突然ですが・・・
「うちの会社も、もっと投資して成長したい。でも、人手不足や物価高で手が回らない…」
「補助金が使えるなら活用したいけど、条件が難しそう…」
そんなふうに思ったことはありませんか?
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです!
今回は、売上高100億円を目指す企業に向けた大型補助制度「中小企業成長加速化補助金」について、どこよりもわかりやすく徹底解説します。
この解説を読めば、あなたの企業も「挑戦する中堅企業」として、数億円規模の成長投資を補助金で実現するチャンスが広がります!
✅この記事のポイント
まずは概要について、まとめましたので、確認しておきましょう!
項目 | 要点 |
---|---|
最大補助額 | 最大5億円(補助率1/2) |
対象企業 | 売上高10億円以上100億円未満の中小企業 |
投資要件 | 投資額1億円以上(建物・機械・ソフト等) |
必須条件 | 100億宣言、賃上げ計画、国内での事業実施 |
補助対象経費 | 建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費など |
応募期間 | 令和7年5月8日(木)〜6月9日(月)17:00締切 |
申請方法 | jGrantsによる電子申請(GビズID必須) |
対象は中堅・中規模以上の企業!
なぜ今、この補助金が必要なのか?
2024年、日本の経済は30年ぶりの賃上げ・設備投資ブームの中にあります。
しかし、多くの中小企業は「物価高」「人手不足」「人件費の増大」といった課題に直面しており、成長投資に踏み切る余力が乏しいのが現実です。
そこで登場したのが、この「中小企業成長加速化補助金」です。
この制度は、特に『売上高100億円企業』という高い目標に本気で挑む中堅企業を対象に、最大5億円までの補助で大胆な設備投資や人材強化を後押しする“本気の補助金”です。

補助金の本質を理解する
中小企業がこの補助金を活用する際、自社の強みや投資対象を*「競争優位性」*という観点から見つめ直す必要があります。
その際に役立つのが、以下のVRIO分析です。
要素 | 意味 | 本補助金との関係 |
---|---|---|
Value(価値) | 顧客にとっての価値を生み出す資源か? | 高付加価値の設備投資、賃上げによる人材確保 |
Rarity(希少性) | 競合が真似できない資源か? | 大規模な先行投資を実行できる希少性 |
Imitability(模倣困難性) | 他社が模倣できないか? | 高度なノウハウ・システム導入の難易度 |
Organization(組織) | それを活かす組織があるか? | 補助金対応できる社内体制・財務基盤 |
つまり、「挑戦的な投資計画+実行できる体制」がある企業が選ばれるのです。
必須条件1:『100億円宣言』を行う
本補助金の応募には、100億円宣言が必要です。
これは「自社が売上100億円を目指す」と国のポータルサイトで公言する仕組みです。
宣言では、以下の4項目を明示します。
- 企業概要
- 経営者の決意・ビジョン
- 現在の課題と成長戦略
- 具体的なアクションプラン
100億宣言をすると、以下のような恩恵があります。
- 本補助金の応募資格を得る
- 経営者ネットワークへの参加
- 100億企業への道を歩むPR効果
必須条件2:1億円以上の成長投資
補助対象となるのは、建物・機械装置・ソフトウェア等への合計1億円以上の投資です。
なお、「老朽設備の単なる更新」はNG。生産性向上や新事業創出など**“新たな価値”を生む投資**である必要があります。
また、外注費・専門家経費はこの投資額より小さくなければなりません。
必須条件3:賃上げ要件
補助事業終了後3年間で、給与支給総額や1人あたり給与が都道府県別の基準率以上に上昇していることが求められます。
未達成の場合は、補助金の一部返還義務が発生するため、慎重な計画が重要です。
以下に、全47都道府県の基準率(直近5年間の最低賃金年平均上昇率の参考値)を示します。


※上記は2024年度時点の推定値です。最新の公的資料に基づいて確認してください。
対象経費:どこまで使える?
✔ 主な補助対象経費
- 建物費:事業に使う施設の建設や改修費
- 機械装置費:事業用機械、設備、工具など(中古も条件付きで可)
- ソフトウェア費:業務システム、クラウド利用料等(PC・スマホ本体は対象外)
- 外注費:設計・開発・検査など(見積・契約書必要)
- 専門家経費:中小企業診断士・士業などの助言費用
❌ 対象外経費の例
- 汎用パソコンや事務用備品
- 土地代、建物の解体費用
- 飲食費、文房具、旅費交通費(除外条件あり)
- 自社社員の人件費
- 他の補助金と重複する費用
🔍 補助対象経費にかかる注意事項
補助対象経費に関しては、次の点に注意が必要です:
- 補助対象となるのは、交付決定日以降に契約・発注し、補助事業期間内に支払・納品が完了したものに限られます。
- 交付決定前に発注・契約・内示された経費は、いかなる理由でも対象外となります。
- 相見積もり(2者以上)の取得が原則であり、価格の妥当性を証明する必要があります。最低価格でない場合は選定理由書が必要です。
- 支払いは銀行振込のみが原則で、現金払いや手形取引、相殺、ポイント払いなどは補助対象外となります。
- リースを活用する場合、リース会社との共同申請が必須です。補助金相当額はリース料から減額されていなければなりません。
- 中古設備は、3者以上の古物商からの見積取得など、適正価格であることを証明できる場合に限り対象となります。
- 建物・設備に抵当権を設定する場合、交付申請時または変更届時に事務局の承認が必要です(根抵当権は不可)。
- 発注先はペーパーカンパニーや実績のない業者でないことが求められ、違反があると補助対象外または返還の可能性があります。
- 経費の区分(建物費、機械装置費など)は減価償却資産の耐用年数等に関する省令に基づき分類され、税務上の処理と一致している必要があります。
- 補助事業で取得した資産には処分制限(5年間保管・事前承認制)が課されます。
応募方法とスケジュール
✔ 今すぐ準備すべきこと
- GビズID(プライム)取得(2週間程度かかります)
- 100億円宣言の登録
- jGrantsでの申請書作成の準備
📅 申請スケジュール(令和7年度)
- 5月8日(木):申請受付開始
- 6月9日(月)17:00:申請締切
- 7月上旬:1次審査結果発表
- 7月28日〜8月8日:プレゼン審査(経営者出席必須)
- 9月以降:採択通知・交付決定
※今後、数回に渡って公募が実施される予定ですので、事業計画の時期に合わせて、焦らずにしっかり事業計画を策定してください。
プレゼン審査のポイント
書類審査を通過した企業は、経営者自らのプレゼンテーション審査を受けることになります。
ここでは以下のような点が重視されます。
- 経営者のビジョンと覚悟:成長意欲と実現への本気度が問われます。
- 投資計画の具体性と合理性:何にどのように投資し、どう効果を得るのか。
- 地域経済への波及効果:雇用創出、サプライチェーン、地元還元などの視点。
- 財務的な健全性と資金計画:ローカルベンチマーク等と整合した実現可能性のある数字。
- 社内体制・ガバナンス:事業遂行に十分な体制が整っているか。
【加点要素】
プレゼン審査において、以下の要素が加点対象となります。
- 金融機関による確認書の提出:補助事業の実行可能性に対する第三者の客観的裏付けがあると判断されます。
- 金融機関の担当者がプレゼン審査に同席:経営者と一体となった成長戦略の裏付けとして信頼性が高まります。
加点は審査結果に大きな影響を与える可能性があるため、金融機関との連携を事前に強化しておくことが重要です。
審査基準と診断士視点のフレームワーク解説
補助金申請では、形式要件だけでなく、定性的・定量的な観点から厳密な審査が行われます。中小企業診断士の視点で、審査項目を以下のようにフレームワークを活用して読み解きます。
① 経営戦略と実行力(SWOT分析・バリューチェーン)
- 内部環境(Strength/Weakness):組織の強み(技術力、人材、財務)や弱み(組織力不足、資金調達難)
- 外部環境(Opportunity/Threat):市場拡大の機会や競合激化・法規制などのリスク
- バリューチェーン分析:補助対象事業がどの工程で価値を生むか(製造、物流、販売、サービス)
このような環境分析のうえで、補助事業が自社の中核的価値をどう高めるかが問われます。
② 波及効果と地域貢献(ロジックモデル・MECE)
- ロジックモデル:
- 投資 → 活動 → 結果 → 効果 → 社会的インパクト
- 地域経済との連動性:
- 地域雇用の創出、地域資源の活用、地元仕入れやネットワーク構築
- 賃上げの実効性:給与総額・一人あたり給与の上昇が波及する仕組みを明示
審査では、「この会社の成長が地域の未来をどう変えるか」まで踏み込んで見られます。
③ 財務の健全性と事業の実現可能性(ローカルベンチマーク・財務三表)
- LBF(ローカルベンチマーク)指標による定量評価:
- 売上高増加率、営業利益率、自己資本比率、債務償還年数など
- 補助事業の妥当性:
- 投資規模が売上に対して過大すぎないか?
- 事業の実施体制、人材、資金調達に無理はないか?
また、金融機関の同席・確認書提出は加点項目になります。
④ 定量的指標による評価(KPI分析・財務視点)
審査においては、経営戦略や事業の妥当性だけでなく、定量的な指標も明確に示されているかが重視されます。以下に望ましい水準とともに、評価指標を表形式で整理しました。
指標 | 解説 | 望ましい目安(提案) |
---|---|---|
売上高成長率 | 補助事業を含めた5年間の年平均成長率 | 年平均10~15%以上(5年間で1.6~2倍成長) |
営業利益率 | 持続可能な利益体質を示す | 安定して5%以上、成長業種では8~10%以上 |
付加価値額成長率 | 労働生産性向上の指標 | 年平均8~10%(例:一人当たり300万円→450万円) |
自己資本比率 | 財務の安定性 | 30%以上(20%台は改善計画が必要) |
投資額/売上比率 | チャレンジ性の評価尺度 | 5~20%(例:年商50億円なら2.5~10億円) |
数値を提示する際には、単に目標を掲げるだけでなく、
- なぜその水準を設定したのか(根拠)
- どうやってその目標を実現するのか(手段・戦略)
を、事業計画書の中で明確かつ合理的に説明する必要があります。
中小企業診断士の視点からは、ローカルベンチマーク(LBF)や財務三表との整合性を重視し、過去3年の実績データと将来予測の間に論理的なつながりがあることが非常に重要です。
また、審査基準では「高い売上高成長率」や「高い付加価値増加率」が、補助事業期間を含む今後5年程度の計画において提示されることが評価ポイントとなりますが、これらの数値目標を万が一達成できなかった場合でも、現時点では明確な罰則(例:補助金返還等)は規定されていません。
したがって、必要以上に不安を感じる必要はなく、過度な目標ではなく、自社の成長ステージや業界特性を踏まえた「現実的かつ挑戦的なKPIの設定」が重視されると理解しておくと良いでしょう。
補助事業の流れ(採択後)
- 交付申請(採択後2か月以内)
- 交付決定通知
- 事業実施(24ヶ月以内)
- 実績報告・確定検査
- 補助金支払(精算払い)
- 5年間の報告義務(賃上げ・事業成果)
よくある誤解と注意点
誤解 | 実際は… |
---|---|
1社で複数案件申請できる | → 1社1案件のみ(リース会社除く) |
汎用的なPCやプリンタもOK | → 原則NG、目的外使用が疑われる経費は除外 |
他補助金と併用できる | → 同一内容ならNG、テーマが被らない場合でも事前確認必須 |
まとめ:未来を切り拓く“挑戦者”のための補助金
この補助金は、単なる資金支援ではありません。
- 100億円という高い志を持つ
- 本気の成長戦略を描ける
- 確かな組織力とビジョンを備えている
そんな企業が、地域経済を変える「成長の原動力」となることを後押しする制度です。
📣無料相談・支援活用のすすめ
補助金申請は、
- 商工会・商工会議所の窓口で無料相談可能
- 中小企業診断士などの専門家派遣制度も無料で活用できます
ただし、このレベルの補助金は数千万円〜数億円単位の規模となり、
経営指導員だけでは対応が困難なケースが多いのが実情です。
そのため、
- 中小企業診断士、税理士、社会保険労務士、IT専門家など
- 金融機関や地域支援機関
といったすべての支援リソースを総動員し、チームとして取り組む姿勢が極めて重要です。
金額が大きい分、
- 計画段階での見積ミス
- 実施後の条件未達成
- 書類不備や申請遅延
など、トラブルが起こった際の影響も大きく、取り返しのつかない事態にもなりかねません。
申請から採択・実行・報告まで、すべての関係者が“当事者意識”を持ち、責任ある対応を取ることが成功のカギとなります。
まずは、最寄りの支援機関へご相談ください!