突然ですが・・・
「最近、チームの雰囲気が悪い」
「なぜか職場がピリピリしている」
「部下が本音を言わなくなった」
…そんな違和感、感じていませんか?
実はそれ、職場に1人いるだけで全体のパフォーマンスを下げる“危険人物”――
いわゆる“有害”“老害”社員の仕業かもしれません。
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです!
今回は、「有害化」や「老害化」現象がなぜ起きるのか?どう対処すべきか?
中小企業診断士の観点、また、過去にコンビニのスーパーバイザーとして10年以上、最大12名の店長をマネジメントした経験を持つ私が、組織行動論やマネジメント理論を交えて、具体的に解説していきます。
このブログを読めば、
✅ 60歳以降も職場で信頼される存在になる
✅ チームの成果と雰囲気を同時に上げる方法がわかる
…そんな行動につながること間違いなしです!
職場を腐らせる「5大有害社員」とは?
ウィリアム・フェルプス氏の2006年の研究によると、「職場に1人いるだけでチームの成果が30〜40%下がる」危険人物が存在するとされています。
中小企業診断士の視点から見ても、以下の「5大有害社員」は組織の健全性を損ない、生産性を著しく下げる要因となります。
タイプ | 特徴 | 悪影響 |
---|---|---|
🐍 陰口ばらまき型 | 背後で悪口・不満・噂話を広げる | 職場の信頼関係を破壊し、チームの連携を妨げる |
🧊 沈黙型 | 会議で無言・意見なし・表情が暗い | 他者のアイデアが出にくくなり、停滞した雰囲気を生む |
🔥 攻撃型 | 否定ばかり、感情的・マウント癖あり | 若手や部下が萎縮し、心理的安全性が崩壊する |
🛌 怠慢型 | 仕事を選り好みし、責任回避が多い | 一部の社員に負担が集中し、離職や疲弊の原因となる |
🧓 老害型 | 過去の成功体験に固執し、変化に抵抗する | 組織の革新が遅れ、若手が育たず離職率が上がる |

これらの社員は放置すれば組織風土そのものに悪影響を与えるため、早期に可視化し、対話と対処を進める必要があります。まさに、「腐ったリンゴ」となります。
なぜ腐るのか?
「腐ったリンゴは本人が悪い」――確かにそう思いたくなりますが、中小企業診断士の視点から言わせてもらえば、それだけでは片付きません。
実は組織にも問題があるのです。
- リーダーが放置している(心理的安全性が低い)
- チームの規範が不明確
- フィードバック文化が弱い
これは「マネジメントの仕組み不在」から起こる問題。
“行動規範”や“心理的安全性”の整備が、再発防止のカギを握ります。
ここは社内診断士の役割だ!
老害化の兆候とは?
特に問題を深くするのが「老害化」。
これは年齢の問題ではなく、「アップデートを止めた瞬間」に始まります。
老害化のトップ5の兆候
なお、老害化が起きやすい背景には「ケルトナー効果(Keltner Effect)」も挙げられます。これはカリフォルニア大学のダチャー・ケルトナー教授が提唱した心理学的現象で、地位が高くなるにつれて他者への共感力が低下しやすくなるというものです。これにより、自分の発言や行動が他人に与える影響を想像しにくくなり、「偉そう」「押しつけがましい」態度に気づかなくなることがあります。
- 挑戦をしていない(=コンフォートゾーン依存)
- 昔話ばかりしている(回顧バイアス)
- 他人に厳しく自分に甘い(マイクロマネジメント)
- 偉そう(共感力低下)
- デジタルに疎い(アップデートを避ける)

ピーターの法則(The Peter Principle)によると、組織内での昇進は過去の職務能力に基づいて決定されるため、いずれ本人の能力を超える役職に昇進してしまうとされています。
この法則では、「人は昇進を重ねた結果、自分にとって無能なポジションにたどり着き、そこで停滞する」とされ、結果として組織内に“無能な管理職”が一定数生まれてしまう構造的な課題が発生します。
今のポジションで停滞してしまうと、老害化リスクが急上昇します。
常にアップデートが必要!
改善の「PDCA+心理的安全性」
診断士として現場で支援してきた私が提案する対処法は、次のフレームワークです。
実務での具体的対処法4選
1. 行動規範の明示
「この行動はNG」という明確な線引きを組織内で共有します。曖昧なルールが無意識の逸脱を生み、組織文化を濁らせる要因となります。たとえば、「会議中の私語は控える」「報連相は24時間以内に」など、明確な基準を設けましょう。
2. 心理的安全性の確保
「発言しても否定されない」安心感のある場づくりが重要です。Googleのプロジェクト・アリストテレスでも、チームのパフォーマンスを高める鍵は“心理的安全性”であると示されました。相手の意見を受け止める「聴く姿勢」を徹底しましょう。
3. 早期介入と個別対話
問題が小さいうちに、当該社員と1対1の面談を行います。期待している行動や成果を伝えつつ、相手の状況にも耳を傾けることが大切です。
(例:「私はあなたに○○を期待しています」「このままだと××のリスクがあります」)
4. 模範行動の見える化
良い行動をしている社員を称賛し、社内掲示や朝礼で共有しましょう。ポジティブな行動の“可視化”によって、組織内に共通規範が根づいていきます。
このように、「見える化」と「対話」によって、問題社員の行動変容を促す土台をつくることが可能です。
フェーズ | 実行内容 | 腐ったリンゴ対策 |
---|---|---|
P(Plan) | チーム規範と評価制度の整備 | 何が良い/悪い行動かを明示 |
D(Do) | リーダーが模範行動を取る | 「攻撃的な人」への抑止力 |
C(Check) | チーム満足度・心理的安全性の計測 | 沈黙が増えていないかを観察 |
A(Act) | 問題行動に早期対応・対話 | 行動変容 or 適材適所へ配置転換 |
加えて、「心理的安全性の向上」を意識すれば、メンバーの本音が出るようになり、問題の早期発見にもつながります。

SWOT分析とGROWモデルの活用
有害社員の中でも「老害型」は、過去の成功体験に基づく固定観念と、新しい価値観とのギャップから職場に摩擦を生みがちです。
中小企業診断士としては、感情論ではなく、構造的な視点からの“課題の見える化”が重要です。以下のフレームワークは、老害化の兆候を客観的に捉え、再成長の道筋を示すために有効です。
フレームワーク①:SWOT分析で老害社員の立ち位置を整理
分析項目 | 内容 | 老害社員に関する視点 |
---|---|---|
Strength(強み) | 経験・人脈・業務知識の豊富さ | 歴史的経緯や社内の裏事情に詳しいなど、若手にはない価値を持つ |
Weakness(弱み) | 学習意欲の低下・共感性の低下 | 新しい取り組みへの拒否反応、マイクロマネジメント傾向などが顕在化 |
Opportunity(機会) | 後進育成・メンター的立場 | 指導者として再評価されるチャンスを持つ |
Threat(脅威) | 組織文化への悪影響・信頼の低下 | 孤立化や若手からの反発、離職促進要因になる可能性 |
フレームワーク②:GROWモデルで行動変容を促す
ステップ | 目的 | 老害化からの回復ポイント |
---|---|---|
G(Goal) | 目標設定 | 「どんな存在として組織に貢献したいか」を再定義する |
R(Reality) | 現状把握 | 自身の行動に対する周囲の評価・反応を確認する |
O(Options) | 選択肢の洗い出し | 新しい挑戦(IT習得、若手支援など)を検討する |
W(Will) | 意志決定 | 自ら実行する行動を1つ決め、周囲に宣言する |
このようなフレームワークを通じて、本人の行動変容を支援し、組織の持続的な活力へとつなげていくことが、中小企業診断士の現場支援において重要な役割となります。
感情論ではなく構造論!
もし「自分がそうかも…」と思ったら?――
この記事を読みながら、「もしかして老害になっていないだろうか」と感じた方。
まずお伝えしたいのは、気づけた時点で、あなたはすでに大きな一歩を踏み出しているということです。
では、その気づきを行動につなげるには、どうすればよいのでしょうか?
中小企業診断士の観点から、次の3つの自己マネジメントステップを提案します。
① メタ認知で自分を客観視する
- 自分の発言・行動がチームにどう映っているか、1日の終わりに振り返りましょう。
- 日記や業務記録に「良かったこと/反省点」を1行でも書く習慣を持つことで、認知のゆがみに気づきやすくなります。
② フィードバックを歓迎する環境に身を置く
- 年齢や立場が上がるほど、率直なフィードバックを受けづらくなります。
- あえて若手と1対1で対話する機会を作る、アンケートをとる、上司や同僚に「改善点があれば教えてください」と自ら聞くことで、信頼と改善意識の両方が育ちます。
③ ラーニングゾーンに挑戦し続ける
- 毎月1つ「今まで避けていたこと」に取り組んでみましょう。
例)クラウドサービスの操作、SNS投稿、部下育成マニュアルの作成など - 小さな挑戦の積み重ねが、自分の価値を高め、老害化の抑止にもつながります。
ポイントは「変わること」より、「変わり続ける意志を持ち続けること」。
私の現在のチームには、65歳の事務局長だったベテラン経営指導員がいます。その方は、生成AIなど新しい考えを取り入れて、今でもDXの最前線で協力を頂いています。
アップデートし続ける人は、いくつになっても周囲から必要とされます。
最後に、あなたが“有害”にも“老害”にもならず、
60代以降も信頼される存在になるための「Wの法則」をご紹介します。
自分を追い込む実験をしよう!
Wの法則(人が変わる3ステップ)
- Will(意思):「こうありたい」という明確な目標を持つ
- Work(行動):1ミリでも前に進む行動を取る
- Win(信頼):小さな行動を積み重ねて信頼を得る

まとめ
「有害化」「老害化」は他人事ではありません。
たった一人の行動が、職場を良くも悪くも変えるのです。
✅ 今のポジションで、アップデートしていますか?
✅ 自分が信頼を得る行動を、日々取れていますか?
あなたの意思と行動が、周囲との信頼を築き、“60代以降も稼げる人材”へと進化させてくれるはずです。