突然ですが…
「金利が上がってきたけど、どう対策すればいいのかわからない」
「人が足りず、賃上げも厳しい。なのに周囲からは『生産性を上げろ』と言われる」
「支援制度が多すぎて、どれがウチに合うのか分からない」
そんな悩みを抱えていませんか?
おはようございます!経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回は『2025年版 小規模企業白書』をもとに、
『今まさに事業環境が激変する中、何をどう変えていくべきか?』
この解説を学べば、「補助金を活かす道筋」「経営計画の意味」「地域で生き残る中小企業の戦略」が明確になり、自社で行動を起こせるようになります!
■ 小規模企業白書とは?
2025年版『小規模企業白書』は、2024年度の実態を踏まえ、2025年度の政策方針を示した国家の年次報告書です。3つのキーワードが柱です。
- 外部環境の激変への認識
- 金利・物価・人手不足など、経営環境の急激な変化に対応するために、中小企業が外部要因を正しく捉え直す必要性が強調されています。
- 経営戦略の抜本的転換
- これまでのコスト削減中心の防衛型経営から脱却し、投資・付加価値創出・価格転嫁を軸とした攻めの戦略へのシフトが求められています。
- 多様・複雑化する経営課題への支援強化
- 人材確保やデジタル化、価格交渉力の向上など、企業ごとに異なる課題に対応するため、支援策や専門家の活用がより重要になります。

■ 経営環境の変化と今求められる対応
近年、中小企業を取り巻く経営環境は急激に変化しています。
とくに金利・物価・人手といった基本的な経営資源のコスト上昇は、従来の経営手法では対応しきれない状況を招いています。ここでは、白書で示された重要課題とその影響について整理します。
課題 | 状況 | 中小企業への影響 |
---|---|---|
金利上昇 | 約30年ぶりの利上げ局面 | 借入依存の業種(宿泊・飲食等)で負担増加 |
円安・物価高 | 輸入コスト上昇・利益圧迫 | 原価転嫁が進まず、利益率低下 |
人手不足 | 構造的な人材難が継続 | 賃上げが業績を圧迫、格差拡大 |
コストカット限界 | インフレ+金利+人件費増 | “削る経営”の限界、攻めの経営へ転換必要 |
このように、小規模事業者は従来の守りの経営から脱却し、未来を見据えた戦略的な経営判断が求められています。
次章では、その具体的な戦略シフトの方向性を解説します。
攻めの戦略への転換が必要!
■ 新しい経営戦略にシフトせよ!
経営環境の変化に対応するには、企業自身が戦略を見直し、主体的に行動を起こすことが不可欠です。
ここでは、小規模事業者が実践すべき4つの戦略を紹介します。
付加価値・労働生産性向上
従来のコスト削減頼みの経営から脱却し、利益を生む力を高めるための取り組みです。
- DX・設備投資による攻めの経営が必須
- デジタル化で売上・採用・利益の3拍子を得る

価格転嫁力の強化
原価を適正に反映し、利益を確保するために必要な力です。
- 見積根拠や原価分析による適正価格の提示
- 転嫁率5割 → 上昇余地あり!

差別化と独自性の確立
競合と差をつけ、顧客に選ばれる理由を明確にする戦略です。
- 地域資源・文化・ストーリーを武器に
- 顧客数・売上が上がる傾向あり

経営計画の策定で自走力を高める
経営計画を持つことで、経営者自身が意思決定の軸を持ち、迷わず行動できるようになります。補助金活用や資金調達にもつながりやすく、企業の未来を主体的に描く第一歩です。
“自走力”がキーワード!
これら4つの取り組みはすべてつながっており、単体での実施よりも、複合的に取り組むことで相乗効果を生み出します。自社の状況に応じて、優先順位を明確にしながら戦略的に実行していくことが重要です。
■ 支援機関の力をもっと活用しよう!
経営者が一人で悩む時代はもう終わりです。実は多くの企業が、専門家や支援機関の力を借りて、課題解決や事業成長に成功しています。
観点 | 内容 |
---|---|
活用効果 | 利用者の7割が業績改善を実感 |
支援内容 | 資金繰り/販路開拓/人材確保など多岐にわたる |
支援課題 | 職員の人手不足/ノウハウ不足/認知不足 |
連携強化 | 商工会・よろず支援・金融機関の連携で効果倍増 |
“相談する場所がわからない”はもう終わりに!

支援機関をうまく活用できるかどうかが、これからの経営力を左右します。まずは一歩踏み出して、専門家の力を味方につけましょう。
中小企業診断士的ワンポイントアドバイス
ここでは、ビジネスフレームワークである「カスタマージャーニー」を活用します。
ビジネス現場では、マーケティング戦略やユーザー体験の最適化に使われますが、支援機関の活用にも応用できます。「いつ・どこで・誰に・何を相談すべきか」を流れとして整理することで、心理的なハードルが下がり、行動につながりやすくなります。
支援機関を活用するには、「どこに・何を・どう相談するか」が明確であるほど成果が出やすくなります。そこで活用したいのが 相談プロセスの見える化(簡易カスタマージャーニー) です。
【支援機関を活用するステップ例】
1.課題の整理
何に困っているのか?
(例:販路開拓、人材、資金繰りなど)
2.相談先の選定
- 町村単位→商工会
- 市町村単位→商工会議所
- その他→よろず支援機関など
3.どこの専門分野か?
中小企業診断士や各種専門家派遣制度の依頼
4.初回相談の予約
電話または窓口で面談日を設定
※基本的に気軽に立ち寄っても対応してくれますが、事前に予約をしておくことでスムーズに相談を受けることができます。
4.継続支援・専門家派遣の活用
初回相談後、必要に応じて継続フォローや補助金申請支援へ
このように、自社の課題を起点に「最初の一歩」を可視化することで、相談のハードルを下げることができます。

まずは“話すこと”から始めてみましょう。
※「カスタマージャーニー」とは、顧客(この場合は中小企業の経営者など)があるサービスや支援を利用するまでに辿る一連の思考・行動プロセスを可視化する手法です。
■ 令和7年度の主要支援策(戦略マップ)
2025年版白書では、成長支援と環境対応を両軸に据えた多彩な施策が打ち出されています。補助金・税制・人材支援など、企業の実情に合わせた選択が可能です。
カテゴリ | 支援施策 |
---|---|
生産性向上 | 成長加速化補助金/事業承継補助金 |
輸出促進 | 新規輸出1万者支援(越境ECなど) |
人手不足対策 | 省力化投資支援(カタログ+オーダーメイド) |
高成長企業支援 | 億企業ファンド(売上10億円超へ) |
税制優遇 | 経営強化税制(建物も対象へ拡充) |
人材戦略 | 地域の人事部+人材ガイドライン |
事業承継 | 税制見直し(就任・従事年数緩和) |
地域課題対応 | ソーシャルビジネス支援基盤づくり |
これらの施策は単なる資金支援にとどまらず、経営改革や持続的成長への足がかりとなる制度です。自社の経営課題と照らし合わせ、適切な制度を選び取ることが鍵となります。
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紹介:おしろタクシー(菊陽町)
※この事例は、2025年版中小企業白書(小規模企業白書)において、地方における新規収益モデル創出の好例としても紹介されています。
出典:中小企業庁「2025年版小規模企業白書」
支援の背景
コロナ禍に加えて燃料費の高騰など経営環境が悪化する中、既存のタクシー事業だけでは限界があると感じた経営者から「新規収益事業の立ち上げ」に関する相談が寄せられた。
支援内容の活用
タクシー車内にタブレット型のデジタルサイネージ広告を導入し、広告事業をスタートする構想に対し、PDCA型での事業立案と検証を支援。事業再構築補助金の申請サポートも実施。
実行した支援内容
- Plan(計画):広告事業モデルの設計と目標売上の設定
- Do(実行):タブレット設置と実証運用を開始
- Check(評価):運用後の収益状況、乗客の反応、表示内容の閲覧傾向を分析
- Action(改善):表示内容の最適化、地域広告主への営業強化

成果と今後の展望
初月から売上を安定的に記録し、今後も拡大路線を目指す。乗車体験向上にも寄与しており、新たな地域交通モデルとしての展開が期待されている。
取り組んだのは、入会して数年の優秀な経営指導員。稀に見る高スペック指導員で、私も非常に勉強になっています。
■ まとめ
2025年白書の核心は、
「守りのコストカット経営」から「稼ぐ力を育てる戦略経営」へ
というメッセージです。今の環境は、待っていても改善しません。
今こそ、自社の“未来をつくる”ための行動を起こすべき時です。
中小企業診断士や経営指導員の専門家派遣は、無料で活用可能です。
・「経営計画を作ってみたい」
・「価格交渉のやり方を知りたい」
・「補助金の対象になるか相談したい」
そんなときは、
お近くの商工会・商工会議所へ今すぐご相談ください!
お待ちしています!
参考書
【独学におすすめの教材】
【最後の一押しテクニック】
【2次試験対策】
【実践で使うおすすめの本】