライン教材
資格の学校TAC 衛生管理者講座
確実に合格を目指したい人におすすめの教材です。