突然ですが…
「ネット戦略についての実習で、“どの視点から支援すればよいか”が分からず手が止まった」
「SNS活用やWeb整備のアドバイスを求められたが、抽象的な表現しかできなかった」
「他社との差別化を“どのように伝えればよいか”具体策が思い浮かばなかった」
…そんな悩み、ありませんか?
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです!
今回は、そんなあなたに贈る、Googleが提唱する信頼設計指標「EEAT」を経営支援フレームワークへ落とし込んだ内容として解説します。
中小企業診断士養成課程で本気で取り組む価値のある内容です!
このブログを読めば、あなたはきっと、「信頼されるコンテンツや計画書の“構造”」が見えるようになるはずです。
EEATとは?
Googleだけじゃない、経営支援の本質だった!
EEAT(経験・専門性・権威性・信頼性)は、もともと検索品質の指標としてGoogleが提示した評価基準。
ですが、実はこれ、中小企業の“見えない強み”を整理し、顧客からの信頼を獲得するための経営資源フレームワークでもあるんです!
以下は、EEATと経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)との対応を整理した一覧です。
EEAT要素 | 意味 | 対応する経営資源 | 活用例 |
---|---|---|---|
Experience(経験) | 実体験に基づく内容か | ヒト・モノ | 接客ストーリー、技術動画、体験イベント |
Expertise(専門性) | 専門知識やスキルの証明 | ヒト・情報 | 資格取得、OJT設計、技術認証 |
Authoritativeness(権威性) | 他者から認められているか | 情報・ネットワーク | メディア掲載、認定制度、ISO取得 |
Trustworthiness(信頼性) | 正確さ・誠実さ・安全性 | カネ・情報 | プライバシー保護、会社情報の明示、SSL化 |
この一覧表は、診断士の支援現場において「ヒアリング時にどのような観点で質問すれば“信頼構築”につながるか」を明確にするためのものでもあります。

実際のヒアリング項目としてEEATの視点を意識することは、まだ多くの支援現場で意識されていません。だからこそ、あなたがこの視点を実習や現場に取り入れれば、他と差がつく“本質的な支援”につながるはずです。ぜひチャレンジしてみてください。
実践に取り入れるんだ!
SWOT分析×EEATで経営の武器を設計する
SWOT分析をした後、「強みが抽象的だな…」と感じた経験はありませんか?
そこで活躍するのが、この″EEATフレームワーク”です!
たとえばSWOT分析の「Strength(強み)」に「接客が丁寧」と書いた場合。
- 経験:クレーム対応の体験談、動画化
- 専門性:接遇マニュアル、社内研修制度
- 権威性:地域顧客満足度No.1の証明
- 信頼性:予約対応のスムーズさ、安心できる価格表の明示

…このように、“信頼される状態”にまで具体化できます。
支援ステップ【実務フロー】
経営支援の場では、以下のような段階でEEATを組み込むと効果が大きいです。
ステップ | 活用内容 |
---|---|
①ヒアリング | 経験・専門性・体験談・受賞歴・認定などの洗い出し |
②現状分析 | SWOTとEEATを組み合わせ、経営資源を可視化(真・SWOT分析) |
③課題抽出 | 信頼性の欠如・情報の不透明さ・差別化不足を特定 |
④改善提案 | EEAT強化施策の提案(例:技術動画・接客マニュアル・顧客の声の活用) |
⑤実装支援 | SNS活用、Web構築、補助金活用などによる支援 |
⑥評価・改善 | 来店率、問い合わせ件数、SEO評価、口コミ内容で定量評価 |
真SWOT分析と命名!
中小企業診断士的ワンポイントアドバイス
以下は、実際に経営者へのヒアリング時に活用できるチェックリストの例です。
EEATの視点から強みを深掘りし、SWOT分析との連動を図るための実務的な質問項目です。
- お客様とのやり取りの中で、印象に残っているエピソードはありますか?(Experience)
- 社内で独自に工夫している技術やノウハウはありますか?(Expertise)
- 業界団体や自治体などから表彰や認定を受けた実績はありますか?(Authoritativeness)
- 取引先・顧客から「信頼できる」と言われたことのあるポイントは何ですか?(Trustworthiness)
- ホームページやパンフレットなどで、会社のこだわりや取り組みをどのように伝えていますか?
- 代表者の想いや創業ストーリーなどを、お客様に直接伝える機会はありますか?
- 商品やサービスに対して寄せられた声(レビュー、クレーム対応含む)はどのように活用していますか?
事業者訪問の前に作成しよう!
経営支援に役立てるための具体的なポイント
EATは、以下の4つの観点から構成され、それぞれ経営資源や価値発信力と結びついています。

信頼性(Trustworthiness)が中心にあり、それを専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、経験(Experience)が囲む構造として最も重要視されています。
Experience(経験)
コンテンツの作成者がそのテーマに関して実際に経験しているか、体験に基づいているかを示す度合いです。経営資源との対応は、ヒト(人材)やモノ(商品体験)に対応します。
活用の視点・支援提案例
- 現場での体験知や技能の継承・マニュアル化。
- 顧客との接点(体験価値)の可視化。
- ベテラン従業員の暗黙知の棚卸し。
- 試供品や体験イベントの企画支援。
- 導入事例や顧客の声を掲載し、写真付きブログやSNS投稿でスタッフの想いをストーリー化する。
- 熟練工の技術動画化、見学会、体験イベント(製造業・建設業)。
- 接客ストーリーの共有、クレーム対応ノウハウ化(サービス業・観光業)。

SEO(LLMO)における強化方法
- 経営者自身がテーマを実際に体験する(例:新作ファンデーションのレビューを実際に使用して書く)。
- 経験者にヒアリングし、ユーザーが知りたいであろうポイントをコンテンツに盛り込む。
- SNSの投稿やフォーラムでのディスカッションなど、人々が経験を共有している場を活用する。
- 独自のアンケート調査データをコンテンツに盛り込む。
君は提案できているかな?
Expertise(専門性)
コンテンツの作成者がそのテーマに関する十分な知識やスキル、ノウハウを持っているかを示す度合いです。経営資源との対応は、 ヒト(スキル)やジョウホウ(技術・ノウハウ)に対応します。
活用の視点・支援提案例
- 保有資格・技術力・実績の棚卸しと体系化。
- 社内研修の仕組み化、OJT設計。
- DX/専門機器などの技術資産の整理。
- 事業承継に向けた技術・知識の見える化。
- 専門知識に基づく情報発信支援。
- 講演・研修履歴の活用提案。
- 製品開発履歴、CAD設計図、技術認証などの整理(製造業・建設業)。
- 接客研修・接遇マニュアル、現場の気づき整理(サービス業・観光業)。

SEO(LLMO)における強化方法
- 自社の専門性を活かせるテーマを選定し、サイト全体で一貫したテーマでコンテンツを作成する。
- 専門家や体験者からの一次情報(例:トレーナーや管理栄養士の知見、ダイエット成功者の体験談)を発信する。これはオリジナリティにもつながります。
- 専門家に記事の監修を依頼し、正しい情報を提供していることを保証する。社内の資格保有者でも有効です。
一次情報が超重要!
Authoritativeness(権威性)
コンテンツの作成者やサイトが、その分野において公的に認められ、信頼されている存在であるかを示す度合いです。第三者からの評価が鍵となります。経営資源との対応は、 ジョウホウ(外部評価)やヒト(ネットワーク)に対応します。
活用の視点・支援提案例
- 業界団体/国の認定制度などの活用。
- PR・メディア掲載による信用獲得。
- 新聞などからの推薦・掲載支援。
- 信頼されるパートナー連携構築。
- ポータルサイト掲載の推進。
- ISO/グリーン調達/表彰履歴の棚卸し(製造業・建設業)。
- 顧客満足度調査、リピート率の可視化(サービス業・観光業)。

SEO(LLMO)における強化方法
- 記事の著者や運営者を明確に記載し、プロフィールページなどで「何者か」を明らかにする。
- 大手メディアや公共機関のサイトに掲載されること。
- 大手メディアや公共機関のサイトから被リンクを獲得すること。これは難易度が高いですが、効果的です。
- 日頃からEEATを満たすコンテンツを積極的に発信し、SNSでシェアしてフォロワーを増やすなど、地道な取り組みを継続する。
- 自社でオリジナル調査データを発表し、メディアに引用してもらう。
💡中小企業診断士的ワンポイントアドバイス
この権威性については、一度獲得すると効果絶大!とはいえ、中小企業・小規模事業者がいきなりメディアで紹介されることは難しいですよね。
まずは、下記の例のような“国のお墨付”きを得ることが信頼の証になりますので、支援側はぜひすすめてくださいね。
1. 子育て支援企業制度(くるみん・プラチナくるみん)
- 担当省庁:厚生労働省
- 対象:従業員の子育て支援に積極的な企業(全業種)
- メリット:広報・採用に活用可、助成金の申請枠が利用可能 gltd.jp
2. 女性活躍推進企業(えるぼし・プラチナえるぼし)
- 厚生労働省
- 対象:女性活躍推進法に基づく取り組みを実施する企業(全業種) infolounge.smbcc-businessclub.jp+1shem.or.jp+1
- 特典:広報ロゴ使用、公共調達での加点評価 gltd.jp+1jsite.mhlw.go.jp+1
3. 若者雇用優良企業(ユースエール認定)
- 厚生労働省
- 対象:若者の採用・育成に優れた中小企業 kyoujinka.jp+8gltd.jp+8jsite.mhlw.go.jp+8
- メリット:公共調達加点、融資優遇、若年層向けPR gltd.jp+1jsite.mhlw.go.jp+1
4. 安全衛生優良企業認定
- 厚生労働省
- 対象:従業員の安全・健康対策に優れた企業
- メリット:安心感のPR、厚労省ホームページ掲載
5. 障害者雇用優良企業(もにす認定)
- 厚生労働省
- 対象:障害者雇用に積極的な中小企業
- メリット:ロゴ活用、低利融資枠利用 gltd.jp+1jsite.mhlw.go.jp+1
6. 健康経営優良法人(中小規模法人部門)
- 経産省/日本健康会議
- 対象:従業員の健康に戦略的に取り組む企業
- メリット:金融機関評価向上、メディア露出、ロゴ使用
7. DX認定制度
- 経産省(情報処理促進法)
- 対象:DX推進の体制が整った企業(情報通信・製造・卸売等) jsite.mhlw.go.jp+2disclosure.dx-portal.ipa.go.jp+2infolounge.smbcc-businessclub.jp+2
- メリット:税制優遇、ブランド価値向上
8. 事業継続力強化計画(BCP)認定
- 経産省
- 対象:BCPを策定した中小企業(特に製造業)
- メリット:公共・民間発注で加点評価、災害対応力の証明
9. 地域未来牽引企業
- 経産省
- 対象:地域経済で中心的成長拠点となる企業 jsite.mhlw.go.jp+1gltd.jp+1
- メリット:国からの注目・信用。補助金優遇対象に
他にもたくさんあるぞ!
Trustworthiness(信頼性)
コンテンツが正確で正直であり、ユーザーが安心して利用できるかを示す度合いです。EEATの中心にある最も重要な要素とされています。経営資源との対応は、 カネ(財務・契約)やジョウホウ(運営体制)に対応します。
活用の視点・支援提案例
- 会計の透明化(クラウド導入、信頼性の担保)。
- 社内ルールや対応方針の明示(BCP・品質保証)。
- 個人情報管理、取引履歴の整備。
- 問い合わせ対応・事務体制の信頼構築。
- Webサイトの透明性向上(会社概要・代表メッセージの整備)。
- プライバシーポリシー/特商法表記の整備。
- SSL化・レビュー対応体制づくり。
- 納期遵守率、工程管理体制の文書化(製造業・建設業)。
- 業務改善フロー、価格表・予約対応の整備(サービス業・観光業)。

SEO(LLMO)における強化方法
- 引用・参考文献・出典元を必ず記載する。
- 公開済みのコンテンツを最新情報に常にアップデートする。
- レビューへの対応や問い合わせ体制を整える。
- 会社情報や代表者メッセージ、プライバシーポリシー、特商法表記などを明確に表示する。
信頼性は、経験、専門性、権威性が全て満たされた時に生まれる概念とも言えます。
信頼は3つの結晶で成る!
EEATの応用
EEATは、各種補助金申請や経営計画策定においても有効です。
- 経営力向上計画: 技術・ノウハウの棚卸しと人材育成戦略(Expertise)。
- 持続化補助金: 顧客体験を重視した販路開拓(Experience+Trust)。
- 事業承継計画: 技術継承+ブランド継承の信頼構築(Expertise+Authoritativeness)。
- IT導入補助金: 信頼性の高い運営体制構築(Trustworthiness)+デジタル化による顧客体験強化(Experience)。
- 新事業進出補助金: 新分野展開時の信頼獲得設計。
令和7年度では、「100億宣言」も信頼性を構築するための武器になる!

※出典:経済産業省「100億宣言」より
昨年度DX支援した会社だ!
まとめ
EEATとは「信頼の地図」である。最後に、本記事の重要ポイントをおさらいしましょう。
✅ EEATは、Google基準であると同時に、経営支援のフレームワークでもある
✅ Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustworthinessの4軸で、企業の信頼性を設計する
✅ SWOT分析の補完として有効であり、補助金申請にも応用可能
✅ EEATの実装支援によって、集客・評価・事業成果が大きく向上する
💡信頼は一夜にして築けません。ですが、構造的に「信頼される仕組み」は設計できます。
「人間の行動は“信頼”によって変わる」――これは、マーケティングでも経営でも共通の真理です。
EEATをただのSEO対策で終わらせるのではなく、
「小さな企業の可能性を最大化するための信頼設計図」として活用しましょう!
参考書
【実践で使うおすすめの本】