突然ですが...
現在、中小企業診断士試験の受験生の皆さん
「LTVって、そもそも、どうやって実務に活かすの?」
「CRMやSNSとの関係って?」
そんな声が、支援現場でも聞こえてきます。
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回の解説は、そんなお悩みについて、実際の経営支援現場に20年以上携わり、年間100件以上の事業者支援を実施している私の経験を基に、わかりやすく解説します。
この解説を学べば、LTVを「マーケティング視点」だけでなく「戦略視点」で捉えられること間違いなし!
理解度チェック5問
問題1|LTVの基本定義とは?
A. 顧客が離脱するまでに生み出す総利益
B. 1回あたりの売上額
C. 顧客数 × 利益率
D. 顧客満足度の合計
→正解:A
→解説:LTV(Life Time Value)は、顧客が取引を継続する期間に生み出す利益の合計を指します。
問題2|LTV向上において、顧客との関係性を長期化する最も有効な施策はどれか?
A. SNSやメールを通じた定期的な接点の構築
B. 初回購入時の大幅な割引
C. 高額商品への誘導
D. 営業電話の頻度を増やす
→正解:A
→解説:LTVを高めるには、「継続的な接点」を持ち続けることが鍵です。SNSやメール配信を通じたコミュニケーションにより、顧客との関係を長期化させ、購買頻度や継続年数の向上につながります。
問題3|CRMとの関係において、LTVが果たす主な役割は?
A. 顧客への値引き幅の設定
B. 顧客価値を数値化し、重点顧客の選定を支援する
C. 在庫回転率の向上
D. 競合企業の動向を把握する
→正解:B
→解説:CRMで収集した顧客データをLTV分析に活用することで、企業は価値の高い顧客を識別し、最適な資源配分を行うことができます。
問題4|以下のうち、LTVの代表的な計算式として最も適切なのはどれか?
A. 購入金額 × 粗利率 × 経費率
B. 総売上高 ÷ 顧客数
C. 平均購買単価 × 購入頻度 × 継続年数
D. 客数 × 売上単価
→正解:C
→解説:LTVの基本式は「平均購買単価 × 購入頻度 × 継続年数」です。これにより、1人の顧客が企業にもたらす総利益を推定できます。
問題5|実務的な視点で、LTVを活用して最も期待できる成果はどれか?
A. 商品点数の削減
B. 顧客満足度の低下
C. 顧客獲得コストの増加
D. 優良顧客への集中投資による収益性の向上
→正解:D
→解説:LTVを活用すれば、利益をもたらす顧客に注力する経営判断が可能になり、効率的なマーケティング投資やサービス改善が進みます。
試験で問われるポイント
LTVは「覚える」だけでなく「活かす」視点が問われます。
- LTVは「顧客価値最大化」の指標
- フレームワークとの連動(RFM分析・CRM戦略・4Pなど)
- 数式だけでなく「戦略としての使い方」が問われる
近年はCRMやSNS活用との関連で問われるケースも多く、継続的な関係性を築く力が問われます。
特にCRMとの連動が重要!
LTV(ライフタイムバリュー)とは何か?
LTVとは、「顧客一人が生涯を通じて企業にもたらす価値」を金額で示したものです。
単なる売上ではなく、利益ベースで捉えるのがポイントです。
代表的な算出式
LTV = 平均購買単価 × 購入頻度 × 継続年数
CRMや定期購買サービス、アフターサービス戦略などの設計において、LTVは経営判断の“ものさし”となります。
LTVは、単なる理論ではなく、「顧客関係構築の深度」を考えるための武器です。
満足度4以上の人を大切に!
事例
ここでは、事例でLTVを巧みに活用する中小企業をご紹介します。
きのとや(北海道)
北海道を代表する洋菓子ブランドで、定番商品の「札幌農学校」などは観光客・地元双方に人気。

ギフト需要とSNS活用により、リピート顧客を多数獲得。EC連携も進めており、LTVが高いモデルを実現しています。
霧島酒造(鹿児島県)
焼酎「黒霧島」で全国展開。商品ごとのブランド設計に加え、CM・PR・試飲イベントを通じた長期的関係性づくりが特長。

販売チャネルを多層化し、地域から全国へ広がるLTV最大化戦略を展開中。
紀文食品(東京都)
はんぺん・おでん・ちくわなどを中心に扱う老舗食品メーカー。近年は季節限定商品や健康志向商品に加え、LINEやInstagramを活用したレシピ提案やファンマーケティングに注力。

繰り返し購入される商品設計と情報発信の組み合わせで、LTVの向上に成功しています。
どの企業も、「LTV」を商品戦略・販路戦略・関係構築戦略に組み込んでいます。
実務事例|株式会社Sの場合
ここでは私が実際に支援した事業者の事例をご紹介します。
支援の背景
熊本県に拠点を置く株式会社Sは、事務機器・文房具販売を軸にしながらも、多角的なサービスを展開する企業。旧来のFAX・電話中心の業務スタイルから、業務効率化と営業力の強化を図るため、DXに着手しました。
支援内容の活用
- CRM(Salesforce)導入を通じ、顧客データを一元管理
- 提案履歴・購買履歴の可視化によって、LTVの高い顧客を抽出
- SNS運用と連携し、新規顧客との継続的な接点を確保

実行した支援内容
- 基幹システム「P-comⅣ」との連携により業務効率化
- OCR/音声認識によるアナログ受注のデジタル化
- 顧客ごとの「LTV分析」に基づいた優先対応リストの作成
今後の展望
- 提案件数:2倍目標
- 新規売上:1.5倍目標
- 業務時間:30%削減目標
- 属人性の解消と提案力の向上
実務&養成課程実習でも使えるワンポイント
CRMにLTV分析を掛け合わせることで、「誰に、どんな施策を優先すべきか」が見えてきます。
この“優先順位の明確化”が、支援の質を変える鍵です。
API連携で業務効率化!
まとめ
LTVは、数式で語るだけでは不十分です。顧客との関係性をいかに長く・深く・価値あるものにできるかが、経営の質を左右します。
- LTVは、顧客との関係性の「深さと広がり」を測る指標
- CRMやSNS、業務効率化といったDXツールと連動して、LTVは実務でも極めて重要
- 株式会社Sのような地域密着型企業でも、LTVを意識した経営が可能
LTVという視点を持つだけで、顧客戦略も、支援施策も、打ち手が変わってきます。ぜひ、明日からの実務に活かしてみてください。
もし、私と同様に、知識だけでなく現場で経験を積みたい方は、商工会への転職も考えてみてください。一緒に、仲間として働きませんか?
参考書
【実践で使うおすすめの本】

