突然ですが・・・
「補助金を活用して成長投資を進めたいけど、どこに相談すればいいか分からない…」
「申請書類が多すぎて、もう本業どころじゃない…」
「支援業者に頼んだけど、手数料が高すぎるし、結局よくわからなかった…」
そんなお悩み、抱えていませんか?
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回は、補助金制度の“裏側”と、信頼できる支援機関の選び方、トラブル回避のために中小企業が取るべき行動について、徹底的に解説します。
このブログを読めば、制度の本質と注意点が分かり、補助金を安全かつ有効に活用する道筋が見えてきます。
補助金制度の現実:中小企業政策審議会が指摘した課題
2025年5月26日開催「第43回中小企業政策審議会」では、補助金制度の抱える問題点が厳しく指摘されました。過去に指摘されたものも含め、代表的な課題は以下の通りです。
問題点 | 説明 |
---|---|
情報の分かりにくさ | どの補助金がどの企業に合うのか不明瞭。情報収集に多大な労力が必要 |
手続きの煩雑さ | 書類が多く、ミスが許されず、専門知識がないと難解 |
高額な手数料 | 成功報酬15〜20%、着手金で10万円以上が相場。成果が出ない場合も費用が発生 |
代理申請の違法性 | 支援機関や民間コンサル会社が申請書類を実質的に代筆。これは明確な規約違反 |
こうした課題は、本来の支援目的から乖離し、悪質な業者の温床になる恐れがあります。

補助金活用の本質をフレームワークで読み解く
●3C分析
まずは、支援者側から3C分析を活用し、問題点を抽出してみました。
- Customer(事業者):補助金の制度・手続きが分からず、二の足を踏む中小企業・小規模事業者
- Company(支援機関):経営資源が限られ、支援に十分なリソースを割けない
- Competitor(競合・民間コンサルなど):市場の知識格差を利用し、高額報酬を要求する業者
この3者のバランスが崩れたとき、悪徳な支援ビジネスが台頭します。
●バリューチェーン分析
活動 | 問題点 |
---|---|
申請準備(インプット) | 書類作成に膨大な時間と人手を要する |
支援機関との連携(中間) | 主体的に動けず、丸投げ状態になりがち |
採択後の管理(アウトプット) | 経費の使い方や証憑管理に不備が生じる |
→ 書類偏重が経営改善を置き去りにしている実態がある。事業者自身が計画内容を理解していないケースもあり、これは重大なリスクです。
代理申請の実態とリスク
代理申請とは、支援機関やが申請者になりすまして書類を提出する違反行為です。
現場では以下のような状況から“作成代行”が横行しています。
- 公募要領が70ページ以上で内容が複雑
- 支援事業者自身のパソコン操作が困難
- 申請書の作成に対する心理的ハードル
代理申請による3つのリスク
- 採択取消・交付停止
- 信用失墜と資金繰りの混乱
- 制度全体の信頼失墜と厳格化
申請代行に頼り切る支援者は、自らの自己満足で支援を目的から逸脱させていないか、今一度問い直す必要があります。

以前、補助金の審査、管理をしていた立場として考えさせられることは、世の中のほとんどの事業者様、そして支援事業者は真面目です。しかし、一部の悪質な業者によって、制度を複雑にせざるを得ないというのが現状。非常に歯がゆいですね。
不正は絶対に許せない!
悪質な支援業者を見極めるチェックポイント
以下に、悪質な支援機関や、民間コンサル会社を見極めるチェック項目を示します。参考にしてください。
チェック項目 | 注意点 |
---|---|
無料と謳うが実質請求 | 後出しで成功報酬を請求 |
着手金が高額(10万円超) | 不採択でも返金しないケースがある |
テンプレ書式の乱用 | 独自性がなく、形式が全く同じ |
名義貸しを要求 | 作成者の名前を記載しないように求める |
テンプレ書式は内容がテンプレだ!
採択後の“見えない壁”とは?
採択はゴールではなく、スタートです。
- 経費の発注・支払いの時期が適正でなければ交付対象外
- 書類の整合性が求められ、1つの不備で全体が無効に
- 汎用性のある設備は補助対象にならない
申請段階の成功よりも、交付・実施・報告までの設計が重要です。
中小企業・小規模事業者が取るべき安全な5つの行動
ここでは、中小企業・小規模事業者が取るべき安全な5つの行動について解説します。
- 無料支援機関を活用する(商工会・商工会議所等)
- 事業者自身が計画書作成に関与する
- テンプレートを避け、独自性を明確にする
- 自社内から申請作業を行い、アクセスログを残す
- 契約時に報酬体系を明示・比較検討する

“真の経営改善”へ導く対策
不正が発覚するたびに、大半の真面目な事業者や、支援者が被害をこうむります。ここでは‶真の経営改善”について検討します。
バランスを崩さないための具体的提案
1. 事業者(Customer)への対応
- 制度理解を深める機会の探索:公的機関による動画・セミナー・チェックリストなどの確認。
- 自社に合った補助金選び:支援機関による初期相談や制度比較表の提供などの相談。
- 「質問しやすい」環境づくり:商工会、商工会議所等の無料の専門家相談をまずは気軽に活用してみる。
2. 支援機関(Company)への対応
- 人材育成とデジタル導入:支援内容の定型化・文書化を進め、AIやツールで効率化。
- 対応の均質化:成功事例や対応マニュアルを蓄積・共有し、支援の質を標準化。
- フィードバックの仕組み整備:事業者からの満足度調査や意見収集の定常化。
私の事業では進めている!
3. 民間コンサル(Competitor)への対応
- 報酬体系の透明化:料金表・契約条件の明示を業界全体で徹底。
- 認定制度やガイドラインの整備:悪質事例の排除と信頼性向上へ、第三者機関による登録制度の導入。
- 連携のルール化:支援機関と民間コンサルが健全に協力できる「役割分担モデル」の策定。
実体験による仮説
今週支援に入った熊本県のあるガソリンスタンドでは、70代の社長が支援を受けながら自力で事業再構築補助金の最終公募の申請書を完成させました。
- SWOT分析、STP、ポジショニングマップ、KSFをすべて活用
- 社長自身が計画内容をロジカルに説明できる状態に
公募要領などの書き方を自分で調査し、論理化された形式で策定。ベテランの支援者でも目を丸くするレベルです。
これは支援の質が「代行型」から「自立支援型」に変わった好例です。ここに携わった50代のベテラン指導員は超一流です。勉強になりました。
支援者自身が「書けないはずだ」というバイアスに支配されていないか、自省する機会でもあります。

DXの活用のすすめ
支援者自身もDXにより支援品質を向上できます。
私の取り組みでは
- 外部環境分析、ヒアリング記録、課題整理までを可視化・共有
- 数日以内に文書をPDFやWordで事業者に提供
先日、ある支援した事業者様から「何を相談したか忘れてしまう。でも記録があることで次に進めた」と感謝されました。
これは裏を返せば、これまで支援者が「やりっぱなし」だったという反省でもあります。

「言語化→共有→振り返り→次の一手」までが支援者のDXによって実現される時代です。
なお、私が今すすめている「AIハイブリッド型支援」は、究極は「対話と傾聴、引き出す力」に強みを持つ支援者が活躍する世界を視野に入れています。ここらへんを考えると、女性の方がコミュニケーション能力の高いと感じることが多く、女性の職員が大いに活躍する時代が来そうで、日々精進しないとだめだなと感じています。
職種は関係なくなるかも!
まとめ
まとめです。制度を“味方”に変えるには主体性と信頼性が鍵です。
補助金は、事業を進化させる「手段」であって「目的」ではありません。
不正や依存に陥らず、信頼できる支援者とともに、真に自社の将来に必要な投資へつなげることが重要です。
ご相談は、お近くの商工会・商工会議所へ。
中小企業診断士などによる専門家派遣(無料)も活用できます。
不安や疑問があれば、まずは信頼できる公的機関へ相談を。あなたの挑戦を応援しています!