突然ですが・・・
「このグループワーク、自分は何を言いたかったのか分からない」
「プレゼンで”だから何?”って、経営者から突っ込まれて固まった」
こんな経験、中小企業診断士養成課程に通うあなたにもありませんか?論理的に話しているつもりなのに、肝心のところで伝わらない。
その原因は、”事実”を伝えるだけで終わっており、”意味”や”行動”まで導けていないからです。
おはようございます。経営指導員&中小企業診断士のセバスチャンです。
今回は、そんなお悩みについて、実際に診断士養成課程で私自身が体得した「So What? から始める思考法」を、【ピラミッド構造】【MECE】【空・雨・傘】のフレームワークを活用しながら、徹底的に解説していきます。
この解説を学べば、伝える力・考える力・行動に落とし込む力が一気に爆上がりすること間違いなしです!
1. So What?(だから何?)で行動仮説へ
診断士養成課程では、事実を丁寧に収集・整理するだけで満足してしまいがちですが、本当に重要なのは、そこから意味を導き出し、支援事業者が実際に動き出す行動仮説にまで落とし込むことです。
私の経験上、プレゼンの内容がどれほど立派であっても、次の日に事業者が一歩を踏み出せなければ支援とは言えません。
実際に「この提案を受けて事業者がすぐ行動を変えた」——そう言える班は、インストラクターの間でも「本物だった」と評価される存在でした。
たとえば、「空が青い」という一つの事実に対しても、以下のように立場や価値観によって行動は変わります。
視点 | 解釈 | 行動仮説 |
---|---|---|
敏感肌の女性 | 日差しが強い | 日焼け止めを塗ろう |
主婦 | 洗濯日和だ | 洗濯物を干そう |
バイク好き | 絶好のツーリング日和 | バイクで出かけよう |
ビジネスでも同様に「事実」から「意味(So What?)」を導き、アクションへ落とし込む力が必要です。

2. 論理的な主張を支えるピラミッド構造
主張を説得力あるものにするためには、根拠が3〜4つあることが理想的です。
ピラミッド構造の基本例
- 主張:自社ECサイトを立ち上げたい
- 根拠1:既存の取引先チャネルに依存しすぎており、利益率改善が期待できる
- 根拠2:自社製品の魅力をより深く伝えられる手段としてブランディングにつながる
- 根拠3:最近採用したスタッフにWeb制作のスキルがあり、初期投資を抑えて開始できる
このように主張→根拠→サブ根拠と積み重ねていく構造が、「なぜ?」「だから何?」の連鎖に強く耐える論理性を生みます。

実体験:PREP法で自分を鍛えたエピソード
私自身、恥ずかしい話、診断士養成課程のディスカッションの中で、「何が言いたいのか分かりづらい」と何度も指摘を受けたことがありました。
そこであえて、PREP法(Point → Reason → Example → Point)を徹底的に意識し、「1分間で主張し、根拠を3つ述べる」という自分ルールを課したのです。
例えば、ある議論の中で「この施策は実行すべきだ」と言い切った後、
- 理由1:既存顧客に対する継続率の改善が見込める
- 理由2:過去の成功事例と類似性が高い
- 理由3:社内リソースが今期中に空くタイミングだから
という形で最初に「3つある」と言って、根拠を考えて、整理しながら話す訓練を続けました。
最初は時間切れになることも多かったのですが、回を重ねるごとに「わかりやすい」「ロジックが見える」と言ってもらえるようになり、自信にもなりました。
養成課程での失敗は許されます。こういった自分を追い込む訓練も重要です。
自分を追い込む実験をしよう!
3. 批判的視点(クリティカルシンキング)を持つ
ロジカルに構成された主張でも、前提や根拠が誤っていれば意味がありません。
ここで誤解してはならないのは、「批判的に考える」とは、相手の粗探しをしたり、意地悪を言うことではないという点です。むしろその逆で、あえて違う角度から問いを立てることで、主張の土台や方向性をより強固にするための視点なのです。
「それって本当にそう?」
「他に選択肢はない?」
「だから何なの?」
という問いは、相手を否定するためではなく、対話を通じて真に価値ある結論にたどり着くためのものです。
このスタンスがあるからこそ、議論の質が上がり、最終的な判断や施策の実行力も高まっていくのです。
クリティカルシンキングで使う3つの視点
- それって本当にそう?(事実か?出所の信頼性は?)
- 他にないの?(別の視点や選択肢は?)
- だから何なの?(それが意味するものは?)
この3つの問いを習慣化することで、思考の偏りやミスリードを防げます。
さっそく今から、使ってみてください。
言い方!は大事よ。笑
4. MECEとフレームワークで漏れを防ぐ
「漏れなく、ダブりなく」思考するには、MECE(ミーシー)が有効です。
例えば、社内のDX化を考える際も
切り口 | 対応手段 |
---|---|
外部活用 | 外注、業者委託 |
内部活用 | ツール導入、教育 |
このように、先に”切り口”で思考を整理し、そこに要素を埋めていくことで、漏れのないプランが見えてきます。

また、【3C分析】【4P】【7S】【VRIO】などのフレームワークを使うことで、自分の思考の癖や盲点を補完できます。
- 3C分析:顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の視点から市場環境を整理し、戦略の方向性を明確にできます。
- 4P:製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)を軸にマーケティング施策の全体像を考える際に有効です。
- VRIO:経営資源が価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織適合性(Organization)を備えているかを見極め、競争優位性を判断します。
- 7S:戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、制度(Systems)、スキル(Skill)、人材(Staff)、価値観(Shared Value)、スタイル(Style)の7つの視点から、組織の整合性と変革ポイントを洗い出せます。
診断士養成課程では、私自身がこの7Sを深く理解するために、机の前に紙で貼り出して、日々の事例検討や企業分析において繰り返し参照していました。たとえば、あるケーススタディで「売上は伸びているのに現場が混乱している」という現象に対し、単に制度や人材の問題ではなく、Shared Value(共有された価値観)やStyle(組織文化)にズレがあることを突き止められたのは、7Sを思考のチェックリストとして常に手元に置いていたからです。 このように、7Sを使うことで、目に見えにくい要素を含めて組織の全体像を捉えることが可能となり、課題の本質に迫ることができるのです。
せっかくなら使い倒そう!
5. 具体化と抽象化の往復で思考を深める
ビジネスの思考力を高めるうえで欠かせないのが、具体化と抽象化の往復です。
● 具体化(例を出して説明する)
抽象的な概念を、具体的なケースや行動に落とし込むことで、相手の理解を助け、再現性のある施策に変換します。
- 例:「従業員の定着率を高めたい」→「月に2回、経営者が従業員一人ひとりと面談し、悩みや意見を吸い上げる機会を設ける」
● 抽象化(共通項・本質をつかむ)
複数の具体例から、共通の本質や上位概念を導き出す力です。これにより、個別対応ではなく、体系化された知識や応用力が育ちます。
- 例:「A社ではネット販売が好調」「B社では新規顧客の紹介が増加」→「両社ともに自社の強みを明確にし、顧客との接点で一貫性ある価値提供ができていることが共通点」
この往復によって、「再現性・汎用性・説得力」が格段に高まります。中小企業診断士としての提案力にも直結する重要スキルです。

なお、抽象化の力は「コンセプチュアルスキル」とも呼ばれ、経営幹部やコンサルタントにとって不可欠な思考能力です。私の経験上、私も当初そうでしたが、診断士養成課程ではこの抽象化が苦手な生徒が多く、具体と抽象を行き来する練習が不足していると感じる場面が多々ありました。
特に、事例演習では、目の前の現象の分析に留まり、構造的な課題や業種を超えた本質に気づけないケースが頻発します。抽象化は、一つひとつの具体例に意味を与える「型」を見出す作業でもあります。意識的に抽象化を訓練することで、論点の発見力や提案の深さは確実に向上していきます。
ここは少し才能もいる!
まとめ:今こそ「問いを立てる力」を身につけよう
最後にまとめます。
- So What? で事実→意味→行動へ
- ピラミッド構造で主張の論理性を高める
- クリティカルシンキングで前提と根拠を吟味
- MECEとフレームワークで網羅性を確保
- 具体化と抽象化の往復で応用力を高める
- 建設的な批判で価値ある対話を実現
成功とは、正しい問いを持ち続けること。
— ピーター・ドラッカー
あなたも今日から、「問いを立てる力」を武器に、中小企業診断士として一段上の思考を実践していきましょう!
参考書
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