【HARMの法則】中小企業診断士養成課程で学ぶべきマーケティングフレームワーク活用術
突然ですが…
「クライアントの心に響くマーケティング提案ができない」
「顧客のニーズを掴みきれずに的外れな戦略を立ててしまう」
「情報発信しても反応が薄い」
という悩みを抱えていませんか?
中小企業診断士養成課程に通っている生徒の多くが、理論は学んでも実際のクライアント支援で顧客の本質的な悩みを見抜けずに苦労しています。
こんにちわ。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回の解説は、そんなお悩みについて、実際に中小企業診断士養成課程で本気で取り組んだ内容を、わかりやすく解説します。
この解説を学べば、顧客の心理を的確に捉え、効果的なマーケティング戦略を構築することができること間違いなしです。
HARMの法則とは?
コンテンツビジネスやマーケティングにおいて、顧客の心に響く情報発信は成功の鍵を握ります。
そのためには、ターゲットとなる人々の「悩み」を深く理解することが不可欠です。そこで役立つのが、人間の根本的な悩みを4種類に分類する強力なフレームワーク「HARMの法則」です。
HARMの法則の概要:人間の4つの根本的な悩み
HARMの法則は、メンタリストDaiGo氏が著書『人を操る禁断の文章術』で提唱したもので、人の悩みの約9割が以下の4つのカテゴリに分類されると言われています。
HARMとは、それぞれの頭文字を取ったものです。
| 項目 | 英語表記 | 日本語表記 | 具体的内容 |
|---|---|---|---|
| H | Health | 健康・美容・容姿 | 身体的・精神的健康、外見に関する悩み |
| A | Ambition | キャリア・夢・将来 | 仕事、目標達成、将来設計に関する悩み |
| R | Relation | 人間関係・恋愛・結婚 | 対人関係全般に関する悩み |
| M | Money | お金・投資・金融 | 経済的な問題、資産形成に関する悩み |
この法則を理解し活用することで、人を動かす文章を書いたり、商品やサービスへの申し込みを促したりすることが可能になります。
中小企業診断士として、このフレームワークを使えば、クライアント企業の真の課題を発見し、効果的な解決策を提案できるようになります。
各カテゴリの詳細分析と具体的な悩み
HARMの各要素は、私たちの日常生活に深く根差した多様な悩みを包含しています。
中小企業診断士として支援する際は、クライアントのターゲット顧客がどのカテゴリの悩みを抱えているかを正確に把握することが重要です。
1. Health(健康・美容・メンタルヘルス)
Healthは、健康や美容、メンタルヘルスに関する悩みを指します。「いつまでも健康で長生きしたい」「ずっと美しく・かっこ良くいたい」「ストレスなく毎日を過ごしたい」といった欲望や不安に関連しています。
具体的な例
- 医療分野: 薬、病気の予防・治療法、生活習慣病、妊娠・出産
- 美容分野: 筋トレ、ダイエット、シミ・しわ・白髪、AGA、ヨガ・フィットネス、健康食品・サプリ、脱毛・エステ、美容室
- メンタルヘルス分野: ストレス、ウェルビーイング、精神疾患、睡眠
自分の体や見た目に関する悩みはコンプレックスになりやすく、短期間で解決しづらい傾向があります。このため、継続的なサービス提供が可能で、顧客のLTV(生涯顧客価値)を高めやすい分野でもあります。

2. Ambition(キャリア・夢・将来)
Ambitionは、キャリアや夢、将来についての悩みを表します。「将来は家族仲良くマイホームで暮らしたい」「毎年旅行に行けるような安定した暮らしがしたい」「キャリアアップして将来は経営者になりたい」といった目標や憧れに関連しています。
具体例
- 就職・転職・退職
- キャリアアップ・リスキリング
- 起業・会社経営
- ワークライフバランス・働き方
- 旅行
- 将来の夢・目標・ビジョン
- 生涯学習
人は希望があることで前向きに生きられ、キャリアは人生を豊かに生きる上で重要な悩みとなります。未来という不確かなものに関する悩みは、つかみどころがなく、多くの人が抱えやすいテーマです。

3. Relation(人間関係)
Relationは、人間関係の悩みに焦点を当てます。「同級生と話が合わない」「義理の両親と仲が悪い」「他人と話すのが苦手」といった悩みがこれに該当します。心理学者のアドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と述べており、多くの人が悩みやすい普遍的なテーマです。
具体的な悩み
- 友人関係
- 家族関係
- 職場の上下関係
- ハラスメント
- 恋愛・夫婦
- 婚活・マッチングアプリ
- コミュニケーション

人は社会生活を営む上で他人と共に暮らしていく必要があり、自分の思い通りに動かない他人との間には摩擦が生じるのが当然です。パンデミックの影響で人間関係が疎遠になり、孤独を感じる人も増えています。
4. Money(お金)
Moneyは、お金に関する悩みです。充実した生活を送るためにはお金が必要不可欠であり、「手取りが少ない」「貯金が増えない」「投資で失敗したくない」といった悩みがMoneyに分類されます。
具体例
- 節約
- 給料・副収入
- クレジットカード
- ローン
- 投資・金融・資産運用
- 不動産
- 保険
- 仮想通貨

お金の悩みは緊急性が高く、常に需要があるトピックです。お金は多ければ多いほど良いと考える人が多いため、常に悩みの種となります。Moneyに関する悩みは数値化できるものが多く、早急な解決が求められることが多い特徴があります。
年代別HARMの法則分析表
HARMの法則で分類される悩みは、年代によってその内容が大きく異なります。
これは、ライフスタイルや関心事が変化するためです。中小企業診断士として、クライアントのターゲット層の年代を把握し、適切な戦略を立てることが重要です。
| 年代 | Health | Ambition | Relation | Money |
|---|---|---|---|---|
| 10代 | ダイエット、ニキビ、メイク | 受験、進路、アルバイト | 思春期、友人関係、学校生活 | アルバイト、お小遣い、仕送り |
| 20代 | 仕事のストレス、肌質の変化 | 就職、転職、ワーキングホリデー | 会社の人間関係、恋人 | 給料、仕送り、お金の使い方 |
| 30代 | 妊活、出産、体型維持 | キャリアアップ、結婚、転職 | 結婚生活、義両親との関係、子育て | 自己投資、結婚資金、出産費用、副業 |
| 40代 | 身体の衰え、体力維持、しわ・シミ | 出世、マイホーム、副業 | 部下や取引先との関係、家庭 | 住宅ローン、養育費 |
| 50代 | 更年期障害、AGA、生活習慣病 | 管理職、部下育成、新しい知識への学び | 夫婦関係、部下や取引先との関係 | 介護費用、老後の貯蓄、投資 |
| 60代 | 介護、老眼、運動不足 | 定年退職、再雇用 | 熟年離婚、定年後の生活、近所づきあい | 資産運用、相続 |
この表からわかるように、年齢が上がるにつれて健康に関する悩みが増え、将来のための貯蓄や資産運用を考えるようになります。人間関係の悩みは常に変化し続け、どの年代でも重要な要素となっています。
情報発信でHARMの法則を活用する3ステップ戦略
HARMの法則を情報発信に活用することで、ターゲットの心に響くコンテンツを作成し、顧客の行動を促すことができます。中小企業診断士として、クライアント企業のマーケティング戦略立案に活用してください。
ステップ1:ペルソナを具体的に設定する
情報を提供したい相手がどんな悩みを持っているかを明確にすることが重要です。HARMの4種類の悩みも年代や性別によって内容が異なるため、自社の商品・サービスを購入する典型的な顧客像である「ペルソナ」を具体的に設定します。
ペルソナ設定の要素:
- デモグラフィック: 氏名、性別、年齢、居住地、職業、年収
- パーソナリティ: 性格、価値観、悩み、興味関心
- ライフスタイル: 趣味、情報収集方法、休日の過ごし方、よく見ているメディア
- 人間関係: 家族構成、仲の良い友人の数、所属しているコミュニティ、使っているSNS
ペルソナ像が具体的であればあるほど、その人物が抱える悩みを想像しやすくなります。これは、MBA的なマーケティング戦略の基本でもあり、確実に実行すべきステップです。
ステップ2:HARMの法則に合わせた発信テーマを決める
設定したペルソナの関心事や悩みをHARMの法則に当てはめ、軸となる発信テーマを決めます。HARMの法則のどれかに当てはまるテーマであれば、ユーザーの興味を引きやすくなります。
HARMの法則に挙げられる悩みは、長年抱え続けるものが多いため、長期的に情報を見てもらえる可能性が高いというメリットもあります。発信テーマからぶれないように注意しましょう。
ステップ3:悩みを解決する情報を発信する
情報発信する際は、ペルソナがよく見ているメディアや媒体を選びます。そして、設定した発信テーマに沿った情報提供を継続することで、人々の関心を集め、注目されやすくなります。
HARMの法則に挙げられる悩みは、簡単に相談しづらい深い悩みが多いため、お金を払ってでも解決したいと考える人が多くいます。HARMの法則に沿った情報発信を続けることで、発信者はそのテーマの専門家と認識され、商品購入に繋がりやすくなります。
また、人は感情が動いた時に行動に移るため、HARMの法則から導いた悩みを解決へと導く文章は、人を動かす力があります。特に人は「お金を失って貧乏になりたくない」や「病気で死にたくない」といった「避けたい欲」(マイナスの感情)に敏感に反応する傾向があります。
HARMの法則に基づくビジネス事例分析
HARMの法則は、さまざまなビジネスの企画や訴求に活用されています。中小企業診断士として、これらの成功事例を理解し、クライアント企業への提案に活かしてください。
1. Health分野のビジネス事例
日本は少子高齢化が進んでいるため、今後Healthに関する悩みは増加すると考えられます。
ライザップの成功要因分析: 「結果にコミットする」というフレーズとビフォーアフターを見せる宣伝で有名になったパーソナルトレーニングジムです。結果が出るフィットネスというブランディングにより、「健康的に痩せたい」「何をやっても痩せられない」という人々の悩みを解決できるとアピールしています。
ヘルスツーリズムの市場機会: 旅と健康を組み合わせたヘルスケアサービスです。自然の中でのリフレッシュや運動療法を取り入れたウォーキングプログラムなどが提供され、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防などが期待されます。
2. Ambition分野のビジネス事例
政府のリスキリングや副業推進により、Ambitionに関するビジネスは活発化しています。
リクナビの戦略分析: リクルートグループが運営する日本最大級の就職・転職ポータルサイトです。新卒、転職者、派遣労働者、薬剤師の転職など、対象者を分けてサービスを提供することで、あらゆる属性の就職・転職に関する悩みを解決しやすい構造になっています。
Udemyのビジネスモデル: 世界中で使われているオンライン学習プラットフォームです。買い切り型の動画コンテンツで、プログラミングや語学、ビジネススキルなどを働きながら自分のペースで学べ、キャリアアップやリスキリングを安価に実現したいというニーズに応えています。
3. Relation分野のビジネス事例
人間関係の悩みは常に職場での悩みのトップに位置し、退職や離婚の原因にもなり得るほど、人の行動に大きな影響を与えます。
ゼクシィのライフステージ戦略: リクルートが運営する日本最大級のブライダル情報ポータルサイトです。結婚式場の紹介や結婚に必要な情報が網羅されているだけでなく、「ゼクシィ縁結び」や「ゼクシィBaby」など、婚活から妊娠・育児までカップルのライフステージを幅広くサポートするサービスを提供しています。
Chatworkの課題解決アプローチ: 中小企業向けのオンラインコミュニケーションツールです。チャットで簡単に連絡し合えるため、職場でのコミュニケーションによるストレスを軽減できます。絵文字でのリアクション機能などもあり、簡潔なやり取りで人間関係の摩擦を減らす工夫がされています。
4. Money分野のビジネス事例
クレジットカードや保険など、Moneyに関するビジネスは多岐にわたり、近年では新NISAなどの投資も注目されています。
Paidyの金融イノベーション: スマートフォンで使える後払いサービスです。クレジットカードのような手数料なしで12回払いまで可能なため、高額商品を購入しても計画的に支払い、余計な出費を抑えたいという悩みに応えます。
freeeのDX支援戦略: クラウド型会計ソフトで、中小企業や個人事業主のビジネスをサポートします。レシートや領収書の読み取り機能、自動仕訳機能により経理業務が簡略化され、日々のお金の動きを可視化し、収益や資金繰りの悩みを解決します。
中小企業診断士としてのHARMの法則活用ポイント
中小企業診断士として、HARMの法則を効果的に活用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
1. クライアント企業の顧客分析への適用 クライアント企業のターゲット顧客がどのHARMカテゴリの悩みを抱えているかを分析し、それに基づいたマーケティング戦略を提案します。
2. 商品・サービスの価値提案の明確化 HARMの法則を使って、クライアント企業の商品・サービスがどの悩みを解決するのかを明確にし、顧客にとっての価値を分かりやすく伝える方法を提案します。
3. コミュニケーション戦略の最適化 HARMの各カテゴリに応じた効果的なメッセージングやコンテンツ戦略を立案し、顧客の心に響く情報発信方法を指導します。
まとめ
HARMの法則は、人の根本的な悩みや欲を分類し、理解するための強力なツールです。中小企業診断士として、このフレームワークを活用することで、クライアント企業のビジネスがHARMのどのカテゴリに当てはまるのかを深く考え、顧客の悩みや欲を的確に指摘し、解決策を伝えることができます。これにより、情報発信やセールスライティングの効果を飛躍的に高めることが可能になります。
年代別の悩みの変化や、各カテゴリの特徴を理解し、3ステップの戦略的アプローチを実践することで、より効果的なマーケティング戦略を構築できるでしょう。成功事例を参考にしながら、クライアント企業の業界特性や顧客属性に合わせてHARMの法則を応用し、実践的な支援を提供してください。
最後に、パナソニック創業者である松下幸之助氏の言葉をお送りします。「商売は世のため、人のため。世のため人のためにやることは、結果として自分のためになる」。HARMの法則を通じて顧客の真の悩みを理解し、それを解決することで、持続可能なビジネス成長を実現できるのです。
HARMの法則を活用し、ターゲットの心に深く響く情報発信をクライアント企業のビジネスに取り入れて、より効果的なマーケティング戦略を構築していきましょう。
参考書
【実践で使うおすすめの本】
