″中小企業診断士&現役経営指導員が実務で活用してみたリアルレポート″
「支援先の課題を整理したいけど、時間が足りない…」
「SWOTや3C、作成に時間がかかる」
「経営者との面談で、もっとスムーズに課題整理したい…」
そんなお悩みを感じたことはありませんか?
こんにちは。中小企業診断士として活動しながら、熊本県内の商工会にて専門経営指導員を務めております。昨年4月より社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)担当に任命されてからというもの、生成AIを含むさまざまなデジタルツールに触れる機会が一気に増えました。
この1年間、熊本県内で開催したセミナーには、のべ2,000を超える事業者の皆さまが参加。生成AIやDXの最新事例、活用方法などを現場のリアルな声とともに届けることができました。
今回は、私が試した中でも特に注目しているツール「Mapify」について、中小企業診断士&専門経営指導員としての視点からご紹介します。
ひさびさの更新です。
″Mapify″とは?中小企業診断士に刺さる理由
「Mapify」は、事業計画のフレームワーク作成を支援するAIツールです。とくに中小企業診断士にとっては、「3C分析」「SWOT分析」「ペルソナ設計」「カスタマージャーニー」などを作成する際、思考の交通整理に役立ちます。
企業支援の現場で感じるのは、経営者自身が「自社の強み・弱み」を客観的に見つめることの難しさ。そして支援者側も、短時間で本質的な課題を引き出すには、的確な質問や資料の準備が求められます。Mapifyはこの「見える化」のプロセスを自動でサポートしてくれる心強い相棒です。
登録から活用まで
登録は非常にシンプル。Googleアカウントなどでログインし、提示されるテンプレートに自社情報を入力していくだけ。ポイントは、AIが自動生成してくれる案をベースに、自分なりの視点でカスタマイズできる点です。有料版もありますが、【無料】ですぐに使えるのも嬉しいです!

※ 本記事で紹介した「Mapify」は、Mapify公式サイトに基づいて作成しています。サービス内容は記事執筆時点の情報であり、最新の仕様は公式サイトをご確認ください。
直接文章をヒアリングしながら作成することも可能ですし、PDFやWordファイルをアップロードするなど、たくさんの手段があります。
今回私がMapifyで作成したテーマは、「中小企業診断士としての多面的な役割整理」と、私自身の課題と目標の明確化。
Wordファイル「フロー表.docx」に記載したように、私の直面していた課題は以下の4点
- 娘の高校受験勉強の促進
- 自身の健康管理(太り気味)
- 中小企業診断士活動の停滞
- 趣味(配信活動)の継続と検証
これらを解決するために、優先順位や戦略、戦術を整理し、Mapifyに情報を落とし込んでフレームワークとして可視化しました。
このワードファイルを、アップロードし、ボタン1つで自動で作成します。
心機一転!
出来上がったアウトプットと気づき
Mapifyを使って作成した内容では、以下のような項目をWordファイルでアップロード。
分類 | 内容 | 気づき・効果 |
---|---|---|
業務スケジュール | 朝5時起床→受験サポート→出勤→夜は発信 | 生活リズムの固定で仕事と家庭の両立が可能に |
優先順位 | ①娘の学力アップ ②睡眠時間確保 ③健康維持 |
目標が明確になり、やるべき順番が見える化 |
診断士活動 | 週1ブログ・動画投稿/月2本テーマ発信 | 発信のペースと内容のバランスを可視化できた |
戦術の設定 | 19:30退勤 → 帰宅後の1時間を確保 | 実現可能な時間設計になり、継続がしやすくなった |
具体的にできた内容が以下です。

これは″マインドマップ″でのアウトプットです。だいたい作成で30秒程度かかりました。
マインドマップは、頭の中のアイデアを“見える化”して整理・拡張するための図解ツールです。

これが″ロジックチャート″です。
ロジックチャートは、課題の原因を“なぜ?”で掘り下げたり、手段を“どうやって?”で展開していくことで、論点を整理し、抜け漏れのない思考が可能になるツールです。

これは″タイムライン″です。
タイムラインは、時間の流れに沿って業務や計画を整理することで、“先を見通した行動”がしやすくなるツールです。

特性要因図は、問題の背景にある“原因”を体系的に洗い出すのに役立ちます。Mapifyを活用すれば、このような構造的な思考整理も自動で行えるため、支援の現場で重宝します。
Mapifyを活用した結果、課題が「優先順位→戦略→戦術」という形で体系的に整理され、自分の頭の中だけでは気づかなかった部分が見えてきました。たとえば「残業は19:30まで、帰宅後の時間を1時間確保」といった具体的な戦術設定も、視覚化によって実行しやすくなりました。
試しに頭の中をまとめてみて!
経営支援での活用
以下は、実際に私が支援に関わった事業者の内容についてです。特徴を、まず以下のようにまとめます。ワードファイルや、エクセルで作成したサマリーをPDF化することで読み取ることが可能です。
分類 | 内容 |
---|---|
経営理念 | 人と人、人とコトをつなぎ、彩りがあり幸せな社会を創る/思いを込め、知恵を使い、最高の印刷物をつくる |
ビジョン | 定性目標:サービスプロバイダーとしての深耕/定量目標:3年で経常利益1,500万円 |
外部環境 | デジタル化により印刷物の需要減/機械導入費の高さによる参入障壁/同業者の減少=シェア拡大の可能性 |
内部環境 | システム化に連動できていない従業員/ノウハウ未標準化/作業効率・5S・原価管理に課題 |
強み | 人材の安定/利益意識のある経営/柔軟な組織文化 |
今取り組むべきこと | ①下請けから直請けへ ②1色印刷の強化 ③提案型営業の強化 |
顧客面の課題 | 顧客別管理データの導入/数値目標の仕組みが不十分 |
組織面の課題 | マニュアル化の推進/工場レイアウトの見直し |
サービス面の課題 | 付加価値技術の導入/子会社との連携強化/新たな販路の検討 |
具体的に、″Mapify″にアップロードした内容が以下です。

うんうん。いいですね。作成した内容をすぐに共有できることも嬉しいです。

アウトプットの仕方は複数あるようですね。
相談内容を構造化&見える化
経営者・支援者・診断士の皆さんへ
私たち支援者は、「時間がない中で、最大限の支援成果を出す」ことが求められています。そして、経営者の皆さんも日々の業務に追われ、経営戦略や見直しに時間を割くことが難しいと感じているはずです。
だからこそ、こういったAIツールを上手に使い、「思考の型」を自動化していくことが、これからの時代には必要不可欠です。Mapifyはその第一歩を手軽に踏み出せるツールとして、非常におすすめです。
最後に
今回の記事が、少しでも経営者・支援者・中小企業診断士の皆さんの参考になれば幸いです。今後も生成AIの活用レポートや、新しいツールの実践知見を発信していきます。皆さんの現場でも、ぜひMapifyを試してみてください。