突然ですが──
「従業員の採用がうまくいかない」
「現場の残業が減らない」
「生産性を上げたいけれど、人手が足りない」
そんなお悩み、抱えていませんか?
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回の解説では、そんなお悩みにズバリ効く『中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)』について、わかりやすく解説します。
この補助金を知れば、現場の生産性を上げながら、将来の賃上げまで視野に入れることが可能です。
1|この補助金、何がすごい?~制度の特徴~
本制度は、IoTやロボット等の省力化機器を導入する際の経費を国が補助してくれるもの。特に人手不足に悩む企業にとって、即効性の高い設備投資を後押しする仕組みです。

特徴を一言で言えば、「選ぶだけで導入できる補助金」です。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| カタログ注文型 | 登録済み製品(清掃ロボット、券売機、建設用ロボット等)から選択するだけ。 |
| 共同申請制 | 中小企業と販売事業者(+リース会社)の連名申請。 |
| 随時受付 | 2024年6月25日~令和8年9月末頃まで。申請後1~2ヶ月で交付決定。 |
| 補助予算 | なんと3,000億円規模! |
カタログ内容大幅増加!
2|対象になるのはどんな企業?
法人登記や個人開業済みの日本国内で事業を営む中小企業・個人事業主が対象です。以下のような方も申請OK
- 従業員ゼロの一人社長や一人親方(※ただし賃上げによる補助上限アップは対象外)
- 組合、NPO法人、社会福祉法人も要件を満たせば対象

ただし、以下のようなケースは注意
- 大企業が過半数出資している(みなし大企業)
- グループ会社とまとめて申請している(みなし同一法人)
- 他補助金と経費が重複している(例:ものづくり補助金等)
- 過去に補助金取り消し歴がある
3|どんな事業が対象になる?
補助対象のポイントは3つです。
- 労働生産性の向上目標がある
- 年平均3.0%以上の生産性向上(2回目以降は4.0%)
- 「営業利益+人件費+減価償却費÷従業員数」で算定
- 人手不足を明確に証明できる
- 月30時間以上の残業
- 離職・退職者による人員5%以上減少
- 採用しても人材確保できない
- その他合理的な理由あり
- 賃上げ目標(上限額UP希望時)
- 最低賃金+45円以上、給与総額+6%以上を実現予定
4|補助対象となる費用と条件
省力化製品の導入にかかる「本体価格」と「導入費用」が対象になります。ただし、対象となるには一定の条件があり、中古品や交付決定前の着手などは補助対象外です。
| 補助対象経費 | 内容 |
| 製品本体価格 | 単価50万円以上。対象は専用ソフト・工具含む。 |
| 導入費用 | 本体価格の2割まで。運搬・設置・設定費など。 |
補助対象外の例
- 中古品
- 消費税や金利、保険料
- 補助事業外での取引を装った不正
- 事前に購入した製品(交付決定前の着手)
補助対象外は要注意!
5|申請から補助金受け取りまでの流れ
申請から補助金の受け取りまでは、おおむね1〜2ヶ月の流れで進みます。事前準備とスムーズな連携が鍵となります。
- GビズIDの取得(必須)
- カタログから製品選定&販売事業者と相談
- 事業計画書を共同で作成
- 申請マイページから交付申請
- 採択・交付決定(目安:申請から1~2ヶ月)
- 製品購入・導入・支払い(12ヶ月以内)
- 実績報告(導入効果、支払証明など)
- 補助金の確定・支払い
- 3年間の効果報告義務あり(生産性・賃上げ報告)
まずは①だ!
6|提出書類の例(抜粋)
申請には、企業の基本情報や事業の実態、労働環境などを証明する各種書類が必要です。事前に揃えておくことで、スムーズな申請が可能になります。
| 事業者区分 | 提出書類の例 |
| 全体共通 | 従業員名簿、財務諸表、事業計画書 |
| 法人 | 履歴事項証明書、納税証明書、役員・株主名簿 |
| 個人事業主 | 確定申告書控え、納税証明書 |
| その他 | 人手不足を示す証憑、賃金台帳、リース契約書など |
7|申請を成功させるコツ
採択率を高めるには、事業計画の完成度や申請タイミング、加点対策などが重要です。しっかりとした準備が、成功への近道となります。
- 質の高い事業計画
┗ 効果が定量的・論理的に示されているか? - 賃上げ加点を活用
┗ 大幅な賃上げを掲げると上限アップ+加点にも - 加点要素の取得
┗ 成長加速マッチングサービスへの登録も評価対象 - 申請は早めに
┗ 過去実績では、締切4日前までの申請が採択率高 - 専門家の活用
┗ 中小企業診断士やコンサルタントの支援で採択率アップ(商工会、商工会議所活用で無料で専門家の支援が受けられます)
DESC法で社内合意形成を図る
中小企業診断士の観点から下記の切り口を紹介します。
- Describe:現場の残業時間が多く、社員が疲弊している
- Express:このままでは離職につながりかねないと感じている
- Specify:清掃ロボット導入で月30時間の削減が見込める
- Consequence:社員満足度が向上し、定着率アップが期待できる → 補助金導入は現場にも経営層にもプラスの提案になります

まとめ|
“自社に合った”省力化で、未来の一手を省力化=人員削減ではありません。
この補助金が後押しするのは、「人にしかできない仕事」に集中できる環境づくりです。
「うちも対象になるのかな…?」
そう思われた方は、まずはカタログを眺めてみてください。きっと、ピンとくる1台が見つかるはず。
導入支援や申請アドバイスが必要な方は、中小企業診断士など専門家に相談するのもおすすめです。
▼関連リンク
【中小企業省力化投資補助事業(カタログ型)公式ページ】
参考書
【実践で使うおすすめの本】

