私は実は「恐い話」が大好きだ。そういうと、引く人もたくさんいるだろうから、そういう人にはここの話は絶対におすすめしない。
私は特に幽霊や妖怪を見た経験はないのだが、全然信じていない訳ではない。もちろん、人間の脳だ。科学的な根拠による可能性も信じている。要はどっちもある可能性を考えている。
心霊と人の心は密接に絡んでいるのではないかと思っている。こわい話は「創造力を膨らませ、脳を不思議と活性化させている」ように感じる。
ただし、呪怨やリングの映画で明らかに恐がらせる形は興ざめする。強いて言うなら、「シックスセンス」は本当に恐い映画だろう。
話が長くなったが、「自分で想像できる怪談の語り」が好きだ。
ここでは、これまで私が経験した不思議な話や聞いた話をラフに書いて行く。決して、おもしろいという話ではないので、興味のある方だけ読んで欲しい。
みなさんも思い出せないだけで、恐い経験の1つや2つあるのではないか?
アゲハ蝶
皆さんは、蝶々を見てどんな印象を受けるだろうか?
「綺麗だね」なんて言って春の訪れを感じるかもしれない。
しかし私にとって蝶々は「トラウマ」である。そんな小学校低学年の5月頃の話。
「さとる!俺、さきにあっちに、行っとくばい!」
と友人は足早に林の奥へ消えていく。
「待ってよ!」
私の友人と言っても、3歳くらい上のお兄ちゃんだ。追いつけるはずもない。私はふてくされながら、近くに落ちていた「木の棒」を拾う。
当時、私は剣道を習っていたこともあり、手首のスナップを活かし、勢いよく、木や葉っぱを叩いて楽しんでいた。
パン!パン!パン!
すると目の前に突然、それは大きな大きな「アゲハ蝶」が現れた。
それから私は何を思ったか反射的に、持っていた木の棒を「アゲハ蝶」に向かって、振り下ろしたのだ。
パン!
という大きな破裂音がなり、「アゲハ蝶」が地に落ちる。
「え!しまった!」
そう思って下を見ると、その大きなアゲハ蝶がぐったりして横ばいになっている。
よくよく見ると、さきほどの木の棒が当たったのか「腹」が無残にぱっかり割れ、瀕死の状態である。
「どうしよう!どうしよう!」
子ども心に生物の命を奪ったことに、後悔し、私はパニック状態。
「そうだ!お墓作って埋めよう!」
そこは子どもの発想である。悪いという気持ちから、そのまま放置するのはなく、せめて「供養するためにお墓」を作ろうと考えたのだ。
私はアゲハ蝶の羽を持ち、近くの木の下に小さな穴を掘り埋めることにした。
穴を掘り、アゲハ蝶を穴の中心に置いた時、その「黒い瞳」が恨めしそうに、そして何か訴えるような気がした。
アゲハ蝶は明らかにもう長くはない。そう思った私は、アゲハ蝶に土をかけ、お墓を作った。
「・・・ごめんなさい。」
それから数日が経ち、また幼馴染と林を探索をしていた時だ。
「先に、行っとくばい!」
御多分にもれず、お兄ちゃんはまたさっそうと走りさる。
「待ってよ!」
しかしその時いつもの流れとは異なり、私は木の上から「異様な視線」を感じる。
「・・・そうだ。ここ、このまえ蝶々を埋めた場所だ」
と思い出し、私は恐る恐る木の上に視線を向ける。
そこには「ぼろぼろの羽のアゲハ蝶」が、木のある葉っぱの上から「真黒な目」で、こちらを睨みつけるように見下ろしている!
と次の瞬間!私は異様な光景に気づく。
「ぱっかり割れた腹」から大量の卵を、どんどんどん水滴がこぼれるように、ポロポロ大量に生み続けているのだ!その卵がどんどん上から落ちてくる。
「・・・うわー!」
その異様な光景に私はゾッとし、友達を置いて猛ダッシュで家に帰宅した。
「なんで、埋めたはずだよね。死んだはずだよね。」
私はお母さんに一連の流れを話す。
「そのアゲハ蝶はお母さんで、子どもを産んでただけじゃないの?」
確かにそうかもしれない。しかし子ども心に、それはそれは異様な光景だった。
「ボロボロの羽」を羽ばたかせ、「黒い瞳」でこちらを睨みつけるアゲハ蝶。そして大量の卵を産んでいる光景。
そんなことがありえるのだろうか?
私はその時の恐怖から、蝶々を見ると、その羽と黒い瞳に恐怖を感じてしまう。