突然ですが・・・
「班員が指示待ちで、まったく動いてくれないんです…」
「意見を求めても沈黙…、かといって自分からは動かない…」
──そんな悩みを抱えていませんか?
こんにちわ。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回のテーマは、「班員のやる気を引き出す技術」。
これは、単なる“声かけテクニック”ではなく、チームで課題に挑む現場で必須となる「行動科学+フレームワーク」の融合です。
この解説を学べば、あなたの中小企業診断士養成課程の班活動で、班員が“自ら動く仲間”に変わること間違いなし。
自己決定感という“見えない力”
やる気を引き出すうえで、絶対に欠かせないのが「自己決定感」。
これは、「自分で決めた」感覚のこと。
エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した自己決定理論では、以下のように整理されます。
| 観点 | 意味 | 養成課程における応用例 |
|---|---|---|
| 自律性 | 自分の意志で選択できる感覚 | 課題設定や役割分担を本人に決めさせる |
| 有能感 | 自分でやり遂げられる感覚 | 得意分野の発表・作業などで小さな成功体験を積ませる |
| 関係性 | 仲間に受け入れられている感覚 | 定期的な対話や雑談を通じて安心感と信頼関係を築く |
この「自己決定感」があると、人はやる気を自家発電のように生み出すのです。

外からモチベーションを“与える”のではなく、内から湧き出る状態をつくる。ここがチームビルディングの真髄です。
「GROWモデル」を活用する
班員との対話で、「どう意見を引き出す?」「どこまで任せていい?」と迷うことはありませんか?
そんなとき、役に立つのがコーチングフレームワークである【GROWモデル】です。
| 項目 | 内容 | 実際の質問例 |
| G:Goal(目標設定) | 今回の目的は何? | 「今回、何について意見出ししたい?」 |
| R:Reality(現状の把握) | 現在どうなってる? | 「今、どんな状況なの?」 |
| O:Options(選択肢提示) | 解決策は何がある? | 「他にできそうな方法はある?」 |
| W:Will(意思確認) | どれをやってみたい? | 「この中で、まずやってみたいのはどれ?」 |
この手順を通すだけで、相手は“自分の言葉”で思考を整理し、意思を表明していきます。
つまり、「自分で決めた」と思える流れが自然に組み込まれるのです。
部下の育成にも使えるぞ!
魔法のフレーズ3選|今日から使える実践ワード
実際の養成課程期間中を想定した実践Wordを紹介します。
①「何が解決できそう?」
GROWモデルの“R”=現状把握の場面で使える一言。
「アドバイス」したくなる気持ちをグッとこらえて、班員の“解決する力”を信じる問いかけです。
✨例:「資料作成が追いついてなくて…」
→「そっか…じゃあ、何が解決できそうかな?」
「できること」に目を向けさせることで、状況を前向きに捉える力が育ちます。
②「選択肢を出してみない?」
“指示”ではなく“選択”を促すワード。
「こうしてほしい」ではなく、「いくつか案を出してみよう」という問いで、自発的な行動を引き出す力があります。
✨例:「意見がまとまらないんです」
→「どんなやり方が良さそう?いくつか選択肢出してみない?」
仮に何も出てこなければ、自分が一案を提示して“きっかけ”を渡すのも効果的です。
③「じゃあ、どうしようか?」
GROWモデルの“W”=意思確認の決め台詞。
会話の最後にこの一言を添えるだけで、「納得して動く」状態をつくれます。
✨例:「3つ案が出たね」
→「じゃあ、どうしようか?」
班員が自分の言葉で「これをやってみます」と答えたとき、やる気はぐっと高まるのです。
考えを押し付けない!
養成課程の中でこそ使える、実践の場
このGROWモデルと魔法のフレーズは、実は中小企業診断士養成課程のような“実践教育の現場”だからこそ効果が高いと感じています。
例えば
- 班での事例研究:進捗が停滞しているときの建設的な問いかけに
- プレゼン準備:役割分担や改善点の洗い出しに
- リーダーシップ育成:メンバーの主体性を育てる機会として

“教える”のではなく、“気づかせる”関わり方。 これは、将来の実務支援にも直結する貴重な経験になるはずです。
まとめ|やる気は“内側からしか”出てこない
今回のブログで紹介したポイントを、改めて振り返ります。
- やる気を引き出す鍵は「自己決定感」
- 会話の流れはGROWモデルで整理
- フレーズは「何が解決できそう?」「選択肢を出してみない?」「じゃあどうしようか?」
これらは、すぐにでも班活動で試せる“再現性の高い技術”です。
単なるスキルではなく、人の力を信じ、引き出すマインドセットこそが、真の支援者の第一歩です。
「人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。強みに集中し、卓越した成果をあげよ。」
──ピーター・F・ドラッカー『マネジメント』より
次に班員と話すとき、ぜひ問いかけてみてください。
「じゃあ、どうしたい?」
あなたの問いが、仲間の成長を引き出す。
今すぐ、ひとつのフレーズから始めてみましょう。
参考書
【実践で使うおすすめの本】

